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FRONTEO、AI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory」により抽出した、すい臓がん新規標的分子候補の細胞増殖抑制に対する効果を確認

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株式会社FRONTEO

~きわめて新規性の高い標的分子候補をわずか2日間で多数抽出することに成功、「標的探索」の劇的な加速へ~

 株式会社FRONTEO(本社:東京都港区、代表取締役社長:守本 正宏、以下、FRONTEO(フロンテオ))は、AI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(以下、DDAIF)」*1を活用したすい臓がんの創薬標的分子*2候補の抽出およびin vitro(試験管)にて、がん細胞の増殖抑制試験を行い、一定の効果が確認されました*3ことをお知らせいたします。本実験は、文献に記載のない標的分子と疾患の関連性を抽出するDDAIFの有効性を証明することを目的として、当社が主体となって実施されたものです。

■標的分子探索を約2年から2日に短縮し、新規性の高い標的分子候補を多数探索

今回の実験ではDDAIFを活用し、わずか2日で約2万個のヒトの全遺伝子の中から、標的分子候補17遺伝子を抽出することに成功しています。従来の創薬におけるアプローチでは、こうした標的分子を抽出する「標的探索」のプロセスに2年以上を要することも珍しくなく、特に文献に記載のない新規性の高い標的分子を見出すことは時間をかけても非常に困難と言われています。DDAIFの活用を通じて、短期間で標的分子候補を抽出できる技術は、創薬で最も重要な「標的探索」の劇的な加速を可能にします。

さらに、これらの17遺伝子から、実験においてすい臓がん細胞の増殖抑制が確認された6遺伝子は、そのうちの4遺伝子はすい臓がんとの関連性を報告した論文が存在せず、残りの2遺伝子は論文での報告がわずか1報のみ(2025年4月19日現在)*4という、極めて新規性の高い標的分子候補でした。
従来、標的探索は、文献を精査して有望な標的候補を見出すというアプローチで実施されており、文献に記載のない新規性の高い標的分子を見出すことは時間をかけても非常に困難だと言われています。

本検証結果は、FRONTEOの自社開発AI「KIBIT」が未知の創薬標的分子と疾患の関連性を既知の文献から発見可能であることを証明し、短期間で標的分子候補を抽出できる技術は、創薬で最も重要な「標的探索」の劇的な加速を可能にすると考えます。
FRONTEOは、すい臓がんをはじめ治療困難な疾患対応への新たなアプローチとなるDDAIFの一層の推進と社会実装を加速してまいります。

■アンメット・メディカル・ニーズが極めて高いすい臓がん

 すい臓がんは、5年生存率が10%未満*5と、部位別で最も低い水準にあることで知られています。また、治療薬が限られており、毒性の強い化学療法剤に頼らざるを得ないことに加え、化学療法剤が効かなくなると治療選択肢がほとんどなくなる、アンメット・メディカル・ニーズ*6の極めて高い疾患の1つです。

■新規性が高い標的分子候補を多数抽出

 細胞増殖抑制の確認された上記6遺伝子のうち、4遺伝子についてはすい臓がんとの関連性を報告した論文は存在しませんでした。2遺伝子についても論文は1報であり、新規性が高い標的分子候補を多数抽出することができました。

■細胞増殖抑制効果について

 抽出した17遺伝子について、すい臓がん細胞株で細胞増殖への影響を調べたところ、このうち6遺伝子で、働きを抑制する試験を実施した場合に何もしなかった場合に比べて約4~6割のがん細胞の増殖抑制が確認されました。

 この割合は、すい臓がんの原因となり、細胞のがん化促進に特に重要な影響を持つ遺伝子として知られる「KRAS(ケーラス)」にも匹敵するものであり、すい臓がんの創薬標的分子候補として高いポテンシャルを持つ可能性があります。

今後、効果のみられた標的分子候補について、東京科学大学をはじめとする共創パートナーと連携し、作用機序の解明や動物実験による検証を予定しています。将来的には、製薬企業への導出*7も検討いたします。

■東京科学大学 総合研究院 特任教授 村田 昌之氏のコメント

 「論文未報告の創薬標的を、わずかな期間―解析対象によっては数日単位―で、しかも複数個の候補に絞り込めることは、従来のアプローチでは考えられない革新的な技術だと思います。今回の検証結果は細胞レベルでの結果ですが、KIBITが創薬研究の進展ならびに加速化、成功確率向上に大きく貢献することを示す実例だと考えます。東京科学大の私たちの研究グループは、創薬や細胞医薬分野の根幹となる生命現象のより深い理解を目指し、多様な細胞機能解析法や評価法を開発しています。

今後、FRONTEOが絞り込んだ標的分子候補について、現在進めている私たちとの共同研究を通じて細胞系実験による機能検証を体系的に進めていくことで、機能的に有効な分子の同定を介した創薬の加速が期待できると考えます。」

■創薬における課題

 2025年6月に内閣府が「創薬力向上のための官民協議会」*8を設置したことが象徴するように、創薬力の強化は日本にとって喫緊の国家課題となっています。日本では長年にわたり医薬品の輸入超過が続いており*9、医薬品の供給を海外に依存しない体制の構築が急務です。

【出典】内閣府:創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議, 資料5 世界と日本の創薬の現状*9

 しかしながら、創薬研究はすでに成熟期に入り、比較的開発の容易な医薬品は多くが既に上市されています。一方、疾患の複雑化・多様化に伴い、新たな創薬標的の探索は年々困難さを増しており、標的分子の“枯渇”が深刻な課題となっています。

