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アレクシオンファーマ、AIを活用した「診断ラグ」解消に向け、産学協働で心アミロイドーシスの早期診断を目指すコンソーシアムの支援へ

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アレクシオンファーマ合同会社

アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都港区、社長:濱村美砂子、以下アレクシオンファーマ)は5月23日、心アミロイドーシスにおけるAIを活用した早期診断のためのコンソーシアム(「Integrated ATTR- CM Partnership on AI Cardiac Technology(略称:IMPACT)」)を支援することを決定いたしました。

写真左から:アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズ 最高経営責任者兼アストラゼネカ チーフ・ストラテジー・オフィサー マーク・デュノワイエ、高知大学医学部 老年病・循環器内科学 北岡裕章教授、熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学 辻田賢一教授、株式会社コルバトヘルス後藤信一サイエンティフィックアドバイザー、アレクシオンファーマ合同会社社長 濱村美砂子

このコンソーシアムは、熊本大学大学院生命科学研究部の辻田賢一教授が代表理事を務め、心アミロイドーシス治療の第一人者である高知大学医学部の北岡裕章教授、心疾患の診断支援AIに強みを有する株式会社コルバトヘルスの八木隆一郎CEO・後藤信一サイエンティフィックアドバイザーらが発起人となり、年内に設立されるものです。心アミロイドーシスにおける診断ラグをAIで解消することを目的に、早期診断の実現を目指して、環境整備等を産学協働で推進します。

心アミロイドーシスは、心不全や不整脈といった、加齢や他の心血管疾患と類似した初期症状が現れる疾患です。心疾患との鑑別が難しいことから、誤診が多く、正確な確定診断まで時間がかかりやすい「診断ラグ」の課題があります。

AIなどの台頭により、診断サポート技術はここ数年で大きく進展し、早期診断に向けた有効な解決策として期待されています。一方で、日本におけるAIやデジタル技術を活用した診断支援を行うプログラム医療機器(SaMD)の普及は、海外に比べると改善の余地があると言われています。日本においてSaMDの普及が進まない背景としては、1)日本市場導入における経済的インセンティブが弱い、2)診断ツールの精度向上や費用対効果が示されず医師から受け入れに対する理解が得にくい、3)診療ガイドラインなどに組み込まれていない、といった課題が挙げられます(詳細は、アレクシオンファーマ合同会社刊行、「希少疾患白書 『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言」をご覧ください)。コンソーシアムでは、3つのワーキンググループ(WG)が設置されます。AIを活用した診断支援の社会実装と普及を目指して、課題の克服に向けた取り組みが進められます。

  1. 「心エコーAI実装 WG」:AIのエコー診断への実装に向けて運用体制の構築を検討する。

  2. 「認知度向上 WG」:医療現場や関連学会に対する認知・理解促進、教育・啓発活動を推進する。

  3. 「診断フローエビデンス創出 WG」:実臨床に必要な診断に関するエビデンス創出を通じて、診断精度向上と標準化を図る。

心アミロイドーシスについて

心アミロイドーシスは、トランスサイレチン(TTR)と呼ばれるタンパク質が解離することによって引き起こされる全身性の進行性アミロイドーシスです。これらのミスフォールドしたタンパク質はアミロイド線維となり、凝集して心臓に沈着することにより、心臓が血液を送り出しづらい状態である、心筋症を引き起こす可能性があります(※1-5)。

心アミロイドーシスは、疲労、呼吸困難、虚弱、意識消失、下肢や足首の腫れ、不規則な拍動(不整脈)、手根管症候群、脊柱管狭窄症のように多岐にわたる徴候および/または症状を引き起こす可能性があり、他にも、別の疾患に似た漠然とした症状が多いため、診断が複雑になることが多い疾患です(※4,※6-8)。心アミロイドーシスの患者数は世界で30万~50万人と推定されていますが、これらの患者さんの多くは診断には至っていません(※9,※10)。

熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学 教授

辻田賢一(つじた・けんいち)

本コンソーシアムは、制度的課題、医療現場での運用上の課題、そして導入・普及における実装面の課題を乗り越え、AI診断支援ツールを全国へ広げる産学協働のプラットフォームです。心アミロイドーシスの「診断ラグ」を「社会全体の課題」と捉え、数万人規模と推定される未診断患者が一日も早く適切な診断に届く未来を共に実現します。将来的には医療機器メーカーなど多様なパートナーとも連携し、臨床ニーズに即したイノベーションの社会実装を推進していきます。

高知大学医学部 老年病・循環器内科学 教授

北岡裕章(きたおか・ひろあき)

