株式会社ウフル
急速に変化する社会の中で、AIと社会・企業・人間との関係性を考える
株式会社ウフル(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO:園田 崇史 以下、ウフル)は、2025年7月7日(月)生成AI時代におけるビジネスと社会の変革をテーマにしたイベント「AIと共創する未来 ビジネスと社会の変革を加速する」を開催いたしました。会場には企業の経営者・DX推進担当者・エンジニアをはじめとする多様な参加者が集まり、AIの現状と共創について議論しました。

本イベントは、AIの進化がもたらす変化を恐れるのではなく、どのように向き合い、ビジネスの武器とするかを実践的に学び合う場として企画されました。基調講演、トークセッション、特別セッション、パネルディスカッションの4部構成により、AIを活用した実践から社会的意義に至るまで、多角的な視点で議論されました。
テクノロジーと共創で、社会の未来を描く

オープニングでは、本イベントの主催者であるウフルの代表取締役CEO園田が登壇し、創業以来持続可能な社会の実現を目指し、自由な発想とテクノロジーで企業や行政を支援してきたと語り「テクノロジーと人間・文化・自然をどう融合させ、持続可能な社会を創っていくかが、私たちの事業の根幹にある課題です」と述べました。AIの進化を機に「信頼できるパートナーとの共創を通じ、社会に役立つテクノロジーを届けることが私たちの使命」とし、自社プラットフォーム「CUBE 01」に触れながら今日が新たなスタートを切る日であることを来場者に呼びかけました。
AIとの共創が切り拓く未来
Gen-AX砂金氏が語る、AX時代の社会の変革

基調講演では、生成AIのビジネス向けSaaSと業務変革コンサルティングを手がけるソフトバンク株式会社の100%子会社Gen-AX株式会社 代表取締役社長 CEOの砂金信一郎氏が登壇し、生成AIとともに変わる社会と私たちの仕事のあり方について語りました。砂金氏は社名にもあるAX「AIでトランスフォーメーションする(AX)」という考え方のもと、AIとの共創を前提に、人が何を担うべきかを企業とともに考え、解き明かしていくことが同社の役割だと語りました。
また、自律的に動く「AIエージェント」の未来についても言及し、今後はAIエージェントが企業や個人に寄り添い、継続的に成長していく存在として社会に浸透していくとし、「スマートフォンのような個人用エージェント」や「企業内の業務支援エージェント」の存在が当たり前になる時代が近づいていると語りました。
最後に、日本人は子どものころからSFアニメや漫画などを通じてAIと共に生きる未来を自然に受け入れる素地があり、それが世界においても強みとなり、他国と比べても構想力において優位性があると指摘しました。こうしたアドバンテージを活かし、AIと共創する時代を、より豊かで前向きな社会変革が起こせるのではないかと締めくくりました。
生成AIにビジネスモデルはあるのか?
黒鳥社若林恵氏が語る、AIネイティブな中国の現場

トークセッションでは、メディアの視点からテクノロジーを追い続けてきた若林恵氏が登壇し「生成AIにビジネスモデルはあるのか?」という問いを軸に、中国の視察経験を交えながら議論が展開されました。
若林氏は、生成AIをめぐる熱狂に対して「みんなが一斉に乗っかるときこそ、“ちょっと待てよ”と言うのがメディアの役割」と語り、AIとの距離を保ちながらも、その構造的課題と可能性について語りました。
私たちのAI活用が、コンシューマー領域を中心に展開される一方で、「中国では産業インターネットが国策として動いており、既存産業をすべてAIネイティブにする方針がある」ことを紹介し、農業や製造業、物流業など既存の産業インフラを“AIネイティブ”に再構築しようとしていると語りました。コンピュータービジョン(画像認識・物体検知等)や、自律走行、データセンターといったB向けの活用例を挙げ、「中国は政策の柱として、社会インフラの自動化と効率化にAIを組み込んでいる」と語りました。
そして、道路や水道、電気、ガスなどの社会インフラをどうAIと融合させていくかという課題は、日本を含む先進国にとっても避けては通れないとし、「いま必要なのは、“AIネイティブ”な視点で社会システムそのものを捉え直すこと」だと語り、今後、AIを活用した新たなビジネスモデルは、コンシューマー向けだけではなく、インフラや産業の根本をどうアップデートするかという、より広い視野から模索されていくべきだと指摘しました。
「デジタル労働力」実現の鍵はデータ基盤と文脈理解
Salesforce中谷氏が語るAI活用の未来

