株式会社Liquitous
投稿内容へのAI分析機能の強化・SNS上の意見集約機能を実装、京都市•静岡県などで先行して活用
概要
2025年5月、株式会社Liquitous(本社:神奈川県横浜市、代表取締役CEO:栗本拓幸)は、市民参加型合意形成プラットフォーム 「Liqlid(リクリッド)」 のアップデートを実施しました。
新たに、「Liqlid」への投稿をAIで高度に分析できる機能である「論点の自動抽出機能」 、そして、「Liqlid」での意見募集を補完することを目的に、SNS上での関連するテーマについての投稿を収集・分析する機能である「SNS上の意見集約機能」 を実装し、提供を開始しています。
これらの機能は、令和6年度から静岡県が実施している、こども意見表明のためのLiqlidである「こえのもりしずおか」運用や、令和6年度から京都市が進めている「長期ビジョン(仮称)」策定にあたって、Liqlidをもとに構築されている特設サイト「みんなの理想京」運用などで先行して活用されていたほか、令和7年度からは、より多くの広域自治体・基礎自治体で活用されています。
AIを用いた「論点の自動抽出機能」について
「Liqlid」は、すでに70以上の国内外の自治体で活用されています。
その中で、地域によっては半年で10,000件を超えるような投稿が寄せられるケースもあります。こうした多数の投稿について、単なる数の論理によることなく、どのように効率的に分析し、政策形成等への効果的な市民意見の反映につなげていくかという課題がありました。
そこで、この度開発を行ったものが、「論点の自動抽出機能」です。
論点の自動抽出機能 は、LLM(大規模言語モデル)と自然言語処理を用いて Liqlid に寄せられた投稿を解析し、主要論点を自動分類・可視化します。
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共通するキーワードで投稿をグルーピング
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各論点の投稿数・傾向をグラフ化して可視化
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抽出結果はそのままLiqlidに掲載できる他、報告書・説明資料に転用可能

これにより担当職員は膨大な意見を分類する作業そのものの大幅に削減しつつ、議論の全体像を把握し、迅速な論点整理が可能とすることで、よりコストをかけて、市民意見反映に向けた検討を行う余白を持つことができるようになるものと期待しています。
同時に、単なる数の大小にフォーカスが当たったり、いわゆるハルシネーション(AIが誤った推論を行うこと)を抑止するために、投稿の原文を都度確認できる機能なども搭載しています。
そして弊社は、この機能をどのように活用すると適当か運用にあたってのアドバイザリーも実施することで、AIとの適切な距離感を保った、政策形成への市民意見反映の実現に寄与しています。
京都市 長期ビジョン(仮称) 策定にあたっての特設サイト「みんなの理想京」での活用
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活用自治体:京都市
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概要:京都市は、令和6年度から、2050年に向けた長期ビジョン(仮称)の策定を推進。長期ビジョン(仮称)に関する意見やアイデア等を投稿でき、また、策定過程やイベント等についても発信する目的で、特設サイト「みんなの理想京」をLiqlidをもとに構築。
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投稿数:15,000件程度
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論点の活用方法(例):特設サイト「みんなの理想京」で収集された市民意見等を取りまとめた資料を作成し、総合計画審議会や未来共創チーム会議における委員間議論等で活用。

静岡県 こども・若者の意見表明のためのオンラインプラットフォーム「こえのもりしずおか」での活用
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活用自治体:静岡県
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概要:静岡県は、こども基本法等に基づくこども意見表明の仕組みとして、令和6年度よりLiqlidを活用して、オンラインプラットフォーム「こえのもりしずおか」を構築。「こえのもりしずおか」で収集されたこども・若者意見
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投稿数:2,000件程度
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論点の活用方法(例):令和6年度「こども幸せプラン」策定にあたって、骨子案の検討にあたって、こども若者が投稿した意見に対してフィードバックを実施する際に活用

AIを用いた「SNS上の意見集約機能」について
弊社が考える市民参画のステップとは、行政からの適切な情報提供に基づく意見聴取、意見反映、共同決定です(参考:弊社ホームページ「Liqlid」https://liquitous.com/liqlid )。
他方で、現代社会においては、これらのステップの形に当てはまることなく、多様な形で市民意見が表出されています。
だからこそ、Liqlid上で、適切な情報提供や、アイデア募集を実施する際にも、すでにどのような懸念が表出されているのか、事前に丁寧にリサーチすることで、より適当な情報が添加された情報提供や、市民の皆さんの関心事に叶うアイデア募集に向けた問いの設計が可能になります。
「SNS上の意見集約機能」 は、X(旧Twitter)など SNS 上の公開投稿をテーマ・地域単位で自動収集し、傾向を可視化するオプション機能です。Liqlidに直接投稿されない「プラットフォーム外」の声を把握し、施策検討の早期段階で活用できます。フィルタリングにより不適切投稿を除外しつつ、主要キーワードの推移をダッシュボードで確認可能です。

この機能を活用することで、専門的な知識がなくても、大量のSNS上のデータを一定の条件のもとに収集し、分析することが可能となります。Liqlid上で、情報提供を行う内容を検討する際や、アイデア募集を行う際の問いの設計の参考として活用することで、巨視的には、さまざまな場所に表出する「民意」との双方向性のあるフィードバックを行いながら、市民意見を複層的に収集することが可能になります。
すでに、複数の自治体において、Liqlid上で情報提供を行うコンテンツの内容を企画・検討する際に、予備調査として活用を行っています。
株式会社Liquitous 代表取締役CEO 栗本拓幸のメッセージ
AIは、極めて大きな可能性を秘めている技術であり、これまでも積極的にAIを活用したプロダクト開発や、機能実装を進めてまいりました。その中でも、今回発表いたしました「論点の自動抽出機能」「SNS上の意見集約機能」は、昨今のLLM(大規模言語モデル)と自然言語処理技術の興隆を最大限に活かした機能であり、すでにご活用をいただいている自治体の職員の皆様からも、大変ご好評をいただいています。
他方で、AI利活用は、ハルシネーションに代表されるような、技術に由来する固有の課題をいかに抑止するか、大規模なデータを容易に分類・分析できる故に生起する目的と手段の取り違えにどのように自覚的であろうとするか、はたまたAIを前提とした社会において、市民に何を期待するかという社会観の持ちようなど、さまざまな視座を持ちながら進めていく必要があると痛感しています。
弊社は「市民と行政のコミュニケーション・エージェント」として、こうした先進的な技術を積極的に取り入れつつも、技術のみに依存することのない、参加・参画プロセスの創出を引き続き推進してまいります。
株式会社Liquitousについて

Liquitousは「一人ひとりの影響力を発揮できる社会」を目指し、テクノロジーで政策形成プロセスの包摂性・透明性・対応性をより向上させるため、市民参加型合意形成プラットフォーム「Liqlid」の開発と、導入・運用・定着支援や効果分析を通した社会実装を一気通貫で行う「市民と行政の間のコミュニケーション・エージェント」です。
鎌倉市や京都市、日野市、木更津市をはじめとする全国の自治体や、柏の葉スマートシティをはじめとしたまちづくりにおいて、計画・構想策定や行政ニーズ把握の仕組みや、スマートシティの基盤として「Liqlid」を活用した取り組みを進めています。
〇 社名:株式会社Liquitous(代表取締役CEO:栗本 拓幸)
〇 ホームページ: https://liquitous.com
〇 X(Twitter): https://x.com/liquitous
〇 Facebookページ:https://www.facebook.com/Liquitous/