株式会社フルヤ金属
(クロールアルカリ業界における金属リサイクルのエコシステム構築へ)
株式会社フルヤ金属(本社:東京都豊島区、社長:古屋堯民、以下「フルヤ金属」)と旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤幸四郎、以下「旭化成」)はNobian Industrial Chemicals B.V.(本社:オランダ・アメルフォースト、CEO:Michael Koenig、以下「Nobian」)、Mastermelt Ltd(本社:イギリス・ロンドン、CEO:Rick Reidinge、以下、「Mastermelt」)と連携して食塩電解用のセルおよびその内部に組み込まれる電極(以下「セル・電極」)に使用される金属リサイクル(以下、「本取り組み」)に関する実証を開始することをお知らせします。フルヤ金属は本取り組みを通じて、希少金属のリサイクルによりクロールアルカリ※1業界におけるエコシステム構築に取り組みます。

食塩電解セルに使用される電極にはイリジウム・ルテニウムなどの希少金属が使用されています。イリジウム・ルテニウムは耐熱性、耐薬品性、電導性能などに優れており工業用素材としてエレクトロニクスや半導体、さらにはグリーン水素・エネルギーなどの様々な産業で用途が広がっている金属です。フルヤ金属ではこれらの金属を40年にわたり取り扱い原料の調達から超高純度精製技術に加え、高度な加工技術とリサイクル技術、リサイクル能力をそなえ多くのお客様へ供給し高いグローバルシェアを得ています。年々需要が高まっているイリジウム・ルテニウムですが希少性が高いためにフルヤ金属ではこれらの金属を安定的に供給するために長年リサイクルによる効率的な利用に取り組んでまいりました。
クロールアルカリ業界においては希少金属の安定確保と効率的な循環利用が課題として重要性を増しており、フルヤ金属は本取り組みによりクロールアルカリ業界の貴金属リサイクルプロセスの確立に貢献してまいります。
また、本取り組みでは、まず旭化成がNobianから耐用年数を迎えた電極を回収し、次にMastermeltとフルヤ金属において、電極からの触媒剥離と次工程に向けた剥離物の加工を行い、加工後の剥離物から貴金属を抽出・高純度化します。そして、旭化成がその貴金属を原材料とした触媒を塗布した電極(以下、リサイクル触媒電極)を製造します。このリサイクル触媒電極を使用してNobianが食塩電解を行うことで、苛性ソーダと塩素の製造における資源循環が可能となります。このように、4社が連携し、使用済みのセル・電極から貴金属を含む金属を回収・再利用するリサイクルプロセスの確立を推進していきます。
フルヤ金属ではこれからもイリジウム・ルテニウムの効率的な安定供給に取り組み、更に多くの産業でイリジウム・ルテニウムの用途を拡げることにより、デジタル社会やグリーン社会の発展に貢献してまいります。
【旭化成株式会社について】
旭化成のイオン交換膜法食塩電解プロセスは1975年に販売を開始して以来、50年にわたる実績とワンストップで供給できる食塩電解プロセス技術の幅広さにより、お客さまから高い信頼を得ています。クロールアルカリの2024年の世界需要は約1億トン※2であり、そのうち旭化成は全世界で30か国、160工場以上(2024年12月現在)で採用され、その累積受注量は3,000万トン(100%苛性ソーダベース)を超えるグローバルな実績のあるサプライヤーです。イオン交換膜法食塩電解プロセスとは、イオン交換膜を使用して食塩水を電気分解し、塩素、水素および苛性ソーダを生産するシステムです。このプロセスは、水銀やアスベストなどを使用するプロセスに比べ、省エネルギー である点が高く評価されています。旭化成の高い技術力を活かした低電圧膜と電解槽の組み合わせは、電解プロセスにおける電力消費量を減らすことで、CO2排出量の低減に貢献しています。
※1 クロールアルカリ:食塩水を電気分解して塩素と苛性ソーダを製造するプロセスで、有機物、無機物、医薬品、石鹸・洗剤などの多くの最終用途に使用されています。
※2 2023年8月4日「2024 World Analysis-Chlor-Alkali-Appendix」
以 上