株式会社ZIAI
自殺対策月間に無償公開された傾聴AIが、チャットを通して利用者の「いらだち」、「苦悩」、「心配」を改善。
傾聴AIアルゴリズムを開発する株式会社ZIAI(所在地:東京都渋谷区 / 代表:櫻井 昌佳 / 以下、ZIAI)は、悩み相談AIチャットシステムの効果を標準尺度「日本語版PANAS」を用いて検証した結果、利用者のネガティブ感情が平均で21.5%(2.68ポイント)減少したことをお知らせいたします。

◾️検証内容
2025年3月の自殺対策月間にあわせて、最新の傾聴AIを搭載した悩み相談AIチャットシステムを無償公開しました。2,500件を超える相談に対応した中で、検証にご協力いただいた157名の利用者に対して、代表的な気分評定尺度である「日本語版PANAS」*の一部の項目を用いて、チャット利用前後の感情状態を比較しました。測定したのは、当該チャットと関連性の高い以下ネガティブ感情項目です。
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いらだった気分
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苦悩した気分
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心配した気分
回答は「1. 全く当てはまらない」から「6. 非常によく当てはまる」の6段階で評価してもらいました。
*日本語版PANAS:ポジティブ感情8項目、ネガティブ感情8項目の計16項目からなる気分評定尺度。[佐藤 徳・安田 朝子(2001).日本語版PANASの作成 性格心理学研究, 9, 138-139.]
◾️実験結果
全ての項目で感情の改善が見られました。
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「いらだった気分」:28.0%減少(3.61→2.60)
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「苦悩した気分」:19.9%減少(4.48→3.59)
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「心配した気分」:17.8%減少(4.38→3.60)
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合計値:21.5%減少(12.46→9.78)
※カッコ内の数値は平均値の変化を表しています。

※ エラーバーはブートストラップ法により推定した95%信頼区間を表しています。
◾️今後について
日本では年間約2万人が自死により命を失っており、これは先進国の中でも憂慮すべき高水準です。特にコロナ禍以降、若年層の自殺率上昇や社会的孤立、不登校や虐待、ヤングケアラー問題の深刻化が指摘されています。加えて、職場でのストレスによるメンタルヘルス不調、ひきこもりの長期化・高年齢化、育児や介護における心理的負担の増大など、現代社会特有の多様な要因が心の健康に影響を及ぼしています。
従来の心理支援には高い壁が立ちはだかっていました。時間や地理的な制約、経済的負担、そして「弱さを見せたくない」という心理的抵抗—これらが必要な支援を必要な人々に届けることを妨げてきました。心の問題は早期対応が鍵であるにもかかわらず、多くの人が「まだ大丈夫」と自らに言い聞かせ、専門家への相談を先延ばしにしてしまいます。
「スマートフォン一つで、いつでも、どこでも、誰にも知られることなく心のケアを受けられる」—この革新は、特に支援を受けにくかった若者や地方在住者、経済的に厳しい状況にある方々に新たな光をもたらします。「ちょっと気になる」程度の小さな悩みにも耳を傾け、問題が大きくなる前に自治体福祉や医療機関、NPO機関や学校、企業の専門家と連携できれば、救える命が出てくることはもちろん、中長期的には社会保障費の削減につながることも期待されます。
株式会社ZIAIについて
ZIAI(ジアイ)は、テクノロジーによる新たな「傾聴体験」の創造に取り組むAIスタートアップです。自殺対策を目的とした非営利のAI研究機関として設立された後、そこで培われた「傾聴AIアルゴリズム」を社会実装すべく事業会社としてスピンアウトしました。
現代社会では、個人の悩みが複雑化・多様化し、メンタルヘルス懸念が増大しています。さらに、悩みを打ち明けられる居場所や話を聴いてもらえる存在が不足しており、一次予防ができないことで精神疾患や孤独・孤立、自傷・自殺などの社会課題が深刻化しています。
ZIAIは2030年までに、住んでいる場所や年齢、経済的状況に関わらず、誰もがいつでもどこでも悩みを相談できて、必要あればしかるべき情報や機関、専門家につながることができる社会を実現します。
公式ウェブサイト:https://ziai.io/