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第19回シェイク・ザイード・ブック・アワード   日本を代表する小説家、村上春樹氏が最優秀文化人賞を受賞

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Abu Dhabi Arabic Language Centre

アブダビ・アラビア語センター、アブダビ文化観光省後援

                                村上春樹氏  ©️Shinchosha

アブダビ・アラビア語センター(アラブ首長国連邦、アブダビ)は、アラブ文学界に多大な影響を与えたことを称え、世界的に著名な日本人小説家、村上春樹氏に第19回シェイク・ザイード・ブック・アワードの最優秀文化人賞を授与することを発表しました。

世界的に名誉ある賞として広く認知されている本アワードは、アラブ文学および文化への貢献を称えるもので、最優秀賞文化人賞をはじめ、全8部門で構成されています。過去20年間にわたり、世界的に著名な作家、学者、翻訳者、文化の先駆者、そしてさまざまな機関を表彰してきました。今年は、日本、イギリス、イタリア、フランス、イラク、モロッコ、そしてアラブ首長国連邦の7カ国から受賞者が選出されています。このアワードは、文学作品の普及に影響を与えており、市場の活性化や文学の振興にも大きく貢献しています。

今回、最優秀文化人賞を受賞した村上春樹氏は、その国際的な視野が高く評価され、選考委員会より 最優秀グローバル・シチズンとして称賛されました。また、文学賞を受賞したフランス在住の作家ホダ・バラカット氏の作品は、20以上の言語に翻訳され、世界中で出版されています。そのほかにも、アラブ文化が東南アジアに与えた影響を研究するイギリスの学者アンドリュー・ピーコック教授など、アラビア語圏に留まらず、さまざまな国々から受賞者が選出される国際的なアワードとなっています。

また、第19回目を迎える今年のアワードには、初参加となるアルバニア、ボリビア、コロンビア、トリニダード・トバゴ、マリを含む75カ国から4,000件以上の作品がエントリーされました。このことは、本アワードの国際的な影響力と名声がますます高まっていることを証明しています。
受賞者の表彰式は、4月26日から5月5日までアブダビで開催される「第34回アブダビ国際ブックフェア」期間中の4月28日に行われる予定です。「最優秀文化人賞」を受賞した村上春樹氏には、賞金100万UAEディルハム(約4,000万円)が授与されます。

村上春樹氏の言葉:

「アラブ首長国連邦によるシェイク・ザイード・ブック・アワードの受賞は、私にとって大きな驚きであり、またこの上ない喜びです。アラビア語は、長い歴史と豊かな物語の伝統を持つ言語であり、その言葉に訳された私の本がアラブ諸国で読まれていることを、大変光栄に思います。私は、物語は世界共通の言語であると信じています。良い物語を共有することで人々はつながり、それがたとえ小さなものであっても、世界を平和へと動かす力になればと、心から願っています。」

 

アブダビ・アラビア語センター、アリー・ビン・タミム 会長の言葉:

「シェイク・ザイード・ブック・アワードは、文化交流の促進に大きく貢献してきました。今年の優れた受賞者たちによる多様なアプローチは、文学と学問が国境や言語の壁を越えて対話を生み出す可能性を示しています。中でも、世界各国に多くの読者を持つ村上春樹氏を最優秀賞者として称えることは、文学の力によって相互理解を深め、異なる文化をつなぐことができるという象徴的な意義を備えています。」

受賞者と受賞作品について

  •  最優秀文化人賞

·         Japanese Novelist Haruki Murakami  – 日本の小説家、 村上春樹

彼の作品は、日本語から多くの言語に翻訳され、アラブ圏を含む世界中で読まれています。アワードの選考委員会は、主著『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』などは、グローバルな文学の影響を取り入れ国際的かつ現代的な視野を持つとして、彼の文学スタイルとそのテーマを高く評価しています。ロックやジャズといった音楽、モダニズム文学、さらには『千一夜物語』に至るまで、世界中のさまざまな要素を統合し、一つの文学的なビジョンに昇華させることによって、彼は、現代における真の『グローバル』作家の一人として地位を確立しています。