心アミロイドーシスは初期症状が他の疾患と類似しているため、診断が遅れる「診断ラグ」が最大の課題となっており、実際には診断までに3~4年を要することもあります。実際、進行性かつ致死性の疾患である本疾患において、日本での研究では、未治療の場合の生存期間は診断後およそ3.8年(中央値)と報告されており、早期診断が患者さんの予後を大きく左右します。特に心アミロイドーシスについては、未診断の患者さんが全国に5~6万人規模で存在すると推測されています。こうした現状を踏まえ、AIによる心エコー解析は、早期診断を可能とし、進行前の段階で患者さんを救う切り札になり得ると期待しています。専門医として、この技術が多様な医療機関で標準装備される環境の構築を後押ししていきたいと考えています。

株式会社コルバトヘルス CEO

八木隆一郎(やぎ・りゅういちろう)

心エコーを用いたAI診断は、心アミロイドーシスにおける深刻な「診断ラグ」を大幅に短縮する可能性を秘めています。日本では、プログラム医療機器(SaMD)の普及が海外に比べて遅れており、その背景には制度上の課題や導入コストの問題などがあります。こうした状況を打開するためにも、本コンソーシアムを通じてエビデンスの創出と制度整備を加速させ、すでに海外で有効性が示されているAI技術を、日本全国へと広く展開していくことを目指します。

アレクシオンファーマ合同会社 社長

濱村美砂子(はまむら・みさこ)

当社は、心アミロイドーシス領域における新たな治療薬の開発を通じて、患者さんに革新的な治療をお届けできると期待しています。同時に、早期診断の実現に向けたイノベーションの重要性を深く認識しており、そのためのコンソーシアム支援は極めて意義深い取り組みであると考えます。早期診断の実現には、医療従事者、研究者、行政、企業など、多様なステークホルダーが連携し、診断精度の向上とアクセス改善に取り組むことが不可欠です。今回のコンソーシアム支援は、当社が推進する「患者中心主義」の理念と合致するものであり、患者さんに一日でも早く適切な診断と治療が届く未来の実現に向けて貢献してまいります。

アレクシオンファーマ合同会社について

アレクシオンファーマ合同会社は、アストラゼネカの希少疾病部門アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズ(本社:⽶国ボストン)の日本法⼈として、患者さんの⼈⽣を⼀変させるような治療薬の発⾒、開発、提供を通じて、希少疾患ならびに深刻な病状の患者さんとそのご家族への貢献に注⼒しています。30年以上にわたり希少疾患領域の先駆的なリーダーであるアレクシオンは、補体系の複雑な仕組みを活用して革新的な治療薬を創製した最初の企業であり、現在も多くのアンメットニーズを有する疾患領域において、様々なイノベーションのもと多様なパイプラインを構築しています。アストラゼネカの⼀員として、より多くの世界中の希少疾患をもつ患者さんに治療薬をお届けできるよう、グローバル展開を拡⼤し続けています。

アレクシオンファーマ合同会社に関する詳細についてはhttps://www.alexionpharma.jp/を、日本におけるサステナビリティ活動はhttps://alexionpharma.jp/sustainabilityをご覧ください。YouTubeはhttps://www.youtube.com/@alexionpharma_japanをご覧ください。

アストラゼネカについて

アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

References

※1. Witteles RM, et al. Screening for transthyretin amyloid cardiomyopathy in everyday practice. JACC: Heart Failure. 2019;7(8):709–716.

※2. Chako L, et al. Cardiac amyloidosis: updated in imaging. Curr Cardiol Rep. 2019; 21:108.

※3. Baker KR, et al. The amyloidoses: clinical features, diagnosis and treatment. Methodist Debakey Cardiovasc J. 2012;8:3–7.

※4. Cuddy SAM, et al. Amyloidosis as a systemic disease in context. Can J Cardiol. 2020;36:396–407.

※5. Hanna M, et al. Tafamidis and quality of life in people with transthyretin amyloid cardiomyopathy in the study ATTR-ACT: a plain language summary. Future Cardiol. 2022;18(3): 165–172.

※6. Yamamoto H, et al. Transthyretin cardiac amyloidosis: an update on diagnosis and treatment. ESC Heart Fail. 2019;6:1128–1139.

※7. Muchtar E, et al. Systemic amyloidosis from A (AA) to T (ATTR): a review. J Intern Med. 2021;289:268-292.

※8. Nativi-Nicolau JN, et al. Screening for ATTR amyloidosis in the clinic: overlapping disorders, misdiagnosis, and multiorgan awareness. Heart Failure Reviews. 2022;27:785–793.

※9. Mohamed-Salem L, et al. Prevalence of wild type ATTR assessed as myocardial uptake in bone scan in the elderly population. Int J Cardiol. 2018;270:192–196.

※10. Cuscaden C, et al. Estimation of prevalence of transthyretin (ATTR) cardiac amyloidosis in an Australian subpopulation using bone scans with echocardiography and clinical correlation. J Nucl Cardiol. 2021;28(6):2845–2856.

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年5月26日 09時00分)

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