株式会社Rev0
地域から日本の食の未来に還元するJ-クレジット「Fair-Farm Credit」がプロジェクト認証&販売をスタート!

株式会社Rev0(ヨミ:レボ、本社:広島県安芸高田市、代表取締役社長:本多正樹、以下「当社」)が2023年より推進しているJ-クレジット創出プロジェクトが、2025年1月7日(火)に開催された「第63回J-クレジット制度認証委員会」において正式に認証され、販売を開始いたしました。
これに伴い、2025年2月28日(金)には、広島県内における第1号契約締結企業となる株式会社広島銀行(本社:広島県広島市、代表取締役頭取:清宗一男)と、認証記念式および契約締結式を実施いたしましたので、お知らせいたします。
本プロジェクトは、広島県の中山間地域である安芸高田市において、農業経営体の収益向上と持続可能な農業の推進を目的に、農家主体で実施されています。
具体的には、水稲栽培のプロセスである「中干し」(田んぼの水を一時的に抜き、地力を高める工程)を一定期間延長することでメタンガスの排出を抑制し、その削減量をJ-クレジットとして販売するものです。水稲栽培における「中干し延長」を活用したJ-クレジットの認証は、広島県内で初の事例となります。
当社は今後も、持続可能な農業の発展とJ-クレジット市場の活性化を通じて、地域の農業経営を支援し、日本の食の未来を守る取り組みを推進してまいります。
当社の事業について
当社は、広島県安芸高田市において水稲栽培を中心とした農業法人を経営するとともに、農業の持続可能性を高める取り組みを推進しています。現在、日本の農家数は減少の一途をたどり、特に中山間地域では後継者不足や経済的不安定さが深刻な課題となっています。さらに、気候変動の影響による収量や品質の低下も、農業経営における大きなリスクとなっています。
こうした課題を解決するため、当社は「水稲生産者FIRST」の視点を軸に、農業経営の収益力向上と環境価値の向上を両立させる仕組みを構築しています。その一環として、J-クレジットの創出を支援する意欲的な農家で組成される協議会「Net-Zero Farmers」を設立し、現在は中干し延長を通じたカーボンクレジットの創出を推進しています。
しかし、中干し延長によるJ-クレジット創出は、農家にとって新たな収益源となる一方で、土壌の水分不足による収量低下といったリスクが伴います。当社は、広島県農業技術指導所様やJA全農ひろしま様等の専門機関と連携し、試験圃場での検証を重ね、収益低下のリスクを最小限に抑える最適な栽培方法を確立いたしました。中干延長に参加する農家には、当社スタッフの経験に基づくノウハウとこの方法を基にした指導を徹底し、安心してJ-クレジットを創出・販売できる仕組みを提供しています。
加えて、当社の取り組みは「農地を守りながら、農業経営体の収益向上を実現する」ことを目的としています。本趣旨に賛同する農業経営者とともに、クレジット創出に取り組み、日々の綿密なコミュニケーションを通じて信頼性の高いクレジットの提供を実現しています。加えて、各圃場には遠方の水田の水位をアプリで一括確認できる水位計を導入しております。これにより、中干し延長期間中の不正な給水を防止するだけでなく、アプリの異常検知機能を活用することで、迅速なトラブル対応が可能となります。これらの取り組みは通常のクレジット創出に比べて手間がかかりますが、その分、作物障害や不正のリスクを低減し、安心して購入いただけるクレジットを提供することができます。
これらの取組により、世代を問わず参加しやすい持続可能な仕組みを構築し、日本の農業の未来を地域から支えることを目指しています。
今後の展望
本年度の実績を踏まえ、広島県内の農業経営体の皆様に事業の趣旨とその効果をご理解いただくことで、中干し延長事業のさらなる拡大を図り、県内農業経営体の収益向上に貢献することを目指しております。
また、県内企業の皆様におかれましても、当社の取り組みをご理解いただき、本来の目的であるオフセット購入の検討に加え、地域農業の維持や食文化の保全といった視点からのご支援についても積極的に呼びかけてまいりたいと考えております。
将来的には、本事業を通じて確立した仕組みをモデルケースとし、広島県近隣エリアへの展開を進めることで、全国各地において食の未来に貢献する農業経営体の創出を目指します。
さらに、中干し延長事業にとどまらず、有機栽培やバイオ炭の導入など、温室効果ガスの削減に資する栽培手法を取り入れ、新たなJ-クレジットの創出にも挑戦し、事業のさらなる拡充を図ってまいります。
現在、物価高騰や収益の不安定化に伴う農業従事者の減少といった社会課題が深刻化しており、農業経営体の収益力向上が喫緊の課題となっています。
当社は、農家主体の企業として、地域や生産者と真正面から向き合い、人々の生活に欠かせない「食」を支える農業の次世代継承に向け、引き続き誠心誠意取り組んでまいります。
購入企業からのコメント
株式会社広島銀行 取締役専務執行役員 廣江 裕治氏
当行は、株式会社Rev0が運営するメタンガス削減のための水田中干し期間延長プロジェクトより創出された農業由来J-クレジットを購入しました。
この購入の目的は、〈ひろぎんグループ〉の「環境方針」および「SDGs宣言」に基づき、中山間地域をはじめとする郷土の豊かな自然環境の保全を図るとともに、農業経営体の収益向上と地域の農業の持続可能性を支え、将来の世代へより良く引き継がれる取り組みに貢献することです。
購入した農業由来J-クレジットは、ひろぎんホールディングスにおける2030年度のスコープ1・2排出量のカーボンニュートラル目標達成を見据え、将来の自社活用を予定しています。
今後も、〈地域総合サービスグループ〉として、地域の社会・環境課題の解決と持続的な成長に向けた取り組みを推進してまいります。
株式会社ひろぎんホールディングス 執行役員 サステナビリティ統括部長 木下 麻子氏
当社グループでは、「中期計画2024」における戦略のドライバーの一つとして「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」を掲げ、地域のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みにチャレンジしています。
地域と共存共栄の関係にある〈ひろぎんグループ〉にとって、地域の自然資本を保護していくことと、地域産業を維持・発展させることの両立は、地域の未来をひろげるための喫緊の課題であると認識しています。
そうした中で、株式会社Rev0の取り組みは、生産者の視点に徹底的に寄り添いながらメタンガスの排出抑制を通じて自然環境の保全に寄与するだけでなく、未来志向で持続可能な農業の発展を目指す新たな地域発のチャレンジとして、期待を寄せています。
令和6年度取組実績
CO2削減量:702.4 t-CO2
取組総面積:155.6ha
農業経営体一覧(五十音順):

