グリーンカーボン
ベトナム全土の持続可能な農業発展と脱炭素化への貢献
ネイチャーベースのカーボンクレジット創出販売事業を展開するGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon(読み;グリーンカーボン))は、2024年ベトナム北部6つのエリアで展開した、水田のAWD※1(間断灌漑)導入によるメタンガス削減及びカーボンクレジット創出プロジェクト(以下、本プロジェクト)をまとめた「AWD Project Report:Vietnam 2024(以下、本レポート)」をベトナムプロジェクトに投資する需要家、現地企業・研究機関に向け公開します。
本プロジェクトは、対象水田圃場にAWDを導入することで、メタンガス排出量と水使用量の削減、収穫量の向上、農家の収益増加の実現を目指しています。Green Carbonは2024年にベトナム北部6つのエリアで本プロジェクトを開始しました。初年度のベトナムにおける取り組みを、より有意義に活用していただきたく、1年を通した成果を集約した本レポートを公開する運びとなりました。今回の成果を活かしながら、ベトナム全土へプロジェクトを拡大し、持続可能な農業発展と脱炭素化に貢献してまいります。

〇「AWD Project Report:Vietnam 2024」のダウンロードはこちら
◆本プロジェクト開始の背景
ベトナムは世界第5位の米生産国であり、2024年には2,650万トンの米を生産しており(世界の総生産量の5%)※2、米はベトナムの農業部門における重要な作物のひとつです。
ベトナムにおける温室効果ガス(GHG)排出量は年間約3億トンを超え、世界第17位のGHG排出国となっています※3。国全体の総排出量のうち、農業部門は約15%を占め※4、そのうち稲作は約30%、おおよそ2,130万トンを排出しています※5。
このため、稲作におけるGHG排出量の削減は、ベトナム国内でも喫緊の課題となっており、ベトナムの農家は、制限された土地面積と管理の難しさが原因で、農業による収入が低いと報告されています。
上記背景を受け、Green Carbonは2024年にベトナム北部のゲアン(Nghe An)、ナムディン(Nam Dinh)、ヴィンフック(Vinh Phuc)、タンホア(Thanh Hoa)、フンイエン(Hung Yen)、ハイズオン(Hai Duong)の6つのエリアおいて、水田からのメタンガス排出量削減によるカーボンクレジット創出プロジェクトを開始しました。AWDとは、栽培期間を通じて、土壌を空気にさらす乾燥期間を複数回導入する水管理方法です。湛水状態で増殖するメタン生成バクテリアの活動を制限することで、米の生産を維持しながらメタン排出を効果的に削減することができます。
現在Green Carbonは、現地ステークホルダーとの連携により、持続可能なプロジェクト運営を実現しています。技術的支援を行うベトナム国立農業大学(VNUA※6)およびベトナム中部北部農業科学研究所 (ASINCV※7)と協力し、プロジェクト地域の特定、ガスサンプルの収集、温室効果ガス排出削減量の分析などを行っています。本プロジェクトはAWDを実施してカーボンクレジットを創出するだけでなく、適量施肥など専門的なアドバイスを農家に提供することで、品質や収穫量に対するポジティブな影響を実現しています。これらの連携パートナーからのサポートが、本プロジェクトの成功に大きく貢献しています。

◆本プロジェクトの成果概要
本プロジェクトは、2024年1月(一期作目)よりベトナム北部ゲアン省で始動しました。その後、同年6月(二期作目)よりゲアン、ナムディン、ヴィンフック、タンホア、フンイエン、ハイズオンの6エリアにプロジェクトを拡大しています。
ゲアン省では、年間を通して1ヘクタールあたり約11トンのメタンガス排出量削減を達成しました(GHG換算)。これは、従来の栽培方法と比較して約55%の排出削減効果に相当します。さらに、米の収穫量は1ヘクタールあたり平均0.66トンの増加(従来比約5.5%増)が見られました。同様に、他の省においてもメタンガス排出量の削減および収量増加の成果を確認しています。これらの収量増加により、農家の1ヘクタールあたりの年間収入は9%向上しました。本プロジェクトの成果概要は、本レポートを参照ください。

