株式会社ストラテジックキャピタル
Shareholder Proposal to OSAKA STEEL.
弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンド及び弊社(以下「提案株主」と総称します。)は大阪製鐵株式会社(以下「当社」といいます。)の議決権を300個以上6か月前から引き続き保有しております。
提案株主は、今般、当社に対し、来る6月開催予定の当社の定時株主総会について株主提案権を行使する書面を発送いたしましたので、本件を公表いたします。
当社の株価バリュエーションは2008年以降、解散価値であるPBR1倍を一度も超えていないほか、日本製鉄株式会社(以下「日本製鉄」といいます。)の上場子会社であることから支配株主と一般株主との間に利益相反リスクが生じていると提案株主は考えています。
今般の提案株主は、上記の問題解決に向けたものです。株主提案の内容及び提案の理由は下記の通りですが、ポイントは、①DOE8%を株主還元方針とすること、②株主価値向上・非公開化検討委員会を設立すること、及び③取締役の過半を社外取締役とすることです。
今後開設予定の特設サイトでは、提案の背景及び提案に関する詳細な説明を掲載いたします。特設サイト開設は、弊社ホームページ(https://stracap.jp/)にてお知らせいたします。
なお、提案株主は当社の親会社である日本製鉄の株主でもあり、日本製鉄に対しても定時株主総会に向けた株主提案を行う予定です。
[1] 提案する議題の内容
1.剰余金を処分する件
期末配当に関する事項
(1)配当財産の種類
金銭
(2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
第47期末における1株当たり純資産(発行済株式数から自己株式数を控除するほか、企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」に従い算定した数値をいう。)の金額(小数点以下切り捨て。以下同じ。)に0.08を乗じた金額から、第47回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金処分に係る議案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金額及び当社定款39条に基づいて第47回定時株主総会の開催日までに2025年3月期末の剰余金の処分(処分の予定を含む。)として当社取締役会が決定した普通株式1株当たりの配当金額(以下合わせて「会社配当金額」という。)を控除した金額を、会社配当金額に加えて配当する。
なお、配当総額は、当社の第47回 定時株主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた額となる。
(3)剰余金の配当が効力を生じる日
当社の第47回定時株主総会の開催日の翌日
なお、本議案は、第47回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。
2.株主価値向上・非公開化検討委員会の設立に係る定款変更の件
現行の定款に以下の条文を新設する。
第4章 取締役および取締役会
(株主価値向上・非公開化検討委員会)
第28条 取締役会は、取締役会による意思決定の支援を行う株主価値向上・非公開化検討委員会(以下この条において「委員会」という。)を取締役会の下に設置する。
2.委員会は、当会社の社外取締役全員により構成される。
3.委員会は、自らの裁量で外部アドバイザーを選任することができ、当該外部アドバイザーは、当会社取締役会から独立した立場で、次項に定める委員会の活動に関する助言を委員会に与えることができる。
4.委員会は、当会社取締役会とは独立し、非公開化を含めた当会社の株主価値向上を図る立場において、次の各号に定める活動を行う。
(1)当会社の株主価値向上に資する全般的な事業施策、財務施策(当会社の資本コストの評価・把握および資本効率の改善に向けた経営指標の設定などの資本政策を含むがこれに限られない。)、日本製鉄株式会社(以下「日本製鉄」という。)に対する資金提供の当否、コーポレートガバナンスに関する施策および非公開化に関する施策(これらを総称して以下「株主価値向上策」という。)についての日本製鉄以外の株主からの意見聴取
(2)収集した情報を踏まえた株主価値向上策の検討および取締役会への提示
