河出書房新社
現代社会の様々な難題に直面する今こそ、“哲学”が求められている!

株式会社河出書房新社(本社:東京都新宿区 代表取締役:小野寺優)は、竹田青嗣・苫野一徳共著による『伝授! 哲学の極意』(河出新書)を、2025年4月24日に刊行いたします。
哲学は徹底的に問題を突きつめて考えるための最強のアート(技術)である。
いま、私たちは、かつて経験したことのない問題に直面しています。
一見、こたえの見えない問いに対して、「誰が考えてもそう考えるしかない」こたえを探しだす思考が、「哲学」です。そして表面的な思考ではなく、問題を根っこから引き抜き解決する哲学の思考法こそが今、求められています。
現代を代表する哲学者であり、師弟関係にある竹田青嗣さんと苫野一徳さんが、紀元前6世紀のタレスに始まり、現在にいたるまでリレーされてきた、哲学の歴史を振り返りながら、その極意と学び方を伝授します。
■苫野一徳による「はじめに」より抜粋
哲学は“思考の原理”であるということ。そしてまた、その原理のバトンをつなぐ“思考のリレー”であるということ。
本書で私たちは、このことをできるだけ明快に示したいと思っています。師弟対談という、まさに“思考のリレー”の実例を通して。
竹田先生が、過去の偉大な哲学者たちから受け継いだバトンは、不肖の弟子の私を含め、次世代の多くの人たちに送られてきました。
そのバトンを、さらに多くの人へとつないでいきたい。特に若い読者のみなさんに、本書を通して、山積する世界の課題を解決するための思考の方法を手に入れていただきたい。そんな思いが、私たちに本書を書かせることになりました。
終わらない戦争、テロ、パンデミック、金融危機、経済格差……。現代社会の問題を挙げればきりがありません。地球環境問題はいうまでもなく、技術やゲノムテクノロジーなどの進化がもたらすであろう未知の世界をめぐっては、時に人類存亡の危機さえ叫ばれるほどの騒がれようです。
百年後にふり返ってみれば、これらの問題のいくつかは、ただの空騒ぎだったといわれておしまいの可能性もあります。しかしそれでも、現代を生きる私たちの多くは、いま、何か新しいことが進行中であることを感じ取っているはずです。人類がかつて経験したことのないような転換点に、私たちはひょっとしたら立っているのではないか。そんな感覚を、多くの人がもっているのではないかと思います。
そんな時代にあって、私たちはこれから、一体どこへ向かうべきなのか?
哲学は、こうした問いに正面から挑むものです。
「私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」
多くの科学者たちが、これまでこの問いを問うてきました。それは哲学者たちも同様です。しかし哲学は、この問いに加えて、私たちはどこへ行くべきなのかを考えます。どのような社会、世界を、私たちはめざしていくべきなのか? そのための思考の方法を、哲学は長い歴史を通して鍛え抜いてきたのです。
■目次
はじめに 苫野一徳
第1章 哲学をよみがえらせる
哲学は瀕死の状態である/哲学はいかに世界を説明するか/マルクス主義とポストモダン思想の問題/科学は「事実学」、哲学は「本質学」/「そもそも」を問う/私には哲学がこのように役立った/哲学はリレーされることで鍛えられる
第2章 哲学の根源をたどる
「本質学」としての哲学の根本を探る/近代民主主義の根本原理としての「自由の相互承認」/人間は「自由」を求める/哲学の原理は現実を動かす/ホッブズ「普遍戦争」の原理/ルソー「一般意意志」の原理/ヘーゲル「一般福祉」の原理/哲学史における「思考のリレー」/普遍的な認識はありうるか/ソフィスト対プラトン・アリストテレス/現代まで続く対立/カント/ヘーゲル/ニーチェ/現象学こそが答えを出す/意味や価値の問いを考える方法/人間は「価値」の世界を生きている
第3章 何を、どこから、どのように考えるか
哲学は何を探究するのか?/いま、何を問うべきか/「よく生きる」とはどういうことか/ファクト主義とその問題/事実から「〜すべし」は直接導けない/心脳一元論の誤り/思考の始発点としての「欲望」/「イメージ当てはめ型批判」の問題/「見えない権力」という表象/どのような権力であれば「正当」か/「資本主義批判言説」の問題
第4章 現代社会をどう考えるか
資本主義の「本質」を明らかにする/マックス・ヴェーバー説/起源論と本質論/国家間の相互承認/資本主義批判の正当な根拠/資本主義に代わる思想を考えるなら
第5章 未来社会をどう作るか
資本主義が抱える問題の本質/グローバル化によって生じる問題への向き合い方/気候問題から考えてみる/人口問題の考え方/民主主義はもう終わり?/「世界政府」は可能か?/問題を明確にし、ともに考える
第6章 哲学をどう始めるか
哲学の始め方/古典を時代順に読んでいく/お気に入りの哲学者を見つける/本質観取の哲学対話/学校教育の中で
おわりに 竹田青嗣
■著者紹介
竹田青嗣(たけだ・せいじ)
1947年大阪府生まれ。専門は哲学。早稲田大学名誉教授 。著書に『哲学とは何か』『欲望論(全2 巻)』『はじめてのフッサール『イデーン』』『超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』』『現象学 の理念』『自分を知るための哲学入門』『現象学入門』『中学生からの哲学〈超〉入門』『新・哲学入 門』『ニーチェ入門』『言語的思考へ』『人間的自由の条件』など多数。
苫野一徳(とまの・いっとく)
1980年生まれ。専門は哲学、教育学。熊本大学大学院教育学研究科准教授 。著書に『「学校」をつくり直す』『子どもの頃から哲学者』『どのような教育が「よい」教育か』『勉強するのは何のため?』『学問としての教育学』『はじめての哲学的思考』『愛』『未来のきみを変える読書術』『「自由」はいかに可能か』『『エミール』を読む』『親子で哲学対話』など多数。
■書誌情報
レーベル名:河出新書
書名:伝授! 哲学の極意
サブタイトル:本質から考えるとはどういうことか
著者:竹田青嗣、苫野一徳
仕様:新書判/並製/256ページ
初版発売日:2025年4月24日
定価:990円(本体900円)
ISBN:978-4-309-25477-7