·         村上春樹(日本)について

世界的に評価された多くの小説や短編小説集の著者であり、代表作『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985)、『ノルウェイの森』(1987)、『ダンス・ダンス・ダンス』(1988)、『ねじまき鳥クロニクル』(1994)、『スプートニクの恋人』(1999)、『海辺のカフカ』(2002)、『アフターダーク』(2004)、『1Q84』(2009)など50以上の言語に翻訳され、全世界で何百万部も売り上げを誇り、世界ファンタジー賞、ヴェルト文学賞、ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞など栄誉ある賞を多数受賞。

  • 文学部門受賞

ホダ・バラカット著(2024)『ハインドまたは世界で最も美しい女性』

·         Hoda Barakat (2024) Hind, or the Most Beautiful Woman in the World  Dar al Adab

ホダ・バラカット著(2024)『ハインドまたは世界で最も美しい女性』ダー・アルアバブ

アクロメガリーという外見を変えてしまい自己認識に深刻な影響を与える稀な疾患に悩む主人公を深く親密に描いた感動的な物語です。この小説は、研ぎ澄まされた心理と詩的な感受性で、疎外、社会的周縁化、そして美と完璧さを追い求める社会の執拗な姿勢といったテーマを掘り下げた小説です。

·         ホダ・バラカット(レバノン/フランス)について

パリを拠点に活動する小説家。ジャーナリストでもあり、2019年からはアメリカのダートマス大学でモンゴメリー奨学金制度を利用して教壇に立つ。この奨学金は、「思想の世界や社会の文化的・政治的構造に貢献し、その業績が広く認識されている著名な人物」を大学に招待するためのものです。バラカット氏のこれまでの作品は20以上の言語に翻訳され、2002年にはフランスの芸術・文学勲章(シュヴァリエ・ド・ラルデール・デ・レタール)、2008年にはフランス国家功労勲章(シュヴァリエ・ド・ラルデール・ナショナル・デュ・メリット)を受賞。2019年には短編小説集『失われた声』でアラビア語文学の国際賞を受賞。

  • 児童文学部門受賞

ラティファ・ラブシール著(2024)『ザバの亡霊』

·         Latifa Labsir (2024)The Phantom of Sabiba  Markaz Kitab  – ラティファ・ラブシール著(2024)『ザバの亡霊』マーカス・キタブ

特に子供や若い読者をターゲットに、自閉症への理解をすべての年齢層に広めることを目的とした心温まる作品です。主人公のヒバが自閉症の兄ラジの経験を、学校のクラスで発表する姿を描いています。作中、ヒバは、クラスメートたちに自分たち家族の苦悩への共感や自閉症について学ぶよう呼びかけます。

·         ラティファ・ラブシール(モロッコ)について

児童書の作家であり、カサブランカのハサン2世大学人文学部の高等教育教授。ラブシール氏はドイツのテレビチャンネル「ドイチェ・ヴェレ」とモロッコのテレビが共同制作したテレビ番組「カルチャー・サロン」の司会者も務めていました。最近の児童向け作品には、『リトル・コヴィッド』(2023)、『その部屋で起こること』(2018)、『女性の物語(それは苦いオレンジの味がする)』(2014)、『抱擁』(2012)、『私は怖い』(2010)など。

  • アラブ文化を他言語で紹介部門受賞

アンドリュー・ピーコック著 (2024) 『17世紀および18世紀の東南アジアにおけるアラブ文学』

·         Prof. Andrew Peacock (2024) Arab Literature in Southeast Asia in the Seventeenth and Eighteenth Centuries Brill – アンドリュー・ピーコック教授著 (2024) 『17世紀および18世紀の東南アジアにおけるアラブ文学』ブリル

