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半導体人材育成に係る日印連携の実現に向け インド政府関係者・大学教授が九州・東北地域を訪問

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JICA

~産官学連携による先進的な半導体人材育成体制の現場視察~

 「信頼で世界をつなぐ」をビジョンに掲げ、日本の政府開発援助(ODA)実施機関として開発途上国への国際協力を行う独立行政法人国際協力機構(理事長:田中明彦、本部所在地:東京都千代田区、以下:JICA)は、7月7日から7月11日にかけて、インド中央・州政府の半導体産業担当幹部、大学教授たち7名の訪日団を迎え、九州・東北地方の半導体メーカーや大学などを回り、半導体産業の現状と人材育成の取り組みを視察しました。

 今回の訪問は、半導体市場が拡大しているインドと日本が抱える共通課題、「技術者不足」の解決に向け、今後、日本とインドが半導体産業における連携を強化し、両地域で進められている産官学が連携した先進的な半導体技術の開発や人材育成体制の相互理解、さらに今後の日印協力関係構築を目的としています。

目次

■プロジェクトの背景と今後の展望

 インド国内ではA.Iやスマートフォン、自動車部品にコンピューティングなど、幅広い産業の需要増加を受け半導体市場が急速に拡大しており、日本をはじめ半導体産業に力を入れる国々の注目の的となっています。

 また、今年3月と4月、アップルがアメリカで販売するiPhoneにおいても、インドからの出荷台数が中国を上回ったと米メディアが伝えており、半導体やスマートフォンなどで、「脱中国」とともに「インド進出」が加速しています。インドのモディ首相は、半導体産業育成に向けたインド半導体ミッション、「ISM(India Semiconductor Mission)」を推進。大規模な政策的支援を講じており、国内では半導体製造工場の建設が進んでいます。将来有望な半導体市場を支援しようと、日本の大手半導体関連メーカーでもインド進出に関して積極的な動きが見られています。

 こうした背景から、JICAは2024年5月から「インド国日印半導体サプライチェーン情報収集・確認調査」を実施。今回の訪日団視察は、日印間の産官学が連携した人材育成に向けた、具体的な協力体制構築の基盤となりました。

 JICAでは、今回のインド政府関係者・大学教授による日本訪問も踏まえ、日印双方が共存共栄できる連携方法について更なる検討を進めていきます。

以下、今回の訪問の様子をご紹介いたします。

■北九州産業学術推進機構「FAIS」(7月8日)

 北九州産業学術推進機構「FAIS」(北九州市若松区、以下:FAIS)の視察では、半導体や次世代自動車などの重点産業分野を主軸とする、北九州学術研究都市を発展させる「G-CITY戦略」をはじめ、半導体産業の技術者育成と産学官連携の取り組みを紹介しました。

 FAISはクリーンルームを備えた研究開発施設を活用し、大学や企業と連携して多層的な人材育成プログラムを展開しています。

 インド側からは実践的なハンズオン研修を通した、半導体製造について知識を備える技術者育成への高い関心が寄せられ、インド中央政府電子情報技術省のマニッシュ・クマール・フーダ博士は「北九州市の優れた施設を活用し、多方面での協力を進めたい」と期待感を示しました。また、北九州市産業経済局未来産業推進部の森永康裕部長も「インドとの連携を契機に、半導体産業の振興をさらに加速させたい」と話しました。

■九州大学

 九州大学では半導体分野に精通する教授6名が参加し、九州大学での研究活動の紹介や、研究室を含む半導体研究に関連する施設を案内しました。

 インド工科大学ガンディーナガール校のニハール教授は、同大学での人材育成・研究開発の展望について説明し、今後の日印両校間での学術交流や技術協力の可能性についても意見が交わされました。

 九州大学価値創造型半導体人材育成センターでセンター長を務める金谷晴一教授は、両校間に生まれたコネクションを生かし、今後は留学プログラム実施などの可能性を議論していきたいとの意向を示しました。

■福岡半導体リスキリングセンター(7月9日)

 (公財)福岡県産業・科学技術振興財団が運営する福岡半導体リスキリングセンター(福岡市早良区)では、基礎から応用まで、企業ニーズに合わせた半導体教育プログラムが実施されています。訪問団はセンター内の設備や、実施プログラムに強い興味を示し、財団のプレゼンテーション中には訪問団から20以上の質問があがるなど、活発なディスカッションとなりました。

 また、同日に開催された、副センター長の井上副学長(九州大学)による、半導体初級コースの講義(対面・オンラインで130名が参加)を視察し、訪問団は同様の教育モデルのインド国内への展開について、前向きに検討したいとの意向を示しました。

■東北大学(7月10日)

 東北大学ではまず、大野英男総長特別顧問と山口昌弘副学長、田中秀治教授から、東北大学での半導体研究や人材育成についての説明が行われました。

 一方、訪問団からはインドでの半導体関連政策、国内の半導体工場の建設状況などの説明が行われ、教員・学生の交流、将来の連携可能性について活発な議論が交わされました。

 訪問団はその後、青葉山キャンパスの3GeV高輝度放射光施設「Nano Terasu」、国際集積エレクトロニクス研究開発センターを視察し、東北大学とインドの研究者・学生間での共同研究や、留学プログラムの実施等の可能性について意見交換を行いました。

■岩手県庁表敬訪問(7月11日)

 岩手県庁で行われた達増知事への表敬訪問では、訪問団より岩手県の強みである安定したインフラや、いわて半導体関連産業集積促進協議会(I-SEP)を通じた人材育成の取り組みを学び、インドでの半導体産業振興にむけた施策の検討に活かしていきたいとの説明がありました。

 達増知事は「岩手県の半導体産業振興の成功の秘訣は産官学連携であること、また、I-SPARKの訪問をインド政府等の施策立案の一助にしてほしい」と話しました。また、インドの半導体人材の育成と、日本の半導体人材不足の解消をおこなうことで、岩手県とインドの連携・共存共栄を目指していくことが確認されました。

■半導体人材育成施設『I-SPARK』視察(7月11日)

 I-SPARK(岩手県北上市/運営:いわて産業振興センター)では、施設内の半導体製造装置を使用した研修を視察しました。訪問団からは装置の仕組みや使用方法、研修の内容に関して極めて意欲的な質問がなされました。また、今回の学びをインドでの優秀な人材育成の仕組みづくりにつなげたいとの発言があり、同センターでのインド人講師の育成研修の実施など、具体的な人材育成協力について議論が交わされました。

■キオクシア岩手工場視察

 キオクシア岩手(岩手県北上市)では、日本を代表する最先端フラッシュメモリの製造工場、生産設備の見学を行いました。訪問団はインドにおける半導体産業政策について説明し、日印の半導体産業の発展について、意見交換を行いました。

■独立行政法人国際協力機構(JICA)について

JICAは、開発途上国が直面する課題を解決するため、技術協力、有償資金協力、無償資金協力など日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担う二国間援助の実施機関で、150以上の国と地域で事業を展開しています。

国際社会の課題は日本とも密接に関係しています。国内外のパートナーと協力してそれらの解決に取り組み、世界の平和と繁栄、日本社会の更なる発展に貢献します。詳しくはhttps://www.jica.go.jp/index.htmlをご覧ください。

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年7月24日 11時38分)

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