会員名 |
地域 |
取組面積 (ha) |
排出削減量 (t-CO2) |
ハラダファーム本多 |
安芸高田市 |
48.0 |
224.1 |
株式会社恵 |
世羅町 |
10.7 |
49.8 |
株式会社雄飛会 |
安芸高田市 |
31.5 |
138.7 |
株式会社今桐ファーム |
安芸高田市 |
18.3 |
80.7 |
株式会社ヒロマサ |
安芸高田市 |
17.4 |
76.7 |
出張農園 |
安芸高田市 |
6.7 |
29.5 |
山本農園 |
安芸高田市 |
16.7 |
73.4 |
小早川農園 |
安芸高田市 |
2.2 |
9.9 |
農事組合法人殿垣内 |
庄原市 |
4.2 |
19.5 |
メンバープロフィール
本多 正樹(ほんだ まさき)
株式会社Rev0 代表取締役社長/株式会社ハラダファーム本多 代表取締役

広島県安芸高田市で約50haの水稲栽培を中心に農業法人を経営しています。
安芸高田市高宮町酒米部会役員、安芸高田市農業法人協議会の会長、JA広島北部ひろほく農考会の会長等を歴任し、地域の農業者の稼ぐ力の向上に尽力してきました。
昨年度からは広島県seed box DX実証農場として協力する等、これまでの農業の枠に囚われない新しい事業モデルの創出に携わっています。
そんな中、農業経営体として主体的に新たな価値の創出事業を興すべく、2023年4月に株式会社Rev0というスタートアップを創業しました。
田島 あゆみ(たしま あゆみ)
株式会社rev0 マネージャー/田島牧場 牧場長

広島県安芸高田市で乳用牛40頭ほどを飼育している酪農家です。
前職は農林水産省の畜産担当職員として、飼料、牛乳乳製品、肉の消費拡大、食育などを担当しました。
年々関心が高まっている環境問題ですが、農業分野での取り組みはまだまだ多くありません。
環境負荷低減に取り組む農業者仲間の力になれればと思い、株式会社Rev0でお仕事をさせていただくこととなりました。
当社では、J-クレジットの登録から販売に係る機関との調整や各種事務作業を担当いたします。
出張 一樹(ではり かずき)
株式会社rev0 フィールドアドバイザー/出張農園 代表

広島県安芸高田市で水稲10haを耕作している農家です。
前職では、(現)JAひろしまの職員の課長職として水稲の営農指導を担当しておりました。
同じ農業者として農家の収入増につながりつつ、地球環境の保全活動につながればと思い、株式会社Rev0に参画しました。
当社ではフィールドアドバイザーとして、中干し延長の見回りや技術サポートを担当いたします。
会社概要(本プログラム事務局)
社名 : 株式会社Rev0
住所 : 〒739-1805 広島県安芸高田市高宮町原田1679
設立 : 2023年3月
代表 : 本多 正樹
URL : https://net-zero-farmers.com/
事業内容 : 農業による温室効果ガスの削減を通じたJ-クレジットの創出・販売