株式会社 岩波書店
株式会社 岩波書店(本社:東京都千代田区)は、2025年5月29日に岩波少年文庫『火明かり ゲド戦記別冊』を刊行いたします。
シリーズ第一作『影との戦い』原書刊行から50年後、作者アーシュラ・K.ル=グウィンの没後に発表された「ゲド戦記」最後のエピソード「火明かり」を、岩波少年文庫より邦訳刊行いたします。

岩波少年文庫632
『火明かり ゲド戦記別冊』
アーシュラ・K. ル=グウィン〈作〉
井上里/清水真砂子/山田和子/青木由紀子/室住信子〈訳〉
2025年5月29日刊行
ISBN 978-4-00-114632-5
本体価格900円+税
URL:https://www.iwanami.co.jp/114632
まどろみながら、彼は考えていた。あの小さな舟で旅した日々を——。
作家没後に公表された「火明かり」。ほか、未邦訳短編やエッセイ・講演などを収めた、日本語版オリジナル編集の別冊。解説=中島京子
■「ゲド戦記」について
アメリカの作家アーシュラ・K. ル=グウィンによる、無数の島々と海からなるアースシー(Earthsea)を舞台にしたファンタジー。並はずれた魔法の力をもつ男ゲドの波乱万丈の人生を軸に、深い思想とすぐれた構成力にささえられた壮大な物語です。
ル=グウィンが創りだしたアースシーの世界は、数多くのファンタジー作品にも影響を与えました。
■「ゲド戦記」刊行の歴史
「ゲド戦記」(原書)は当初、1968年から72年にかけて三部作として刊行されています。
その18年後、1990年に4作目『帰還』が刊行され、シリーズは完結したと思っていた読者を驚かせます。さらにその11年後、2001年に5作目『ドラゴンフライ』、6作目『アースシーの風』が発表され、またしても大きな驚きをもって迎えられました。
そして、アースシーの過去が舞台の「オドレンの娘」を2014年に発表した後は、2018年1月に作者の逝去によって、ゲドの物語はいよいよ完全に幕を下ろしたかに見えたのでした。
■ゲドの最後のエピソードとなる「火明かり」
ル=グウィンの没後、2018年の夏に雑誌「パリ・レビュー」にて短編「火明かり(Firelight)」が発表され、大きな話題となりました。それは、死を目前にしたゲドの、まさしく「最後の」物語だったからです。30ページにも満たないこの美しい掌編は、ゲドとともに長年、旅してきた人々の心をゆさぶるものでした。
■初邦訳短編も収録! 『火明かり ゲド戦記別冊』収録全リスト
序文── ”The Books of Earthsea”に寄せて(井上里 訳) 〈初邦訳〉
オドレンの娘(井上里 訳) 〈初邦訳〉
火明かり(井上里 訳) 〈初邦訳〉
アメリカ人はなぜ竜がこわいか(室住信子 訳)
夢は自らを語る(山田和子 訳)
子どもと影と(青木由紀子 訳)
「ゲド戦記」を“生きなおす”(清水真砂子 訳) 〈単行本初収録〉
解説 ル=グウィンの幸福な「発見」を読む幸福な読者として(中島京子) 〈書き下ろし〉
出典・日本語版刊行一覧
■「火明かり」冒頭1ページ分を、刊行に先駆けて特別公開!
「web岩波*たねをまく」にて公開中。
https://tanemaki.iwanami.co.jp/categories/1120
■同時発売! 全7冊の美装ケースセット
既刊6冊に『火明かり——ゲド戦記別冊』を加えた、岩波少年文庫版の美装ケースセットを同時発売します。

『岩波少年文庫 ゲド戦記 全7冊 美装ケースセット』
アーシュラ・K. ル=グウィン〈作〉
清水真砂子/井上里/山田和子/青木由紀子/室住信子〈訳〉
2025年5月29日刊行
ISBN 978-4-00-204350-0
本体価格6,120円+税
『火明かり ゲド戦記別冊』と『岩波少年文庫 ゲド戦記 全7冊 美装ケースセット』には、通常の少年文庫用栞に代わり、「ゲド戦記」の特製の栞を挟み込みます。

■「ゲド戦記」シリーズ各巻(岩波書店刊)
『影との戦い ゲド戦記1』 原書刊行1968年/日本語版刊行1976年
『こわれた腕環 ゲド戦記2』 原書刊行1971年/日本語版刊行1976年
『さいはての島へ ゲド戦記3』 原書刊行1972年/日本語版刊行1977年
『帰還 ゲド戦記4』 原書刊行1990年/日本語版刊行1993年
『ドラゴンフライ ゲド戦記5』 原書刊行2001年/日本語版刊行2004年
『アースシーの風 ゲド戦記6』 原書刊行2001年/日本語版刊行2003年
『火明かり ゲド戦記別冊』
■作者アーシュラ・K.ル=グウィンについて
1929-2018
アメリカの作家。カリフォルニア州バークレー生まれ。父は文化人類学者A. L. クローバー、母は『イシ——北米最後の野生インディアン』の著者シオドーラ・クローバー。『闇の左手』をはじめとする大人向けのSF作品でヒューゴー賞、ネビュラ賞など、数々の賞に輝く。〈ゲド戦記〉シリーズで、世界中に飛躍的にファン層を広げた。エッセイ集、評論集に『夜の言葉』『世界の果てでダンス』『ファンタジーと言葉』など。