一般社団法人アップサイクル
~紙資源や間伐材から生まれた紙糸「TSUMUGI」と琉球紅型のコラボレーションという歴史的挑戦~
一般社団法人アップサイクル(所在地:大阪市、代表理事:森原 洋)は、使用後の紙資源や間伐材を紙糸にアップサイクルするプロジェクト「TSUMUGI」において、城間びんがた工房(所在地:那覇市、代表 城間栄市)の監修・制作により、沖縄県の伝統工芸「琉球紅型」とコラボレーションした、「アップサイクル琉球紅型手ぬぐい/風呂敷」を制作し、7月18日(金)より販売を開始します。







伝統的な琉球紅型の技法と地球環境を、次世代に繋げていくためのコラボレーション
沖縄県を代表する伝統工芸の琉球紅型の起源は、約300年前にさかのぼるとも言われています。もともとは琉球王族・士族の衣装として生まれ、職人の間でその技術や意匠が受け継がれてきました。琉球王制の解体後には衰退の一途を辿りましたが、第二次世界大戦後に沖縄の復興とともに再興されていきました。紅型の「びん」は色、「かた」は模様のことを表しており、沖縄の強い日差しや青空によく映える鮮やかな色彩と模様が特徴です。昨今では、着物や帯などの和装や日常装飾品などにも用いられるようになり、国内では、京友禅、加賀友禅、江戸小紋などと並ぶ代表的な染物の一つと言われています。
現在、和装商品の9割近くが沖縄県外へ販売されるなど、県内外の人々から高い人気を博している紅型ですが、その制作には高い技術と多くの工程を要することや、着物離れの影響もあり、その継承には課題もあります。普段から和装を着用する機会の多い一部の人々には根強い人気があるものの、分野や世代を超えた広がりが難しくなっている実情があります。


この度、紅型の伝統を守りつつ、次世代への継承を目的として広げていくための歴史的な挑戦として、一般社団法人アップサイクルが推進する使用後の紙資源や未利用の間伐材から紙糸を制作するプロジェクト「TSUMUGI」とのコラボレーションが実現しました。琉球時代から「うちくい」として人々の間で日常的に使われていた風呂敷と、普段使いしやすい手ぬぐいやハンカチを作ることで、沖縄県内外の広い世代にとって手に取りやすい商品になりました。城間びんがた工房第16代代表の城間栄市監修のもと、同工房の若手作家が商品デザインを担当しています。一般社団法人アップサイクルと城間びんがた工房は、地球環境だけでなく伝統技術の継承や後継者育成といった取組みを全国に発信していくことを目指していきます。
販売商品
沖縄らしい生き物や植物に加え、国産化に取り組んでいるコーヒーもテーマに、デザインを制作しました。
【アップサイクル琉球紅型手ぬぐい】
サイズ:縦90㎝×横32㎝
価格:¥2,490(税込)
組成:綿 75%、分類外繊維(和紙) 25%
生産国:日本

作品:クロトン
作家:神谷明子
クロトンは沖縄の強い日差しにも負けず、エネルギッシュに成長する植物です。これは、自然環境に適応しながら生きる知恵を持つ植物の力強さを象徴しています。
このデザインでは、沖縄の自然環境と共生するライフスタイルの大切さを表現しています。沖縄の伝統文化や技術が、自然と調和しながら持続可能な形で発展していくよう願いを込めました。
作品:…and?
作家:歩未
コーヒーを淹れるときに思う、「この一杯が、今日の誰かの会話のはじまりになるかもしれない」という“香ばしい会話”の余韻を図案にしました。日常の中で使うたびに、会話の続きをそっと促してくれる存在になれば嬉しいです。
コーヒーも、布も、誰かの手から手へ渡るもの。その連なりの中で、環境にも人にもやさしくありたいという気持ちを込めています。


作品:Café
作家:有山誠
心がほっとゆるむ時間。おしゃれなカフェで、ドーナツやケーキを囲みながら交わす、たわいもない会話。この手拭いは、そんな「日常の中のやさしい時間」を図案に込めました。
コーヒーの香りと、甘いお菓子の香り。
そして、そこに生まれる人と人とのつながり。
「小さな選択が世界をよくする」という想いに重ねて、“自分らしく過ごすひとときが、心と社会をあたためていく”、そんな感覚を布に込めています。
【アップサイクル琉球紅型風呂敷・ハンカチ】
サイズ:風呂敷 縦68㎝×横68㎝ ハンカチ 縦27㎝×横27㎝
価格:風呂敷 ¥2,490(税込) ハンカチ ¥1,200(税込)
組成:綿 75%、分類外繊維(和紙) 25%
生産国:日本

