アビームコンサルティング株式会社
医師の経験・ナレッジ活用を高度化し、診療業務の効率化・均てん化を実現する生成AIサービスの開発を開始
順天堂大学(東京都文京区、学長:代田 浩之)とアビームコンサルティング株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山田 貴博、以下、アビームコンサルティング)は、AIを活用した医師の働き方改革の実現に向けた共同研究において、医師の経験・ナレッジの活用を高度化する生成AIサービスの開発を開始しました。医師・医局ごとに蓄積されたノウハウをデータ化し、AIを搭載したナレッジデータベースとして医療現場での活用を促進することで、診療業務の効率化を図るとともに、情報の標準化による地域間の医療サービスの格差縮小を目指します。
■背景
日本では少子高齢化による医療負担の増加が予測され、それに伴う医師不足と過重労働が深刻な問題となる中、2024年4月から時間外労働の上限規制も適応されたことで、医療業界における働き方改革が急務となっています。加えて、医療の地域格差も喫緊課題となっており、地域による診療水準の偏りをなくす医療の均てん化も求められています。
順天堂大学とアビームコンサルティングは、これらの課題に対しAIを用いて解決するサービスの開発を目的として、2024年11月より共同研究「AIを活用した医師の働き方改革実現講座」を進めています。その中でまずは、患者に対して直接医師が行う診察や、治療のための準備に係る業務である診療準備フェーズの効率化・高度化に関する研究を行っており、順天堂大学医学部附属順天堂医院(以下、順天堂医院)に勤務する医師へのヒアリングなどを基に、「各医局に蓄積した経験に基づくナレッジの活用高度化」が優先的課題であることを特定しました。そして両者はこの度、この課題の解決を進める生成AIサービスの開発に着手しました。
■取り組み概要
本取り組みにおいて、医療業界で喫緊課題となっている医師の働き方改革および医療の均てん化に向けた業務改革に対するAI活用の有用性を検証するため、アビームコンサルティングが開発した簡易的に生成AIの業務利用が体験できる「生成AIスターターアプリ※1」を活用し、各種論文やガイドラインなどのデータを取り込んだプロトタイプアプリを構築しました。このアプリを、順天堂医院における脳神経内科、循環器内科、総合診療科の臨床現場で実際に運用し、その利用状況や医師のフィードバック内容を分析した結果、優先して解決すべき事項として「医師のナレッジ・経験の組織全体への共有の不十分さ」と「専門外領域に関する問い合わせ対応に係るリソース負担」を特定しました。(図1)
そこで、生成AI活用による診療業務の改革が期待できるユースケースとして、「医師の経験・ナレッジ活用の高度化・効率化」をテーマに選定し、サービス開発に向けた課題の研究および要件定義、PoC開発を開始しました。順天堂大学の豊富な医療知見と、アビームコンサルティングの高度なAI知見を融合させ、医師・医局ごとに蓄積されたノウハウをデータ化し、診療現場でのナレッジ活用の高度化に貢献するサービスとして開発を進めます。
なお、本サービスは、高度な社会課題・経営課題をAIによって解決するアビームコンサルティングのサービス「AIソーシング※2」の一環として位置づけ、2025年7月までの開発完了および順天堂医院への試験導入を目標に進めます。その後は、順天堂大学医学部のその他附属病院や他の医療機関にも導入可能なレベルへと開発・検証を重ね、将来的な製品化に向けたサービス開発を予定しています。

■共同研究「AIを活用した医師の働き方改革実現講座」について
本共同研究は、医療業界における医師不足・労働環境の改善、医療の均てん化の推進といった社会的な要請に応えるサービス開発を目標に、順天堂大学が誇る日本トップクラスの臨床力と医療業界に精通した知見、そしてアビームコンサルティングが有する高度なAI知見と豊富なコンサルティング経験を融合させ、推進しています。
期間: 2024年11月~2027年10月(予定)
研究代表者: 順天堂大学大学院医学研究科 神経学 特任教授 服部信孝

※1 生成AIスターターアプリ
生成AIを本格導入する前に簡易に業務利用を体験できるサービスです。そのAI体験を踏まえてユースケースを検討するワークショップを行い、業務にフィットした効果的なユースケースの創出およびその導入プラン策定を支援します。短期間で効果的な生成AIの業務実装を図り、企業競争力の強化に貢献します。
https://www.abeam.com/jp/ja/expertise/sl404/
※2 AIソーシングについて
企業経営において専門的な知見やスキルを要する難易度の高い業務に対し、アビームコンサルティングの業務知見とAI技術を用いることで課題を解決するコンサルティングサービスです。
多種多様なプロジェクト実績によって導き出した課題解決の方法論や分析アルゴリズムが蓄積されたサービスプラットフォーム「ABeam AI Platform」を活用し、重要課題の特定からAIソリューションの設計・開発、運用プロセスの構築までを支援し、専門性の高い業務の効率化と高度な課題解決を可能にします。
https://www.abeam.com/jp/ja/news/2024/0319/
※ アビーム、ABeam及びそのロゴは、アビームコンサルティング株式会社の日本その他の国における登録商標です
※ 本文に記載されている会社名及び製品名は各社の商号、商標または登録商標です
順天堂大学について
順天堂は、江戸後期の天保9(1838)年、江戸・薬研堀(現在の東日本橋)に開設したオランダ医学塾「和田塾」に端を発し、今につながる日本最古の西洋医学塾です。現在では、医学部・スポーツ健康科学部・医療看護学部・保健看護学部・国際教養学部・保健医療学部・医療科学部・健康データサイエンス学部・薬学部の9学部をはじめ、大学院6研究科、医学部附属6病院からなる「健康総合大学・大学院大学」として教育・研究・医療そしてリベラルアーツを通じて国際レベルの社会貢献と人材育成を進めております。
ホームページ:http://www.juntendo.ac.jp/
アビームコンサルティング株式会社について
アビームコンサルティングは、アジアを中心とした海外ネットワークを通じ、それぞれの国や地域に即したグローバル・サービスを提供している総合マネジメントコンサルティングファームです。戦略、BPR、IT、組織・人事、アウトソーシングなどの専門知識と、豊富な経験を持つ約8,300名のプロフェッショナルを有し、金融、製造、流通、エネルギー、情報通信、パブリックなどの分野を担う企業、組織に対し幅広いコンサルティングサービスを提供しています。アビームコンサルティングは、企業や組織とともに新たな未来を共創し、確かな変革に導く創造的パートナーとして、企業や社会の変革に貢献します。
ホームページ:https://www.abeam.com/jp/ja