(3)取締役会に提示する株主価値向上策およびこれに関して取締役会に提供した参考資料などに関する株主およびその他のステークホルダーヘの説明
(4)当会社に対する買収提案が行われた際に、買収者および当該買収提案にかかる買収の成否から独立した特別委員会として行う、当該買収提案の是非についての検討および判断ならびに取引条件の妥当性および手続の公正性についての検討および判断
5.委員会の開催は四半期に1回以上とし、委員であれば、誰でも招集することができる。委員会の決議は、議決に加わることができる委員の過半数が出席し、その過半数をもって行う。その他、委員会の招集および開催に関する手続の詳細、外部アドバイザーの選解任の方法、任期その他の事項は、委員会において定める株主価値向上・非公開化検討委員会規則による。
6.委員および外部アドバイザーの報酬を含む委員会の活動に要する費用は、当会社の負担とする。
3.取締役の定員等に係る定款変更の件
現行の定款の第18条を以下のとおり変更する。
現行定款
(取締役の定員)
第18条 当会社の取締役は3名以上12名以内とする。
変更案(下線は変更箇所を示す。)
(取締役の定員等)
第18条 当会社の取締役は3名以上12名以内とする。
2.当会社の取締役の過半数は、会社法第2条第1項第15号に規定する社外取締役とする。
[2] 提案の理由
1.剰余金を処分する件
本件は、自己資本の8%を配当金とすることを企図した提案である。
当社は、2025年1月末に中期経営計画の改定を発表したが、それを受けて当社の株価は発表当日に前日対比で13.7%下落し、終値ベースで2001年以来の大暴落となった。
この市場の反応に見られるとおり、上記経営計画ではPBR1倍割れの解消は不可能であり、足元のPBR0.75倍が改善される見込みは乏しい。
提案株主は、当社の親会社である日本製鉄が当社を完全子会社化もしくは吸収合併することが当社の少数株主にとって最善であると考えているが、当社及び日本製鉄は上場維持に固執している。
当社のPBRは15年以上、解散価値である1倍を上回ったことはなく、もし当社が今後も上場を維持するのであれば早期にPBR1倍割れの解消を行うべきである。現在の不十分な中期経営計画ではなく、DOE8%を株主還元方針とし、資本効率の改善、資本コストの低下を図るべきである。
2.株主価値向上・非公開化検討委員会の設立に係る定款変更の件
当社は2025年4月14日現在、流通株式比率が25%未満となっており、東証スタンダード市場の上場維持基準に抵触しているため、このままでは2026年3月末から監理銘柄となり、同年6月には上場廃止が決定する。
提案株主は、日本製鉄が当社を完全子会社化もしくは吸収合併することが当社の少数株主にとって最善であると考えているが、当社及び日本製鉄は上場維持に固執し、当社は日本製鉄が保有する当社株式を自己株取得し、さらには上場維持基準の緩い福岡証券取引所への重複上場を申請した。
谷社長はこの方針を「上場企業としての経営を任されたため(それを継続する)」と説明するが、これは現経営陣の利益を念頭に置く発言であり、今後も少数株主の利益を軽視した意思決定がなされる懸念がある。
そのため、社外取締役をメンバーとした委員会を設立し、取締役会からは独立した立場で非公開化を含めた当社の株主価値向上策の検討を行うべきである。
3.取締役の定員等に係る定款変更の件
当社の取締役8名中5名の常勤取締役は、全員が日本製鉄出身者であり、実質的に日本製鉄の天下り先となっている。
コーポレートガバナンス・コードは「支配株主は、会社及び株主共同の利益を尊重し、少数株主を不公正に取り扱ってはならないのであって、支配株主を有する上場会社には、少数株主の利益を保護するためのガバナンス体制の整備が求められる」(基本原則4の「考え方」)とし、「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」も「上場子会社の経営陣の指名については、支配株主と一般株主との間に利益相反リスクが存在することを踏まえ、一般株主利益にも配慮し、上場子会社として企業価値向上に貢献できる人物を選定することが課題となる」と指摘する。
当社は、長年の資金提供や天下り先として日本製鉄に貢献してきた一方で、常勤取締役は当社の少数株主の利益を棄損し続けており、社外取締役を増員し、ガバナンスを強化すべきである。
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会社経営陣との対話や株主の権利行使などを通じて、企業・株主価値の向上を目指します。