株式会社日立プラントサービス
国内外の施設管理現場で、非熟練者の“つまずき”を軽減し、技能継承やウェルビーイング向上に貢献

株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立プラントサービス(以下、日立プラントサービス)は、現場作業における非熟練者の心理的負担軽減と作業効率化を支援する、次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy*1」(以下、Naivy(ナイヴィー))を共同開発しました。Naivyは、メタバース空間で蓄積・生成される情報と現場でリアルタイムに発生する事象を効果的に統合・調整し、必要な情報を適切なタイミングで分かりやすく人やロボットに提供するAIエージェントです。現場拡張メタバース*2などのメタバースプラットフォームと組み合わせることで、経験の浅い業務に非熟練者が対応する場面でも、状況に応じた具体的な作業手順を直感的に可視化し、対象機器の特定や対処操作に迷うといった現場でのつまずきを軽減します。ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)の工場現場での検証では、施設管理タスクにおける非熟練者の業務遂行能力が3割程度向上し、心理的負担の軽減効果*3も確認しました。
今後、日立と日立プラントサービスは、Naivyを国内外の施設管理や製造ライン構築に注力するお客さまに展開し、業務効率化と技能継承を支援することで、フロントラインワーカーのウェルビーイング向上に貢献していきます。また、ナレッジ管理機能や一部のアプリケーションを2025年内に株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)から製品化予定です。
*1: NavigatorとAIを組み合わせた造語で、人とAIとロボットが統合的に協働するための調整役の意味。商標出願中
*2: 日立、現場データの収集技術や生成AIを活用した「現場拡張メタバース」を開発:2023年12月18日 (hitachi.co.jp)
*3: 日立調べのアンケート調査によるもの。
背景および課題
施設管理現場における熟練者不足が社会全体で深刻化する中、熟練者はOJTに多くの時間を割くことができず、非熟練者が現場で経験の浅い業務に対応する場合には、心理的負担を抱えてしまうケースが増加しています。このような背景から、より直感的に熟練者の技能を非熟練者に共有する仕組みづくりが、現場全体の業務効率化には急務となっています。
次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」の特長
そこで日立と日立プラントサービスは、非熟練者の心理的負担を軽減し、現場作業を効率化する次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」を開発しました。Naivyは、メタバース空間で蓄積・生成される情報と現場でリアルタイムに発生する事象を効果的に統合・調整し、必要な情報を分かりやすく提供することをめざしたAIエージェントです。日立がグローバルに蓄積してきた多様な熟練者のナレッジを体系化し、現場ごとの状況に応じて直感的な支援を行うことで、非熟練者でも安心して業務に取り組める環境を実現します。その特長は以下の通りです。
1. 現場ナレッジを活用した質問応答と直感的な情報提供
Naivyは現場拡張メタバースと連携し、非熟練者が現場で直面する課題に対して、位置情報や具体的な作業手順をメタバース空間上でリアルタイムに可視化します。例えば、空調管理のトラブルシューティングでは、装置名や部屋名から対象機器と位置を特定し、関連するワークフローを抜き出して操作方法を提示します。これにより、対象機器の特定や対処操作に迷うといった非熟練者のつまずきを軽減し、非熟練者でも熟練者のように自信を持って効率よく業務を遂行できる環境を構築します。
実際に、施設内温度上昇のトラブル発生時には、Naivyが対策ワークフロー図や現地の正確な位置と経路、対策方法(ここでは、対象バルブを特定し30度回す)を提示し、迅速な対応を支援できます(図2)。日立と日立プラントサービスがルネサスの工場現場で検証した結果、トラブルへの対応時間が短縮するなど非熟練者の業務遂行能力が3割程度向上できることを確認しました。

2. 非熟練者の心理的負担軽減とウェルビーイング向上
Naivyは非熟練者が経験の浅い業務に直面する場面で、熟練者に頼らずに必要な知識や手順を獲得できる環境を提供します。これにより、非熟練者の心理的負担を軽減し、自信を持って業務に取り組めるように支援します。またNaivyの支援により熟練者の指導負担が軽減されることで、現場全体の業務効率化にも貢献します。さらに、熟練者と現場の非熟練者とのリモートコミュニケーションによるOJTや意思決定を加速することで、従来難しかった現場業務のリモートワーク化を推進し、より働きがいのある労働環境構築を支援します。
今後の展望
日立と日立プラントサービスは、国内外での施設管理や製造ライン構築に注力するお客さまと連携し、継続的にNaivyを強化することで、施設管理業務や製造業における技能継承を支援していきます。また、ナレッジ管理機能や一部のアプリケーションは、2025年内に日立ソリューションズから製品化予定です。
さらに日立は、設計・施工・製造・保守のさまざまな現場のフロントラインワーカーの安全性や作業効率の向上、ウェルビーイングを支援する多様なAI技術を開発中であり、Naivyに随時搭載していきます。これら日立グループ全体の取り組みを通じて、フロントラインワーカーがより輝ける労働環境の実現をめざします。
Hitachi Social Innovation Forum 2025 JAPAN, OSAKAでの紹介について
Naivyは、日立が2025年7月17日(木)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2025 JAPAN, OSAKA」において、ご覧いただけます。展示会場の「EX01-05: Frontline Coordinator – Naivy」にてご紹介する予定です。
詳しくは、公式サイト(https://www.service.event.hitachi/regist/)をご覧ください。
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2024年度(2025年3月期)売上収益は9兆7,833億円、2025年3月末時点で連結子会社は618社、全世界で約28万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.co.jpをご覧ください。
日立プラントサービスについて
日立プラントサービスは、空気、水、エネルギーなど幅広い分野でお客さまのさまざまなニーズにお応えし、快適な社会の実現をめざす総合エンジニアリング企業です。各種プラント・工場設備のエンジニアリングからメンテナンスサービス、リニューアルまでを提供し、また、デジタルイノベーションを加速する日立のLumadaとの連携による設備運用の効率化ソリューションなどを通して、お客さまのビジネスの成長と、社会課題の解決に貢献します。
詳しくは、日立プラントサービスのウェブサイト(https://www.hitachi-hps.co.jp)をご覧ください。