パシフィックコンサルタンツ株式会社
◆詳細はこちら:https://www.pacific.co.jp/news/2025/20250415-002595.html
パシフィックコンサルタンツ株式会社(住所:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:大本 修、以下パシフィックコンサルタンツ)は、グループ会社であるパシフィックパワー株式会社(住所:東京都港区、代表取締役社長:合津 美智子、以下パシフィックパワー)が代表技術者として採択された環境省の令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(リアルタイムCO2排出係数に基づく再生可能エネルギー発電等の最適制御技術の開発・実証事業)に、共同実施者として参画し、技術開発を進めてまいりました。
この度、時間帯別CO2排出係数に基づく再エネ最適制御技術の開発・実証事業を完了、2025年2月には福岡市中部水処理センターにて開発したシステムの実証を行い、時間帯別のCO2排出係数を指標とした消化ガス発電の運転を最適制御し、その効果を定量的に評価することに成功しましたのでお知らせいたします。
開発した技術の目的と概要
当社とパシフィックパワーは、2024年9月9日にプレスリリースしたとおり時間帯別のCO2排出係数を独自に算定・公開しました。電力系統を流れる電気(私たちが普段使っている電気)をつくるうえで発生するCO2排出量は、毎日同じというわけでなく、実際は時間帯ごとに大きく変化しています。例えば、晴天時など再エネ比率の高い時間帯の電気はCO2排出量が小さく、逆に雨天時や朝夕など火力発電比率の高い時間帯はCO2排出量が多くなっています。時間帯別CO2排出係数は、現行の制度で算定されている通年のCO2排出係数では把握できない、CO2排出強度の時間的な変化の見える化を目的としています。この時間帯別のCO2排出係数の用途として、同じ量の電力を発電または消費する時間帯を変えるだけでもCO2削減に繋がりうることを簡単に示せることが挙げられます。
さらに今回は、本事業の中で翌日以降の系統電力の時間帯別CO2排出係数を予測したうえで、比較的制御が容易な再生可能エネルギーである下水処理場のバイオガス発電(消化ガス発電)を制御する技術を開発し、その技術実証に成功しました。これにより本事業で予定していた以下の図の一連のシステムが完成し、CO2削減効果を最大化するようなバイオガス発電の最適制御およびその定量的な評価が達成できました。

実証事業の概要
今回の実証事業は、本事業の共同実施者である月島JFEアクアソリューション株式会社が運営する福岡中部発電所(定格出力1,999kW)を対象に実施しました。同設備は福岡市の中部水処理センター内に設置されており、現状は固定価格買取制度(FIT制度)による全量売電を行っています。今回開発したシステムでは、前日までに予測した電気の時間帯別CO2排出係数が高い時間帯に最大限発電出来るような計画を作成して、実際に現地の発電機に指令を送信して発電を制御しています。その際には、以下の図にあるガスホルダに一時的にガスを貯留して発電電力量をシフトしますが、本システムで下水処理場からのガス発生量を予測してガスホルダの上限下限の範囲内に収まるように計画を作成しています。



実証事業の成果と今後の展望
実証事業を実施した2025年2月12~21日の売電電力量は制御指標とした時間帯別CO2排出係数と高く相関する形となっており、実証期間外の運転方法と比べて発電した電気のCO2削減効果が約5%向上しました。また、現在のFIT制度からFIP制度に移行した場合の計算にはなりますが、電気の経済的な価値であるスポット市場価格で評価したところ、売電収入も約7%向上することが確認できました。この間もガスホルダは一定の上下限値の範囲に収まっており、発生した消化ガスをこれまでどおり全量使い切りつつ、発電の時間帯を最適化できることが実証できました。

パシフィックコンサルタンツおよびパシフィックパワーでは今回開発したシステムを全国のバイオガス発電設備に普及展開することを目指していきます。本システムは下水汚泥以外にも食品廃棄物や畜産ふん尿由来のバイオガス発電にも適用が可能です。また、2025年2月25日にパシフィックパワーHPにてプレスリリースしたとおり、FIT制度で売電している施設だけでなく発電した電気を自家消費している施設にも適用可能であり、合わせて展開していきます。
パシフィックコンサルタンツグループは引き続き地域エネルギー事業を通じたまちの活性化と発展、カーボンニュートラル化の進展に寄与してまいります。
■パシフィックコンサルタンツ株式会社について
1951年の創立以来、70年以上にわたり建設コンサルタントのリーディングカンパニーとして、国内外の都市・建築・鉄道・道路・空港・港湾・河川・上下水等の社会インフラ整備やまちづくりの計画・設計・運用等に深く関わってきた社会インフラサービス企業です。ビションに「未来をプロデュースする」を掲げ、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会の実現に向けて、新しい価値を社会に提供しています。
【会社概要】
会社名:パシフィックコンサルタンツ株式会社
所在地:〒101-8462 東京都千代田区神田錦町三丁目22番地
代表者:代表取締役社長執行役員 大本 修