フィデリティ投信株式会社
不透明な市場環境下でもアジアの投資家センチメントは慎重ながらも楽観的。日本の投資家の6割超が計画通り投資を続行、長期投資志向鮮明に。プラチナNISAなど少額投資非課税制度拡充に半数超が「利用したい」
フィデリティ投信株式会社(代表取締役社長:コルビー・ペンゾーン、本社:東京都港区、以下「フィデリティ投信」)は、アジア太平洋の6つの地域(日本、中国本土、香港、台湾、シンガポール、オーストラリア)で個人投資家を対象に調査*を実施、このたび結果を発表しました。
今年の調査は、2025年上半期のボラティリティの大きかった市場環境下で、日本を含むアジア太平洋地域の投資家がどのような行動を取ったか、また今後12ヵ月の投資はどうするか等について尋ねました。
アジア太平洋地域全体としては、センチメントは慎重ながらも楽観的、投資・貯蓄を全体的に増やすリスクオン維持の傾向が見て取れました。投資動向としては、中国本土では投資は減少、香港では、定期預金のような安定資産へのシフトが見られ、日本では株式、オルタナティブ資産への投資意欲の高まりが見られました。台湾、オーストラリアではデジタル資産や為替関連投資に機会が拡大した一方、シンガポールでは大きな変化は見られませんでした。
調査結果のポイント:
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アジア太平洋地域全体としては、センチメントは慎重ながらも楽観的、投資・貯蓄を増やすリスクオン維持の傾向
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日本の投資家の6割超が不透明な市場環境下でも従来の計画通り投資を続行、長期投資志向鮮明に
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日本の投資家の4割以上が株式投資に意欲、オルタナティブ投資へのシフトも検討
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プラチナNISAなど少額投資非課税制度の拡充について、半数以上が「利用したい」
日本の投資家 ‐投資期間、投資意欲において、長期志向が鮮明に
2025年年初来、米国新政権の政策等の影響による不透明感の高まりを受け、マーケットは不安定な状況が続いています。投資家に、こうした環境下の投資行動について尋ねました。アジアの主要市場の約半数(47%)が「従来よりも頻繁に保有するポートフォリオの状況をチェックした/チェックする」と答えた一方で、日本の投資家の4割以上(46%)は「従来と変わらず」、32%は市場の変動時も特に「ポートフォリオのチェックはしなかった/チェックしていない」と回答しました。日本人投資家は、短期的な市場の混乱に動揺することなく冷静に行動し、「ほったらかし投資」が浸透しつつあることがわかりました。

さらに、日本の投資家の64%が、不透明な市場環境でも、「現在の投資計画は変更しない」と回答、投資額を減額したり、投資をやめると答えた日本人投資家比率はアジアの主要市場で最も低く、「新規投資を控える」と、多くが回答した中国本土、香港、台湾の個人投資家とは明らかに異なる傾向が見られました。

投資期間について聞いたところ、日本の投資家の6割近くが「5年以上」の投資を想定していると回答、投資の目的についても半数(51%)が「長期の資金積立て」と回答していることから、長期投資の考え方が定着しつつあることが確認できました。
長期投資を通じて、期待するリターンは、4割強が、「5%またはそれ以下」と控え目な回答だった一方で15%以上のリターンを狙う投資家も少数見られ、日本人投資家の全体平均の期待リターンは6.8%でした。短期的な利益や極端なハイリターンを志向しているのはごく一部の投資家で、全体として規律ある投資家像が見て取れました。

投資目的は「退職後の資金準備」。一方でファイナンシャル・ゴール達成には悲観的
また投資を行う目的について(3つまでの回答可)尋ねたところ、昨年に引き続き、「退職後の資金準備」が55%と最も多く、次いで「緊急時の資金準備」が52%、「大きな買い物のための資金準備」(31%)と続きました。
一方、自身の設定したファイナンシャル・ゴールを達成できそうか聞いたところ、「達成する自信がある」と回答した割合は、アジア太平洋地域で最も低い33%にとどまり、最も高かったオーストラリア(80%)、次いで中国本土(69%)や、地域全体平均の55%をも大きく下回る結果となりました。長引いたデフレ経済からの脱却後、ようやく始まった企業による賃上げも物価高で相殺されてしまうなどの昨今の厳しい経済状況が投資家心理にも影響を与えた形となりました。

日本の投資家の半数近くが株式投資に意欲、オルタナティブ投資へのシフトも検討
今後投資したいアセットクラスについて聞いてみたところ、日本を含むアジア太平洋地域全体の傾向として株式投資や、またコモディティ、デジタル資産、プライベート・エクイティなどのオルタナティブ投資への資金シフトを検討していることが伺え、今後よりリスク資産への分散化が進む兆しも見て取れました。

日本の投資家 ‐NISAの拡充に半数以上が期待
今回の調査では、日本の投資家に、年初来のボラティリティの大きな市場環境下で、(NISAを通じて)投資を続けている理由を尋ねました。4割が「短期的なボラティリティは気にならないから」、15%の投資家が、「不安定な状況の今こそ投資の好機だから」と回答しました。「投資をやめた」、もしくは、「投資をやめるつもり」と回答した人(の合計14%)を大きく引き離し、NISA口座保有者の多数が投資を続けた(または続ける)ことがわかりました。
NISA口座利用者に今後の投資計画について尋ねたところ、「日本株(投資信託含む)に投資する」との回答が最も多く(23%)、引き続き「米国株(投資信託含む)に投資する」とした人(18%)と続き、地政学リスクの影響を受けやすい大型株は避け、影響を受けにくい中小型株に投資する」と答えた人が13%、債券投資を検討するとした人(10%)が続きました。