 さらに海外では、後発医薬品(ジェネリック)の承認数に制限が設けられる動きも見られ、“ファースト・イン・クラス*10”と呼ばれる先発優位性の高い新薬の開発が、企業の競争力、ひいては国家の医薬品戦略上も不可欠なテーマとなっています。その実現には、論文やデータベースにも記載のない「未知の標的分子」の発見が不可欠ですが、こうした情報の特定は、従来の研究手法やAIでは極めて困難でした。

■DDAIFを用いた本プロジェクトの意義

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」は、こうした構造的課題に対し、独自の自然言語処理AI技術を駆使することで、論文未報告の“未知の標的分子”を抽出できる革新的な創薬支援を可能にします。

 今後もFRONTEOは、自然言語処理に特化したAIの研究開発とその社会実装を通じ、ライフサイエンス分野における構造的課題の解決と、医療産業の持続的な発展に貢献してまいります。

〈注釈〉

*1 AIと創薬に精通したFRONTEOの創薬エキスパートが、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」の自然言語処理技術と独自の解析手法を駆使し、標的分子・適応症探索やその裏付けとなる仮説を提供するAI創薬支援サービス

*2 薬を作用させる対象とする分子(遺伝子)のこと

*3 DDAIFにより抽出した創薬標的分子候補について、その働きを一時的に抑えることにより、すい臓がんの細胞増殖を有意に抑制する影響が確認された

*4 PubMed(米国国立医学図書館の国立生物化学情報センターが運営する生物医学領域の論文データベース。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/)において、遺伝子名と「pancreatic cancer(すい臓がん)」で論文タイトル・要旨をAnd検索 (2025年4月19日時点)

*5 国立研究開発法人国立がん研究センター:最新がん統計, https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

*6 有効な治療方法が見つかっていない疾患に対する、新しい治療薬や治療法などへのニーズ

*7 製薬企業において、自社内で研究開発を行う形態のほか、他社・他機関から医薬品候補物質などの開発権や販売権を獲得するケースがあり、後者のために、他社・他機関が製薬企業に対し、こうした権利を許諾することを導出(ライセンスアウト)と呼ぶ

*8 https://www8.cao.go.jp/iryou/kanmin_kyogikai.html

*9 内閣府:創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議, 資料5 世界と日本の創薬の現状, https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/souyakuryoku/dai1/siryou5.pdf

*10 そのカテゴリーの医薬品の中で最初に認可された新薬のこと。

■FRONTEO Drug Discovery AI Factory(DDAIF)について

URL:https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/

「FRONTEO Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」は、自然言語処理に特化したAI「KIBIT(キビット)」(日米特許取得済)と、FRONTEOの創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合したAI創薬支援サービスです。疾患関連遺伝子ネットワークの解析や、標的候補に関する仮説の構築を通じ、医薬品開発における研究者の意思決定を強力にサポートします。

本サービスはすでに複数の大手製薬企業で導入されており、実績を積み重ねています。

【参考:製薬企業との共創プロジェクト】

・FRONTEOとマルホ、Drug Discovery AI Factoryを活用した 皮膚科領域における創薬標的探索に関する共創プロジェクトを開始,https://www.fronteo.com/pr/20250710

富士製薬工業とFRONTEO、 女性医療領域における創薬シーズ評価に関する共創プロジェクトを開始,https://www.fronteo.com/pr/20250709

メタジェンセラピューティクスとFRONTEO、世界的に注目されるマイクロバイオーム創薬の共同研究を開始, https://www.fronteo.com/pr/20250630

・FRONTEOと中外製薬、Drug Discovery AI Factoryを活用した標的探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20250515

EAファーマとFRONTEO、AIを活用した創薬の標的探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20250512 

・FRONTEOとエーザイ、Drug Discovery AI Factoryを活用した標的探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20250128

・FRONTEOと丸石製薬、Drug Discovery AI Factoryを活用したバイオマーカー探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20250109 

・FRONTEOとUBE、Drug Discovery AI Factoryを活用したドラッグリポジショニングに関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20241114

【参考:アカデミアとの共同研究プロジェクト】

・FRONTEOと東京科学大学、「Drug Discovery AI Factory」を活用した新たな創薬標的の探索に関する共同研究を開始, https://www.fronteo.com/pr/20250513 

・FRONTEOと熊本大学、Drug Discovery AI Factoryを活用した新たながん治療法探索に関する共同研究を開始, https://www.fronteo.com/pr/20250508

■株式会社FRONTEOについて URL: https://www.fronteo.com/

FRONTEOは、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」の提供を通じて、日夜、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。当社独自の自然言語処理技術(日米欧特許取得)は、汎用型AIとは異なり、教師データの量およびコンピューティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度での解析を可能にします。加えて、解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のインサイトにダイレクトに働きかけることができ、近年、KIBITの技術が創薬の仮説生成や標的探索にも生かされています。

KIBITの独自技術およびアプローチを通じて、「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」理念の実現に向けて、ライフサイエンスAI、リスクマネジメント(コンプライアンス支援分野経済安全保障分野リーガルテックAI分野)、DX(プロフェッショナル支援分野)の各事業で社会実装を推進しています。

2003年8月創業、2007年6月26日東証マザーズ(現:東証グロース)上場。日本、米国、韓国、台湾で事業を展開。第一種医療機器製造販売業許可取得、管理医療機器販売業届出。資本金資本金899,176千円(2025年3月31日時点)。

※Drug Discovery AI Factoryに使われている技術は、FRONTEOが日本および韓国、米国、欧州で計21件の特許権を取得しています。

※FRONTEO、KIBIT、Drug Discovery AI FactoryはFRONTEOの日本および欧州、米国、韓国における商標または登録商標です。

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年7月23日 14時00分)

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