株式会社日本農業新聞

株式会社日本農業新聞(東京都台東区、代表取締役社長:田宮和史郎)が運営するコンソーシアム「みどりGXラボ」(代表:枝元真徹・元農水事務次官)は2025年4月21日、農水省の渡邊毅事務次官に政策提言「みどりGXビジョン」を提出しました。提言は、ラボ主催のセミナーで会員らから出された意見や課題を基にまとめたもの。農業の環境負荷低減や脱炭素化を進め、「持続可能な食と農」を実現するため、有機農業や温室効果ガスの排出削減など7分野にわたり提起しました。
(本紙掲載の記事はこちら):
https://www.agrinews.co.jp/news/index/301774
(「みどりGXビジョン」全文はこちら):
https://www.agrinews.co.jp/page/midori_gx_proposal
(PDF):
d89547-101-ca312016b9dd6609af3f01edeb39635c.pdf
■活動の集大成
みどりGXラボは、多様な主体の連携で「持続可能な食と農」の実現を目指すコンソーシアムとして、2024年7月に設立されました。農家やJAなど農業関係者だけでなく、自治体、企業、研究者、消費者らが入会しており、会員数は現在、970超(個人・団体)。毎月1回、さまざまなテーマで、有識者の講演や実践事例の報告を行うオンラインセミナーや交流イベントを開いています。今回の政策提言「みどりGXビジョン」は、24年度に開いた計8回のセミナーやイベントで出された意見や課題を基に、代表や5人の運営委員による協議を踏まえてまとめました。24年度のみどりGXラボの活動の集大成といえます。


■現場の声を反映 7分野で提言
政策提言「みどりGXビジョン」は、「温室効果ガスの排出削減」「有機農業、減農薬・化学肥料」「地域資源の活用・循環」「環境再生型農業」「生物多様性の保全」「エシカル消費の推進」「気候変動への適応策」の7分野にわたり提起しました。いずれも、みどりGXラボが24年度に開いたセミナーのテーマに適合します。
このうち、有機農業については、有機農産物の販路として期待される学校給食への供給に対する支援の必要性を指摘しました。単に販路とするだけでなく、学校給食での利用を食育の一環とし、農業への理解を深めることも提言しました。有機農業を国内で広く普及する契機として、国際有機農業運動連盟(IFOAM)主催の有機世界大会の日本開催誘致も求めました。同大会は韓国や台湾で開催実績があります。
温室効果ガスの排出削減に向けては、排出量の削減を国が認証し、売買できるようにしたJ-クレジット制度の活用を促すため、手続きの簡素化を求めました。地域の農業者を取りまとめて申請を補助するJAなどへの支援も必要だとしました。
みどりGXラボが目指す「持続可能な食と農」とは、気候変動に適応し、環境を持続可能にするだけでなく、個々の農業経営や地域も持続可能となる農業・社会の在り方です。このため、いずれの提言も、農業の現場の声を踏まえ、現場で環境に配慮した取り組みをさらに進めるためにはどうしたらいいか、という実践的な視点でまとめています。
■25年度は有機農業、温暖化対策に重点
みどりGXラボは、活動2年目となる2025年度、会員の関心の高い「有機農業」と「温暖化(高温)対策」をオンラインセミナーで重点的に取り上げ、深掘りしていきます。
温暖化対策では、第1弾として「シリーズ暑さに克つ①今から備える水稲の高温対策」を5月28日(水)に開きます。夏場の高温が常態化し、米の品質などに深刻な影響を及ぼしている中、高温に負けない米づくりのコツを専門家に聞きます。講師は、水稲の栽培技術に詳しく、各地で高温対策の講演を行うファーム・フロンティアの藤井弘志さん(山形大学農学部客員教授)。高温耐性品種「にじのきらめき」の生産部会を立ち上げたJA晴れの国岡山の事例報告も行います。稲作農家必見のセミナーです。
6月19日(木)には、「シリーズ有機農業」の第2弾として、「JAの役割とは」をテーマとしたセミナーを開きます。有機農業を巡っては、地元自治体との連携や販路の確保、生産者の育成・指導など、JAが果たす役割が注目されています。本セミナーは、JAグループが率先して有機農業に取り組む茨城県から、みどりGXラボ初の出張セミナーとして配信。茨城県内の3JA(やさと、常陸、水戸)と、徳島県のJA東とくしまを迎え、JAが有機農業に関わる意義や、具体的な取り組み方を聞きます。
どちらのセミナーも、会員登録をすれば無料で参加できます。
(申し込みはこちらから)
5月28日「シリーズ暑さに克つ①今から備える水稲の高温対策」:
https://www.agrinews.co.jp/page/midori_gx_seminar_2502
6月19日「シリーズ有機農業②JAの役割とは」:
https://www.agrinews.co.jp/page/midori_gx_seminar_2503


■みどりGXラボについて
気候変動の影響が顕在化する中、農業の環境負荷の低減・脱炭素化を進め、「持続可能な食と農」の実現を目指すコンソーシアムとして、日本農業新聞が2024年7月に設立しました。農業関係者以外も巻き込み、企業、自治体、消費者など多様な主体の連携で課題解決を試みるプラットフォームです。主な活動は毎月1回のオンラインセミナーと、年2回の会員交流会、先進的な実践事例を表彰する「みどりGXアワード」など。学びと仲間づくりから、実践につなげます。農家やJA、自治体、研究機関、学校、学生、消費者などは無料で入会できます。活動や情報は、日本農業新聞やLINEを使ったデジタルメディア「みどりGX新聞」で発信しています。
<概要>
・名称 みどりGXラボ
・主催 株式会社日本農業新聞
・代表 枝元真徹(元農水事務次官、大日本水産会会長、みどりGX新聞特別編集長)
・運営委員 入江満美氏(東京農業大学国際食料情報学部准教授)
香坂玲氏(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
鈴木定幸氏(茨城県常陸大宮市長)
山下麻亜子氏(ビビッドガーデン取締役執行役員COO)
山下正明氏(兵庫県・JAたじま代表理事専務)
・設立日 2024年7月3日
・会員数 972(2025年4月22日現在)
・公式サイト https://www.agrinews.co.jp/page/midori_gx
【お問い合わせ先】
株式会社日本農業新聞ソリューション事業部
メール:midorigx@agrinews.co.jp