アラブの文学や言語、哲学、宗教が東南アジアに与えた影響を研究したものです。ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムを含む地域において、アラブ文学、哲学、宗教的伝統が東南アジアに与えた影響を研究したこの本は、アラブ文化が国際社会に与えた持続的な影響を示しています。ピーコック教授の学術的な研究は、特にこの地域におけるイスラムの発展を中心に、中東と東南アジアの知的交流を探るものであり、あまり知られていない手稿をもとに相互間の知的交流を明らかにし、さらには地域におけるイスラムの発展についても考察した作品です。

·         アンドリュー・ピーコック教授(イギリス)について

スコットランドのセント・アンドリュース大学でイスラム史のビショップ・ワードロー教授を務めています。2022年にはイギリス学士院の会員に選出。イスラム世界の前近代史、その知的文化、手稿に関するモノグラフを5冊、編集した書籍を15冊出版。主著『モンゴル時代のアナトリアにおけるイスラム、文学、社会』(2019)や『大セルジューク帝国』(2015)など。

  • 翻訳部門受賞

マルコ・ディ・ブランコ英訳(2024)『オロシウス』

·         Italian scholar Marco di Branco(2024) Orosius  an English translation by Kitāb Hurūshiyūsh, the Arabic version of Paulus Orosius’s Seven Books of Histories Against the Pagans Pisa University Press  – イタリアの学者マルコ・ディ・ブランコ英訳(2024)『オロシウス』ピサ大学出版

この作品は、アラビア語と英語のテキストを組み合わせており、比較文学および歴史学の研究にとって欠かせない資料を提供する作品です。中世のアラブの学者たちが非アラブ文学の遺産を保存し、翻訳する役割を果たし、異文化間の架け橋を築いたことを表しています。ディ・ブランコの翻訳は、アラブとイスラム教徒の学者たちが異文化間の知的交流に果たした役割を強調するだけでなく、重要な歴史的テキストを現代の読者にアクセスできるように表現しています。

·         マルコ・ディ・ブランコ教授(イタリア)について

ローマ大学サピエンツァ校でイスラム学の教授。アテネのイタリア考古学学校でビザンティン碑文学を専攻し、イタリア人文学研究所でアラビア語と文化を学ぶ。これまでの著作や評論:『アレクサンドロスとカエサルの間:イブン・ハルドゥーン、ギリシャ人とローマ人』(2020)、『ガリリアーノの戦い』(2019)、『神のカリフ』(2017)、『ビザンツの簡略史』(2016)、『アレクサンドロス大王、中世アラブの英雄』(2011)、『ギリシャ人とローマ人のアラブの物語』(2009)、『哲学者たちの都市:マルクス・アウレリウスからユスティニアヌスまでのアテネの歴史』(2006)など。

  • アラビア語部門受賞

ラシード・アルカユーン著(2024)『女性に関するニュース』

·         Rasheed Alkhayoun (2024)News of Women  King Faisal Centre for Research and Islamic Studies - ラシード・アルカユーン著(2024)『女性に関するニュース』ファイサル国王研究センター

ウサーマ・イブン・ムンキズ(1100年~1188年)の著作に帰せられる手稿の研究で、「アフバー・アル・ニサー(女性に関するニュース)」という分野で現存する数少ない文章です。アルカユーンは、中世イスラム社会における女性の生活、役割、そして表象に関し独自に分析しています。原文資料の詳細と分析が学術委員会により高く評価されての受賞となりました。

·         ラシード・アルカユーン(イラク/イギリス)

アラブ・イスラム哲学の学者。アラブ地域で講演を行い、現代の政治や文化についての意見を発信しています。彼は、UAEの日刊紙『アル・イッティハード』コラム欄に毎週執筆中。その他にも多数の新聞や雑誌にも記事を寄稿。アラブ文化と哲学に関する約30冊の著書も執筆しており、代表作は『イスラム法学と遺産における罰と過激主義』(2015)。この作品は、2015年にシェイフ・ザイード・ブック・アワードのロングリストに選出。