作品:文化の継承と持続可能なデザイン
作家:加治工摂
コーヒーは、世界中の文化と結びついた飲み物であり、沖縄の伝統工芸である 琉球紅型もまた、時代を 超えて人々に受け継がれてきました。
今回のデザインでは、コーヒーの木をモチーフに 円形文様を用いることで「文化の継承」と「持続可能な未来」 というテーマを表現しました。
作品:使いながら未来を包む - 心をつなぎ、環境を想う、うちくいの物語
今回のデザインには南国のブーケをイメージしました。さりげなく日常に彩りと華やぎを添えられるようにと願いを込めています。中でもクワズイモの葉は、古くから「人と人の心を取り持つ」とも言われ、想いを包む贈り物の柄としてふさわしい植物です。使うたびに心がほぐれ、世界のどこかの未来にも優しさが届きますように。


作品:松竹梅
作家:有山誠
厳しい冬にも負けずに、力強く美しく生きる自然の象徴。
それぞれが長寿・忍耐・希望を表し、古来より
祝い事や吉祥のモチーフとされています。
作品:Happy
作家:有山誠
この風呂敷には、「幸せを運ぶ海の仲間たち」を描きました。
エビは「長寿」「成長」「繁栄」の象徴、鯛は 「めでたい」という語呂合わせに加え、恵比寿様との関わりも深い、古来よりの縁起物。包むものに気持ちを添え、贈る人と受け取る人の心をふわりと結びます。


作品:お待たせしました、ホットです
作家:歩未
沖縄のコーヒー農園で感じた感動を、紅型の 図案に込めました。太陽、雨、土、そして人の手。すべてが重なって「いただきます」の一杯になる。繰り返し使える「うちくい」という形を通して、“自然を想い、暮らしを整える”精神を伝えたい。これは、自分の「好き」を選ぶことで世界が少し良くなる、そんな実感とともに生まれた一枚です。
販売場所

城間びんがた工房
住所:沖縄県那覇市首里山川町1丁目113
会津型染織TSUMUGI
「TSUMUGI」商品の購入や紙糸を使用した機織り、染めといった体験ができる直営店。
住所:福島県会津若松市七日町9‐2
時間:10:00~17:00(月・火曜定休)


SHOGUN café & experience
「TSUMUGI」商品の一部販売を行っています。
住所:東京都港区北青山3丁目6-26 QC Cube北青山36
時間:10:00~19:00(不定休)
ECサイト
「TSUMUGI」商品の販売やイベント情報等を発信するほか、新規コラボレーションの問い合わせも受け付けています。

参考資料

城間びんがた工房について
城間びんがた工房は、琉球王国士族に仕えた紅型三宗家の一つです。首里城のお抱え職人として約300年の歴史を紡いできた工房であり、現在20~70歳代の職人24名が所属しています。普段は制作に集中できる環境を整えるため、工房の日常的な見学受入れは行っていません。
戦後の紅型復興に尽力した14代栄喜の跡を継ぎ、15代栄順が紅型を琉球の伝統衣装から日本の着物の世界へと発展させました。昨今では、和装商品の9割以上が沖縄県外へ販売されています。
現在16代目代表を務める城間栄市は、昔ながらの伝統的な材料や技法を受け継ぎつつ、より多様な表現や新しい技法、素材やアイデアを取り入れることで、紅型の継承とものづくりを通して沖縄の思いを伝えるために制作活動を行っています。
一般社団法人アップサイクルについて
一般社団法人アップサイクルは“現代および将来の世代のために持続可能な社会の実現”を掲げ、日清紡グループのニッシントーア・岩尾株式会社、ネスレ日本株式会社をはじめとする51の企業や団体(※)からなる企業連携プラットフォームです。※2025年7月18日時点

プロジェクト「TSUMUGI」について
プロジェクト「TSUMUGI」は、使用後の紙資源や未利用の間伐材を紙糸に生まれ変わらせる取組みです。紙糸は、天然繊維ならではの柔らかさと、軽量性、吸放湿性が特徴で、まるで自然の中にいるようなやさしい肌触りを感じることができます。
しっかりとした縫製で、みなさまに長く愛用してもらえるようMade in Japanならではの技術が詰まっています。「TSUMUGI」という名前には、私たちと地球や社会・地域コミュニティを紡ぐ象徴として手に取っていただきたいという思いが込められています。
