株式会社スーパーホテル
「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに、地球にも人にも優しいホテルの運営を手掛ける株式会社スーパーホテル(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:山本 健策、以下 「スーパーホテル」)は、秋田大学大学院医学系研究科(以下「秋田大学」)の上村 佐知子准教授と、株式会社ブレインスリープ(本社:東京都千代田区、代表取締役 : 廣田 敦、以下 「ブレインスリープ」)と共同で、ホテルに設置された天然温泉における睡眠効果について検証を行いました。検証の結果、天然温泉に入ることで、身体内部の深部体温の低下を促し、寝つきが良くなることが示されました。

【共同研究の背景】
ホテルに宿泊する多くのゲストにとって、最も長く過ごす時間は“睡眠”の時間です。しかしながら、ホテルは自宅とは異なる環境であり、音・光・温度・寝具の違いなどから、眠りが浅くなるなど、睡眠が乱れやすい傾向にあります。
スーパーホテルは、お客様に「ぐっすり」眠っていただき、翌日元気に万全の状況で1日をスタートしていただくという理念のもと「ぐっすり研究所」を設立し、睡眠に特化した取り組みを行っています。
この度スーパーホテルからの依頼のもと、温泉の睡眠への効果に関して第一線で研究されている秋田大学の上村佐知子准教授とブレインスリープが共同で、ホテルの天然温泉が睡眠に効果があるか検証を行いました。
本検証の結果は、天然温泉の睡眠への効果を実証しており、睡眠課題解決の一つとして期待されます。
■検証概要
本検証では、ホテル内の天然温泉が睡眠に与える効果検証を以下の方法で実施しました。
検証期間:2024年11~12月
被験者数:20~60代の18名(男性7名、女性11名)
実施場所:湯元「花乃井」スーパーホテル大阪天然温泉
検証方法:「天然温泉条件(就寝前にホテル内の天然温泉に入浴する)」と「部屋風呂条件(就寝前に客室内の風呂※1に入浴する)」と「朝シャワー条件(起床後にシャワーを浴びる)」の3条件にそれぞれ3日間ずつ参加するクロスオーバー試験で実施しました。
測定項目:脳波、活動量、深部体温、アンケート評価(OSA睡眠調査票)※2
※1 天然温泉の温度40℃に調整し、入浴時間も天然温泉条件と統一
※2 睡眠感を統計的に尺度化した、一般社団法人 日本睡眠改善協議会が提唱している一般的な睡眠評価方法
■検証結果
以下の結果より、寝る前に天然温泉に入浴した宿泊日の方が寝つきが良くなり、睡眠への評価も高いことが確認されました。この結果は、天然温泉に入ると効率的に深部体温が上昇して、就寝時にはスムーズに低下したことが起因していると考えられます。
結果①:脳波による客観データ
脳波データを解析したところ、天然温泉条件の方が有意に睡眠潜時(就寝してから寝つくまでの時間)が短いことが確認されました。このことから天然温泉に入浴した宿泊日の方が早く寝つけたことが客観データからわかりました。

結果②:アンケートによる主観データ
起床時の自身の睡眠を評価する心理尺度であるOSA睡眠調査票を用いたアンケート評価で、睡眠に関する主観的評価を比較しました。5つの睡眠因子のうち、以下の4つの睡眠因子において、天然温泉条件の方が有意に点数が高いことが確認されました。
このことから天然温泉に入浴した宿泊日の方が寝つきが良く、安定していた睡眠を取れており、起きた時はすっきりとした感覚があると評価していることがわかりました。
Ⅰ. 起床時眠気・・集中力や開放感など、どれだけ意識がはっきりしているか
Ⅱ. 入眠と睡眠維持・・寝つきが良かったか・睡眠の途中に起きることがなく安定して眠れていたか
Ⅳ. 疲労回復・・疲労回復度(リフレッシュ感)があるかどうか
Ⅴ. 睡眠時間・・充分な睡眠時間であったと感じるか

結果③:深部体温による客観データ
身体の中の温度である深部体温は体内時計に従って日中に上がり、夜に下がります。良質な睡眠のためにはこの深部体温を適切に下げることが重要です。深部体温は外的要因によって一時的に上昇すると、その後、体温調節機能により下がりやすくなる傾向があるため、就寝前の入浴は深部体温の低下を促し、入眠しやすくなるとされています※3
本検証では、深部体温の最高温度と最低温度の差分を指標として採用し、値が大きいほど深部体温が下がっていることを指します。結果は、天然温泉条件の方が有意に最高温度と最低温度の差分が大きく、より効率的に深部体温が低下していることが確認されました。
※3 出典:西野精治 「スタンフォード式 最高の睡眠」(サンマーク出版)

