独立行政法人国立美術館 国立アートリサーチセンター


文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
国立アートリサーチセンター(略称:NCAR、センター長:片岡真実)は、日本の若手アーティストとキュレーターの国際的な活躍を目的とする育成プログラム「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」(略称「JUMP」)を実施しています。2025年4月に育成対象のアーティストとキュレーター3組計7名が決定し、対象者は海外3都市(リスボン、ロサンゼルス、シドニー)の美術館と協働しながら、2027年3月までに作品制作とその展示を行います。
育成対象のキュレーターは公募で選出され、そのキュレーターと海外の美術館が協議し、アーティストを決定しました。対象者は国際的な経験やネットワークを広げながら、リサーチに基づいた作品制作に取り組みます。NCARでは、有識者によるメンタリングや現代アート関係者とのネットワーキング構築、海外アートシーンの視察などの機会を提供するなど、彼らの活動を包括的にサポートします。
今後の活動内容や進捗については、ウェブサイト(https://jump-ncar.artmuseums.go.jp)およびインスタグラム(https://www.instagram.com/jump.ncar/)を通じて随時公開していきます。
リスボン CAM – グルベンキアン・モダンアートセンター
青柳 菜摘(アーティスト)+ 見留 さやか(山口情報芸術センター[YCAM]キュレーター)
ロサンゼルス ロサンゼルス現代美術館
MES(新井 健・谷川 果菜絵)(アーティスト)+ 塚本 麻莉(高知県立美術館 主任学芸員)
シドニー ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館
遠藤 薫(アーティスト)+ 荒井 保洋(滋賀県立美術館 主任学芸員)
■協働先海外美術館および育成対象アーティスト・キュレーター
美術館/リスボン(ポルトガル)


青柳 菜摘 Aoyagi Natsumi
1990年東京都生まれ。映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、フィールドワークやリサーチをもとに、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。近年の活動に個展「亡船記」(十和田市現代美術館、2022)、国立女性美術館 日本委員会[NMWA Japan]第7回「Women to Watch」候補に選出(2022)、「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」展(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、2024)など。詩集『そだつのをやめる』(thoasa、2022)が第28回中原中也賞受賞。コ本や honkbooks主宰。

見留 さやか Mitome Sayaka
山口情報芸術センター[YCAM]キュレーター
東京都出身。十和田市現代美術館キュレーター(2016–2023)を経て現職。男性中心主義や近代的な価値観のもとで捉えられてきたセクシュアリティやジェンダーに関する分類・分断の関係性を調査・研究している。方法論としては、キュレーションとエデュケーションを横断する仕組みに関心を持ち、地方の美術館・アート施設を軸に、特権的ではない美術館の在り方を模索している。これまでに担当した主な展覧会に、「名和晃平 生成する表皮」(2022)、「百瀬文 口を寄せる」(2022–2023)、「劉建華 中空を注ぐ」(2023)などがある。
美術館/ロサンゼルス(アメリカ合衆国)


MES
新井健と谷川果菜絵が2015年から共同制作するアーティストデュオ。クラブカルチャーと現代美術を行き来しながら、光や熱をとおして、世界の暗さを静かに、あるいは激しく照らすインスタレーションとパフォーマンスを行う。近年の個展に「祈り/戯れ/被虐的な、行為 P-L/R-A/E-Y」(2024)、「DISTANCE OF RESISTANCE/抵抗の距離」(2021)。出展に「MYAF 2024: Super Spectrum Specification」での《ダイ/DA-I》、「Reborn Art Festival 2021夏」での《サイ/SA-I》など。またパーティー「REVOLIC -Revolution Holic/革命中毒」をはじめ、演出・出演・オーガナイズと常にコラボレーティブで交差的な試みを探求している。

塚本 麻莉 Tsukamoto Mari
高知県立美術館 主任学芸員
大阪府出身。2016年より同館で学芸員として勤務。作家との対話を重視しながら、会場ごとの地域性や特性を生かしたキュレーションを行う。高知県立美術館では、2020年に高知ゆかりの作家を取り上げる個展シリーズ「ARTIST FOCUS」を立ち上げたほか(#1竹﨑和征、#2平川恒太、#4甫木元空の個展を担当)、2022年に「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」展を行う。館外の企画に、「竹﨑和征+西村有 続・並行小舟唄」(越後妻有里山現代美術館MonET、2023)、「原田裕規個展 やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、2023)などがある。
美術館/シドニー(オーストラリア)


遠藤 薫 Endo Kaori
2013年沖縄県立芸術大学工芸専攻染織科卒業。2016年志村ふくみ主宰アルスシムラ卒業。沖縄や東北をはじめ国内外で、その地に根ざした工芸と歴史を基盤に、生活と密接な関係にある社会的、政治的な関係性を紐解く。主に工芸技法を用いて「工芸」の拡張を試みる。その作品は、雑巾や落下傘、舟やその帆、ガラスや陶芸など、テーマによって様々な形をとる。近年、無意識の形に触れるべく、自身の夢から得た作品制作のアプローチがある。近年の主な展覧会に「国際芸術祭あいち2022」(一ノ宮市豊島記念資料館、2022)、「Osaka Directory3 遠藤薫『重力と虹霓ー南波照間島について』」(大阪 中之島美術館、2023)「美術の中のかたちー手で見る造形 遠藤薫『眼と球』」(兵庫県立美術館、2023)がある。

荒井 保洋 Arai Yasuhiro
滋賀県立美術館 主任学芸員
福岡県生まれ東京都出身。多摩美術大学芸術学科助手(2011-2015)を経て現職。アーティストの制作に寄り添いながら、作品と空間の関係性が鑑賞体験に及ぼす影響を軸に置き、キュレトリアルな実践を行っている。これまで担当した主な展覧会に、「シガアートスポットプロジェクトVol.1-3」(2018-2020)、滋賀県立美術館リニューアルオープン記念展「Soft Territory かかわりのあわい」(2021)、「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」(2023)など。

プログラム名の「JUMP」には、参加するアーティストとキュレーターが境界や文化的差異をしなやかに飛び越え、グローバルに繋がりを築きながら羽ばたいてほしいという願いが込められています。

文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
運営:独立行政法人国立美術館 国立アートリサーチセンター(NCAR)
※本プログラムは、文化庁の補助金により独立行政法人日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金」の「クリエイター等育成プログラム(現代アート区分)」です。
◆国立アートリサーチセンター(NCAR)の事業について (https://ncar.artmuseums.go.jp/)
NCARは「アートをつなげる、深める、拡げる」をミッションに、情報収集と国内外への発信、コレクションの活用促進、人的ネットワークの構築、ラーニングの拡充、アーティストの支援など、わが国の美術館活動全体の充実に寄与する活動に引き続き取り組んでいきます。