特別セッションに登壇したセールスフォース・ジャパンの中谷卓洋氏は、「Salesforceは本気で“デジタル労働力”の提供に取り組んでいる」と語り、AIエージェントが人と協働して業務を遂行する未来像を提示しました。その実現にはAI Readyな環境整備、つまりすぐに使えるデータの整備が不可欠であると強調します。「生成AIを業務で使うには、構造化・非構造化を問わずデータを“すぐに引き出せる状態”が必要」と述べ、Salesforceの「Data Cloud」がその基盤を支えていると紹介。
さらに25年にわたりCRM領域で蓄積してきた同社の知見を生かし、AI活用を実現するには「メタデータ」「セマンティック」「データガバナンス」の3層整備が不可欠と語りました。メタデータレイヤーは、共通の辞書の様なもので、社内にある異なるデータの意味や関係性を定義し、AIが理解しやすい共通言語として機能させるもの。一方で業務ごとに異なるKPIや定義は、セマンティックレイヤーで文脈ごとにモデル化することが可能です。さらに、個人情報や機密データの管理には、プロファイル別のアクセス制御を含むガバナンスポリシーを組み合わせ、安全かつ柔軟な活用を可能にします。
中谷氏は、AI活用の将来像として「複数のエージェントが連携し、自然言語UIで業務が完結する世界」を提示し、その実現には共通のデータ定義と文脈理解が重要になると締めくくりました。
AIは「使う道具」から「共に働く存在」へ

イベントの締めくくりとして行われたパネルディスカッションでは、「AIが変革するビジネスと社会」をテーマに議論が交わされました。モデレーターを務めたウフルの坂本は冒頭「今後のAIは、人の指示を待って動くのではなく、自律的に判断・行動するプロアクティブなAIへと進化する」と指摘。これを受けて、砂金氏は「今後3年で、AIは“使うもの”から“共に働く存在”へと変わっていく」と語り、AIに話しかけ支援してもらう時代から、「AIに常に“見ていてもらっている”状態が当たり前となり、人間が至らないところを都度支援してもらう世界」が来ると語りました。
続くテーマ「AI導入への道筋」では、中谷氏が「導入するAIから考えるのではなく、整備しやすく価値を出しやすいデータの整備から着手すべき」と述べ、「企業ごとに最適な“センターピン”を見極めて進めることが重要」と強調しました。
AIを“使う道具”から“共に働く存在”へと捉え直す姿勢と、AIの活躍を促す環境づくりとして、データ整備が重要だと語られました。
ウフルは、AIがもたらす社会やビジネスの変化を捉え、多様な企業や政府機関とともに、実装と共創の在り方を探る対話の場を今後も継続的に創出してまいります。技術のみならず、文化・組織・社会の変革に向けた議論と実践を重ね、AIと共創する時代の本質的な価値創出に取り組んでいきます。
■株式会社ウフルについて:https://uhuru.co.jp/
ウフルは「テクノロジーと自由な発想で、持続可能な社会を創る」を理念として、企業や社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)とデータ活用を支援・推進しています。クラウドサービスの導入と運用をはじめ、コンサルティングやシステム開発等を自社製品やソリューションとともに、エッジからクラウドまでワンストップで提供しています。また、企業活動の枠を超えて、地域や産業のDXを実現するために、スマートシティやスマートサプライチェーンに必要とされる、信頼できるデータ流通のための仕組みの導入と標準化に向けた提言を行いながら、IoT×ブロックチェーン領域における研究開発にも取り組んでいます。