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女性リーダー登用、現場の本音は?昇進は「したい」ではなく「できるなら」 「大手企業の女性社員の昇進に関する調査結果」を発表

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株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

依然として少ない女性管理職登用の実態と、その背景にある“心理”と“環境”を分析

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑淳 以下、当社)は、主に上場企業に勤める女性課長483名、および管理職一歩手前の等級・グレードにある社員437名に対し、「大手企業の女性社員の昇進に関する調査」を実施しました。

近年、女性の管理職登用が政府や企業の重要課題として掲げられています。その一方で、当事者である女性社員自身の昇進に対する意識や取り巻く環境について調べました。結果、昇進志向は決して高くはない一方で、環境次第で意欲が引き出される兆しも明らかとなり、さらにいえば組織側の姿勢や信頼できる上司の存在がカギを握ることが判明しました。

【エグゼクティブサマリ】

女性が管理職になりやすい組織となりづらい組織が存在(図表1)

昇進意欲は限定的だが決して否定的ではない。女性課長のうち約半数が「上位職に就きたい」と希望。同僚からの後押し次第で前向きに(図表2・3)

昇進意欲の背景には「職責への自負」と「上司の支援」が重要(図表4~6)

心理的な壁を越える鍵は「経験の幅」(図表7)

昇進後の実感には「やりがい」と「負担」の両面が存在(図表8)

昇進意欲を高めるものと妨げるもの(図表9・10)

1.調査担当のコメント

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

組織行動研究所 主任研究員 武藤 久美子

女性の管理職登用の取り組みは道半ばです。また、政府が女性役員比率の目標を設定したという背景も含めて、女性社員の課長昇進、部長昇進の実態や背景にあることを調査しました。

今回の調査を通じて、管理職一歩手前の女性の課長昇進への意欲は高いとはいえず、昇進に対して様々な不安を持っていることがわかります。

一方で女性課長は、やりがいと負担の両面を持ちながら仕事をしていること、女性課長の約半数が部長昇進への意欲があることがわかりました。

今後の部長、役員という道への兆しであると同時に、女性の課長昇進を考えるヒントになると考えます。

2.調査の結果

●女性が管理職になりやすい組織となりづらい組織が存在(図表1)

  •  女性課長全体の40.9%が、「5.現在の部署で、女性が部長になったことがある」、55.3%が「6.現在の部署で、これまでに女性が課長になったことがある」と回答(図表1)。同様の設問に対しての男性課長の回答、および厚生労働省の令和5年度の調査で、母集団が異なるが企業規模10人以上の企業の部長職比率が7.9%、課長職比率が12.0%であることを踏まえると、すでに女性管理職がいる組織、女性比率が高い組織など、女性が管理職になりやすい組織となりづらい組織が存在すると想定される。

図表1 課長昇進・アサインの実態

●昇進意欲は限定的だが決して否定的ではない。女性課長のうち約半数が「上位職に就きたい」と希望。同僚からの後押し次第で前向きに(図表2・3)

  • さらなる昇進を目指す「より上位の役職に就きたい(あてはまる・どちらかといえばあてはまる)」と回答した女性課長は全体の47.7%に。一方、管理職手前の等級・グレードにある女性(課長手前)の課長職への昇進意欲は、29.0%に留まる(図表2)

  • 「会社から昇進を打診された場合に引き受けるか」という設問に対しては、管理職志向高の、女性課長の88.4%・管理職志向高の女性課長手前の76.6%が、「引き受ける(あてはまる・どちらかといえばあてはまる)」と回答している。(図表3)

  • また管理職志向高の、女性課長の92.9%・女性課長手前の86.7%が、「一緒に働く人たちから、より『上位の役職に就いてほしい』と言われたら、やる気になる(あてはまる・どちらかといえばあてはまる)」としている。(図表3)

  • 「どちらともいえない」の選択率も高いことから、「自ら積極的に望む」昇進ではなく、「必要であれば応じる」「状況次第では考える」といったスタンスが主流であることが読み取れる。女性社員に「上位役職に就きたいか」と昇進意欲を確認したり覚悟を問うたりする組織があるが、組織の要請としてまずは昇進を打診してみるのは一考である。

図表2 昇進志向

Q.私はいずれ、より上位の役職に就きたい。〈5肢選択式/n=920〉

図表3 会社や周囲からの期待の影響 

Q. 私は、会社から、より上位の役職に就くように打診されたら引き受ける。

 Q. 私は、一緒に働く人たちから「より上位の役職に就いてほしい」と言われたら、やる気になる。〈5肢選択式/n=442〉

●昇進意欲の背景には「職責への自負」と「上司の支援」が重要(図表4~6)