■秋田大学 上村佐知子准教授コメント
出張や旅行で普段よりも疲れたとき、体を休め、リフレッシュできるのはなんといっても温泉浴です。日本人は温泉を好み、湯治(とうじ)という言葉もあるほどです。
温泉には血行改善や鎮痛作用に加えて睡眠の促進作用があることが分かっています。その理由は、温泉はその多くが強い加熱効果を持ち、家庭浴よりも深部体温が上がるからです。人間の体は、深部体温が上がり過ぎないようにコントロールされているため、急上昇した深部体温を急激に下げようとします。このとき、人間は強い眠気を催すことが分かっています。また、その後深夜に普段よりも深部体温が下がることが分かっており、このことは熟眠感を与えることが分かっています。
今回のスーパーホテルの天然温泉の研究においても急激な深部体温の上下動とこれに起因する寝つきのよさが実証されました。私も出張の際にはぜひ利用したいと思います。

上村 佐知子(うえむら さちこ)
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座准教授
■ブレインスリープ最高研究顧問 西野精治教授コメント
秋田大学の上村先生とは以前から、入浴や温泉浴が睡眠に及ぼす効果について研究を行っています。入浴では、一時的に体の中の温度(深部体温)が上昇し、その後の下降時期に就寝することで熟睡が得られることがわかっています。また、温泉と通常の入浴を比較した結果、温泉浴では同じ条件(通常の入浴と同じ温度・入浴時間)でも深部体温の上昇と就寝時の下降がより顕著であり、それに伴ってより深い睡眠が得られることが確認されました。
スーパーホテルには天然温泉があり、スーパーホテルに宿泊すると、好きな時間に気軽に温泉浴を楽しむことができます。このため、温泉の睡眠への効果をスーパーホテルの宿泊条件下で検証しました。前回の研究結果と同様に、天然温泉浴ではシャワーや部屋風呂に比べて寝付きが早く、質の高い深い睡眠が得られました。
翌朝には眠気が少なく、疲労回復感があり、しっかりと休息を取れた睡眠が実現しました。スーパーホテルの天然温泉浴で最適な睡眠が得られたことは、温泉の成分が熱を効率よく体に吸収させ、深部体温を高め、強く下降させることに起因していると考えられます。仕事や観光での疲れを癒すには、スーパーホテルは最適な選択肢です。

西野 精治(にしの せいじ)
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所所長
株式会社ブレインスリープ 創業者 兼 最高研究顧問
医師、医学博士
認定資格 精神保健指定医、日本睡眠学会専門医、産業医
【共同研究機関】
秋田大学
所在地:秋田県秋田市本道1-1-1
大学HP:https://www.akita-u.ac.jp/honbu/
所属:秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
職名:准教授
本検証研究者:上村 佐知子

株式会社ブレインスリープ
所在地:東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー26F
ブランドサイト:https://brain-sleep.com/
職名:最高研究顧問
氏名:西野 精治

【株式会社スーパーホテルについて】
「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに、健康でサステナブルなライフスタイルを提案するホテルとして国内173店舗、海外1店舗(ミャンマー)を運営。(2025年4月21日時点)
ITの活用による生産性向上と、高品質な接客・サービスによる顧客満足度の向上を両立させ、2024年は「J.D. パワー“ホテル宿泊客満足度10年連続 No.1<エコノミーホテル部門>”」と「JCSI (日本版顧客満足度指数)調査顧客満足度2年連続No.1」 をダブル受賞しました。
また環境保全の取り組みを行っている業界をリードする環境先進企業を環境大臣が認定する「エコ・ファースト制度」では、ホテル業界で唯一認定を受けています。環境保全活動以外にも地域活性化や次世代支援などのSDGs推進活動に積極的に取り組んでいます。
※J.D. パワー2014-2024年ホテル宿泊客満足度調査。*調査実施年ベース(2020年は調査実施なし)。
最多客室面積が15㎡未満のホテルブランドが対象(2014-2023年は正規料金の最多価格帯9,000円未満かつ最多客室面積が15㎡未満のホテルブランドが対象)。2024年調査は直近1年間に宿泊した6,007名からの回答による。japan.jdpower.com/awards
公式サイト : https://www.superhotel.co.jp/
SDGsの取り組み : https://www.superhotel.co.jp/sdgs/
「ぐっすり研究所」の取り組み:https://www.superhotel.co.jp/gussri/
「エコ・ファースト制度」について:https://www.env.go.jp/guide/info/eco-first/