最後に政府が検討している、プラチナNISAをはじめとしたNISA制度の拡充についても聞いてみたところ、4割強が「現行の制度に満足している」と答えた一方で、「自分が対象者になるなら利用したい」との回答が22%、「自分が対象者になるならば、限度額いっぱいまで利用したい」(16%)、に「プラチナNISAが毎月分配型ファンドに対応するなら利用したい」「子ども支援NISAを利用したい」と答えた人を合わせると合計54%となり、半数以上の人が制度の拡充に期待を寄せていることがわかりました。

まとめ
今回のアジア投資家調査の比較結果から、日本の投資家は、控えめで堅実な投資行動を取っていることがわかりました。長引いたデフレ経済からの脱却の道半ばに、昨今のインフレ、物価上昇に対峙する個人には、好調な日本株式市場からの恩恵はもたらされていない反面、昨年導入された新NISA効果による、長期投資のマインドが確実に醸成されていることが確認できました。多くの市場関係者が指摘した先行き不透明という2025年上半期の市場環境下でも、冷静に投資を継続し資産を築こうとするたくましい投資家が増えていることが見て取れます。長期投資が根付くなか、ファイナンシャル・ゴール達成への自信が欠落していることは、日本の投資家の課題と言えるでしょう。
フィデリティ投信のマクロストラテジスト重見吉徳は、調査結果について次のようにコメントしています。「回答からは、日本の投資家は、(過去に何度も繰り返してきたような)典型的な投資家心理に陥ることなく、既存の制度やその変化の方向を理解・予見しつつ、資産運用を継続する姿勢が見られており、全体として、日本の資産運用市場は望ましい方向に向かっているようにみえます。今後とも、金融リテラシーの高い投資家のベースが拡大していくことが期待されます。
以上
本調査は、フィデリティ・インターナショナル・アジア・パシフィック個人投資家調査の結果を一部抜粋したものです。
Fidelity International Asia Pacific Investor Study
フィデリティ・インターナショナル・アジア・パシフィック個人投資家調査*
アジア太平洋の6つの地域の18歳~69歳の個人投資家6,525人を対象に、2025年上半期、および下半期の投資行動に関して尋ねた調査(日本1,005人、中国本土1,500人、香港1,006人、台湾1,005人、シンガポール1,005人、オーストラリア1,004人)。2025年5月15日~28日に調査会社YouGovがインターネットを通じて実施。回答者の最低個人所得は300万円(年)、5,000 人民元(月)、15,000 香港ドル(月)、30,000 台湾ドル(月)、2,000 シンガポールドル(月)、 45,000 豪ドル(年)。本調査は、2024年に続いて2回目。
BCR20250716-O1
お問い合わせ先:
フィデリティ投信株式会社 コーポレート・コミュニケーションズ
TEL: 03-4560-6130 E-mail: FIL-JapanPR@fil.com
■ フィデリティ投信について
フィデリティ投信株式会社は、独立系資産運用グループのフィデリティ・インターナショナルの一員として、投資信託および、企業年金や機関投資家向け運用商品やサービスを提供する資産運用会社です。1969年に外資系運用会社として初めて本邦に拠点を設け、日本企業の調査を開始。1990年より日本の年金向け運用業務に参入、1995年に証券投資信託委託業務免許を取得し、同年12月に最初の国内投資信託を設定しました。公募投資信託の純資産残高は約5兆8,671億円で、外資系資産運用会社では首位となっています。(2024年12月末日現在)
■フィデリティ・インターナショナルについて
フィデリティ・インターナショナルは、世界で280万以上のお客様に投資に関するソリューション・サービス、退職関連の専門的知見を提供しています。創立以来50年超、非上場で、世界で25を超える拠点で事業を展開。運用管理総資産額は約140.4兆円(8,932億ドル)に上ります。顧客は、中央銀行、政府系ファンド、大手企業、金融機関、保険会社、資産管理会社から個人まで多岐にわたります。
運用総資産額(AUM)は、資産運用ソリューション・サービス事業と合わせて約98.3兆円(6,254 億ドル)にのぼります。資産運用の専門知識と、私達独自のソリューションを組み合わせることで、より良い金融サービスの提供を目指しています。また職域および個人向け金融サービス事業では、個人、アドバイザー、経営者に世界トップクラスのさまざまな金融商品、サービスツール、管理サービスや年金関連のガイダンスを提供しています。(2024年12月末日現在。為替レートは157.16円で算出)。
当社は1946年米国ボストンで創業された「フィデリティ・インベスメンツ」の国際投資部門として1969年に設立しました。1980年に米国の組織から独立し、現在は経営陣と創業家が主要株主となっています。詳細については、https://fidelityinternational.comをご覧ください。
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フィデリティ投信株式会社 金融商品取引業者
登録番号:関東財務局長(金商)第388号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会