  • 部長昇進を希望する女性課長は、自身の職責に対して高い達成感と自己効力感を有していることが示された。特に、部長と課長の役割に大きな差を感じていない点は注目に値する(図表4)。つまり、現在のポジションで培った経験やスキルがそのまま上位職でも通用すると認識しており、役割拡大への心理的ハードルが低い状態にあると言える。

  • 自己効力感は職場内の人間関係、特に直属の上司との関係性とも密接に関連している。昇進志向が高い層では「上司の支援的行動」「上司の信頼・満足度」といったカテゴリのスコアが高いことが確認された(図表5・6)

  • 上司との関係性は単なる業務支援にとどまらず「この人に認められている」「応援されている」といった、情緒的な支えの感覚としても作用しており、昇進への不安解消や安心感の醸成に寄与している。

図表4  昇進志向と課長・部長の役割に対する認識の関係 

Q. 貴社の部長(部の組織長)/課長(課の組織長)が、現状、優先順位高く取り組んでいることとして、以下のことはどの程度あてはまりますか。

図表5 女性課長の昇進志向によるスコアの差 

課長の女性を管理職の高低で2グループに分けたときにスコアの差が0.5以上の設問〈5肢選択式/n=235〉

図表6 女性管理職手前の方の昇進志向によるスコアの差 

管理職一歩手前の等級・グレードの女性を管理職志向の高低で2グループに分けたときにスコアの差が0.5以上の設問〈5肢選択式/n=207〉

●心理的な壁を越える鍵は「経験の幅」(図表7)

  • 昇進の意思形成においてはこれまでに経験してきた業務の「幅」や「質」も重要な要素であることがわかった。たとえば、現在の勤務先で「どのような経験を積んできたか」を尋ねた設問に対しては、女性課長のほうが男性課長よりも多くの項目で「経験あり」と回答している。(図表7)

図表7 自社での経験 

Q. 現在の勤務先企業・団体で、経験したことのあるものをすべて選択してください。〈5肢選択式/n=920〉

 ●昇進後の実感には「やりがい」と「負担」の両面が存在(図表8) 

  • 昇進後の心情について尋ねたところ、女性課長の67.3%が「課長としてのやりがい」を感じている。一方で、女性課長の33.6%、男性課長の29.5%が「9.可能であれば、課長の役職から外れて働きたい」とも述べている(図表8)

  •  「3.課長になる前は課長になることに、不安や心配があった」「7.課長になって心理的な負担が増した」とする回答も目立ち、やりがいと負担が共存する現実が浮き彫りとなった。なお、これらの傾向は男性課長にも見られたことから、管理職共通の課題とも言える。

図表8 課長の心情

Q. 以下はあなたの考えにどれくらいあてはまりますか。〈5肢選択式/n=483、内 女性235、男性248〉

●意欲を高めるものと妨げるもの(図表9・10)

  • 昇進意欲を高める要因としては、「1.年収が上がる」が最も高く、「2.自分が成長できる」や「3.やりたい仕事ができる」は管理職とそうでない人によって異なる。(図表9・10)。

  • 意欲を下げる要因は「11.時間外労働が増える」や「10.心理的負荷が増す」「9.転居を伴う異動(転勤)をする可能性が上がる」などが多く挙げられた。

  • 昇進の意思決定にはポジティブな要素とネガティブな要素が常に併存しており、それぞれのバランスによって最終的な判断が左右されるものと考えられる。

図表9 昇進にプラス、マイナスに働くこと ①課長である女性

図表10 昇進にプラス、マイナスに働くこと ②管理職一歩手前の女性

3.調査概要

  • 調査名:大手企業の女性社員の部長・課長昇進に関する調査

  • 調査目的:大手企業(主としてプライム企業)の女性の課長および管理職一歩手前の方の昇進に関する実態を把握する

  • 調査時期:2025年3月

  • 調査形式:インターネット調査

  • 回答人数:920名

  • 設問:リッカートまたは単一回答 68問  複数選択式 1問  自由記述 3問 

リクルートマネジメントソリューションズについて

ブランドスローガンに「個と組織を生かす」を掲げ、クライアントの経営・人事課題の解決と、事業・ 戦略推進する、リクルートグループのプロフェッショナルファームです。日本における業界のリーディングカンパニーとして、1963年の創業以来、領域の広さと知見の深さを強みに、人と組織のさまざまな課題に向き合い続けています。

●事業領域:人材採用、人材開発、組織開発、制度構築

●ソリューション手法:アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス

また、社内に専門機関である「組織行動研究所」「測定技術研究所」「HR Analytics & Technology Lab」を有し、理論と実践を元にした研究・開発・情報発信を行っております。

※WEBサイト:https://www.recruit-ms.co.jp

出典:PR TIMES

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