◆将来の展望
Green Carbonは2024年のベトナムでの実績を踏まえて、さらなるプロジェクトの拡大を推進しています。2030年には合計24省、水田約75万ヘクタールへのAWD導入を計画しています。ベトナム政府は、2030年までに約150万ヘクタールでのAWD導入を目標としており、2024年から2030年の累計推定GHG削減量は2,100万トンに達する見込みです。
Green CarbonはすでにMOUを締結しているVNUA(ベトナム国立農業大学)、ASINCV(ベトナム北中部農業科学研究所)、ASISOV(ベトナム南部沿岸中部農業科学研究所)、CLRRI(クーロン米研究所)と連携し、各地域における最適なプロジェクトを拡大します。
また、ベトナム政府や国際機関と協働し、農業革新を主導してまいります。Green Carbonが参画する世界経済フォーラム主導のベトナムフード・イノベーション・ハブ(FIH)、ベトナム政府主導の「100万ヘクタールプロジェクト」を通じて、米の収量と品質を向上させながら、稲作の脱炭素化に取り組んでまいります。


○ベトナムフード・イノベーション・ハブ(FIH)諮問委員会参画リリース |
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○ベトナム「100万ヘクタールプロジェクト」正式参画リリース |
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※1:間断灌漑
間断灌漑(AWD)は水田の水位を目安に、数日おきに入水と自然乾燥を繰り返すという手法になります。間断灌漑(AWD)の場合、連続的な入水に比べ、水使用量を削減することができ、水資源の保全にも寄与します。
※2:ベトナム米生産量
U.S. Department of Agriculture
https://www.fas.usda.gov/data/production/commodity/0422110
※3:ベトナムGHG排出量
Our World in Data
※4:農業分野におけるGHG排出量
Our World in Data
https://ourworldindata.org/emissions-by-sector
※5:稲作由来のGHG排出量
World Bank
※6:ベトナム国立農業大学(Vietnam National University of Agriculture; VNUA)
ベトナム国立農業大学は、1956年に設立されたベトナムの国立大学です。ベトナムの首都ハノイに位置しており、農業と農村開発における人材育成と科学研究の中心的役割を担っています。
※7:ベトナム中部北部農業科学研究所 (Agriculture Science Institute of Northern Central Vietnam; ASINCV)
ベトナム中部および北中部地域における農業の発展を目的として、2016年に設立されました。 主に社会経済的発展に焦点を当てた作物科学および農業システムについて研究しています。
◆Green Carbon 株式会社
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :東京都港区赤坂5-2-33IsaI AKASAKA607
設立 :2019年12月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業及びESGコンサルティング事業
URL : https://green-carbon.co.jp/
◆Green Carbon事業紹介
Green Carbonは、「生命の力で、地球を救う」をビジョンとして掲げ、国内外において自然由来のカーボンクレジット創出・登録・販売までを一気通貫してサポートする事業を展開しており、その他にも、農業関連事業、研究開発事業、ESGコンサルティング事業なども展開しております。
事業展開領域は日本、東南アジアを中心にオーストラリア、南米まで拡大しており、自然由来のカーボンクレジット(水田、バイオ炭、森林保全、カーボンファーミング、マングローブ植林、牛のゲップなど)を創出しています。国内の水田においては、2023年度日本初・最大級(約6,220t)で水田のJ-クレジットの認証を取得しており、2024年度は約40,000ha(約100,000t)に拡大していく予定です。また、クレジット登録・申請・販売までをワンプラットフォームで完結するサービス「Agreen(アグリーン)」を提供しており、クレジットの申請登録時にかかる手続きや書類作成などを簡略化し、クレジット創出者の工数を削減しています。
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