  • 国家の発展部門受賞

モハメド・ベチャリ著(2024)『努力する権利:ムスリム女性の権利に関する視点』

·         Prof. Dr. Mohamed Bashari (2024) The Right to Strive: Perspectives on Muslim Women’s Rights Nahdet Misr Publishing – モハメド・ベチャリ教授著(2024)『努力する権利:ムスリム女性の権利に関する視点』ナデット・ミズリ・パブリッシング

イスラムの法律の視点から女性の労働権について学術的に探求したものです。イスラムの法律の論理的な研究を通じて、ベチャリ教授は女性が社会の中で積極的に社会の不可欠な参加者としての権利を持つべきだと主張しています。

·         モハメド・ベチャリ教授(UAE)

エミラティの研究者であり、世界ムスリムコミュニティ評議会の事務総長。エミラティの新聞『アル・イッティハード』に定期的に執筆、世界で最も影響力のある50人のムスリムの1人に選出されたこともあります。また、エジプトのイスラム大学協会の副会長であり、アブダビ平和フォーラムの事務局のメンバーも務めています。以前は、フランスのムスリム総連盟の会長および2001年の設立から欧州イスラム会議の事務総長を務めていました。

  • 文学と芸術評論部門受賞

サイード・ラウアディ著『食と言語:アラブの文化遺産の発掘』

·         Dr. Said Laouadi Food and Language: Cultural Excavations in Arabic Heritage Afrique Orient – サイード・ラウアディ博士著『食と言語:アラブの文化遺産の発掘』アフリック・オリエント

この学術的研究書は、アラブ文化史を通じて食、言葉、そして書き言葉の関係を探求し、特に食べ物を豊かな比喩的および言語的手段として捉え、文学的表現や文化的アイデンティティの形成にどのような影響を与えてきたかに焦点を当てています。ラウアディのアプローチは、修辞学、文化研究、文学批評を融合させており、日常生活、特に食文化の伝統がどのようにアラビア語の修辞的枠組みと関係しているかについて述べた、画期的な視点からの研究書です。

·         サイード・ラウアディ博士(モロッコ)

マラケシュのカディ・アヤド大学アラビア語学部で修辞学および談話分析の教授を務めています。著作は、『小説の台所:小説における食べ物、シナリオから交錯へ』(2024)、『文学テキストの修辞学:応用的アプローチ』(2022)、『画像の修辞学:修辞学の議論的読解へ向けて』(2022)など。

 

シェイク・ザイード・ブック・アワードについて

シェイク・ザイード・ブック・アワードは、アラブ文学と文化に特化した、世界有数の文学賞のひとつです。2006年の創設以来、この賞は、世界中の著者、学者、研究者、翻訳者、出版社、文学団体による優れた業績を称えてきました。アブダビ・アラビア語センターが主催し、アブダビ文化観光省の後援のもと運営されています。「児童文学」や「翻訳」、「他言語におけるアラビア文化」など、8部門にわたる多様なカテゴリーを通じて、アラビア語文学の広がりとともに、アラビア文化に関する他言語での書籍も顕彰の対象としています。国際的な選考委員会は、著名な学者、作家、書籍業界の専門家で構成され、学術的・非学術的な文学の両分野における創造性と独自性が重視されます。このアワードは、文学的・文化的業績の促進に加え、戦略的パートナーシップを通じた異文化間対話の推進や、翻訳助成金制度を通じた出版業界の支援にも力を入れています。
2018年に開始された翻訳助成金制度では、世界中の翻訳者や出版社に対し、「文学部門」および「児童文学部門」の受賞作、または最終候補作品の翻訳、出版、プロモーション活動に必要な資金が提供されています。

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出典:PR TIMES

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