株式会社サンシャインシティ
9月9日(火)の「オオサンショウウオの日」に向けたイベントも予定


サンシャイン水族館(東京・池袋)では11月24日(月・振) まで、夜や暗闇で活動する生き物に焦点をあて、“暗闇”をテーマにした特別展「真夜中のいきもの展」を開催しています。その中で、国内で2個体しか飼育されていない「スライゴオオサンショウウオ」を展示しています。
オオサンショウウオの仲間は世界最大の両生類で、飼育下では60年生存した個体もいます。当館の飼育個体は1999年に「チュウゴクオオサンショウウオ」としてサンシャイン水族館にやってきましたが、2024年に京都大学の研究により、当館で飼育している個体が中国では既に絶滅したと考えられていた「スライゴオオサンショウウオ」であることが判明しました。生存するスライゴオオサンショウウオとして確認されているのは世界でも2個体のみで、個体や標本の数も少なく、生態的な特徴はあまりわかっていません。
今回のディスカバリー通信では、9月9日(火)の「オオサンショウウオの日」に向けて、スライゴオオサンショウウオ発見までの経緯や今後の研究がどう変化していくのかを京都大学の西川完途教授へのインタビューとともにご紹介します。
※本リリースPDFはこちらよりダウンロードいただけます↓
d20364-1025-f12855ac27b4fac1a0a89ea6a70e035c.pdf
■「スライゴオオサンショウウオ」ってこんな生き物!■
★世界で確認されている、生きている個体は2個体のみ
★特定外来生物に指定されているものの、「絶滅危惧種」の中でも最も絶滅に近いランク(CR)に登録されている種である
★中国原産のオオサンショウウオの一種で、最も体が大きくなる種類! 全長は140㎝以上の個体にもなり、「世界最大の両生類」とも言われている。
★飼育下では50~60年生存した例もあり、長寿命。
★個体数が少なく、生態はあまり解明されていない…

近年、西日本の数地点で中国から持ち込まれたチュウゴクオオサンショウウオが日本の在来オオサンショウウオと交雑していることが問題となっており、日本では特定外来生物に指定され、“厄介者”とされています。しかし、“厄介者“の外来種であり”希少”でもある「スライゴオオサンショウウオ」の発見は、生物の研究や保全だけでなく、クローン技術を用いた絶滅種を復活させる技術研究の発展に寄与する可能性があります。
「オオサンショウウオの日」とは?
オオサンショウウオの姿が数字の「9」に似ていることや、繁殖のため9月頃にオオサンショウウオの活動が活発になることから、2018年に京都水族館が一般社団法人 日本記念日協会に申請し、制定された記念日。
■京都大学の西川完途教授に聞く!スライゴオオサンショウウオ発見までのストーリー
2024年に“スライゴオオサンショウウオ”を発見したオオサンショウウオ研究の第一人者である京都大学の西川完途教授(動物系統分類学)に、スライゴオオサンショウウオ発見までの経緯や、今後の研究についてお伺いしました。

-西川教授が研究を始めたきっかけは?
魚の研究に興味を持って京都大学に進学し、市内を流れている鴨川によく魚を獲りに行っていました。大学2年生の時に川が洪水となり、偶然オオサンショウウオを発見しました。そのことを両生類の研究をしていた松井正文(まついまさふみ)京都大学名誉教授に相談したことがきっかけで、縁があってオオサンショウウオと関わり続けています。
-どのような研究の中で“スライゴオオサンショウウオ”が発見されたのでしょうか?
松井教授が1960年代以降に持ち込まれたであろう中国種のオオサンショウウオが京都にいることを発見。さらに、日本のオオサンショウウオと交雑していることにも気づき、在来種が絶滅する恐れを感じて研究室で調査を始めました。そして、近年チュウゴクオオサンショウウオも4種類に分けられ、その1つが“スライゴオオサンショウウオ”でした。
種類がより分割されたこともあり、交雑したオオサンショウウオの遺伝子をふるい分けする目的で、様々なサンショウウオの遺伝子型を調査した結果、中国では絶滅したとされていた“スライゴオオサンショウウオ”が日本国内でサンシャイン水族館と広島市安佐動物公園(非公開施設で飼育)の2個体のみ飼育されていることが判明しました。

-発見されたときの心情は?
これは結構面白いことじゃないかなと思いましたね。外来のオオサンショウウオや交雑のオオサンショウウオをたくさん捕まえていたのですが、捕まえた個体は特定の施設でしか飼育ができず、身体も大きなオオサンショウウオを多数飼育できる施設も少なく、オオサンショウウオは長寿命なので、受入先を探すのに苦労しており、正直困っていました。
そういう意味でオオサンショウウオは、【厄介者】みたいな扱いになっていました。その中に日本にとっては外来だけど、世界的に見たら非常に珍しい2個体しかいないかもしれない種類がいて、他の国のサンショウウオの保護にも貢献できたのでちょっと救われたような気持ちになりました。
-発見されて以降、研究の進展は?西川教授の未来予想図を教えてください。
スライゴオオサンショウウオ以外にも中国の野生下で確認できなくなった種類が日本でも見つかってきています。もしかしたらまだどこかにチュウゴクオオサンショウウオの新種や珍しい系統の個体がいるかもしれないので、探していきたいと思います。私の本業は系統分類学者なので、オオサンショウウオの分類分けや進化の歴史を、化石も含めて調べていきたいと思っています。
-今後、クローン技術を用いた種の復活もあり得るのでしょうか?
現在の遺伝子技術を使って種として残すことは可能かもしれません。
しかし、飼育環境の確保や高額な費用、個体数が少なく遺伝的に弱い個体ができる可能性などを踏まえると、悩みどころが多くて、大きな進捗がないのが現状です。ただ一方で、現在国内で飼育されている個体が死亡したら、地球上から1種類生き物が減ってしまいます。今、クローン技術を用いた種の保全ができることを確認しておけば、他に個体が見つかったときに復活も見えてくるかもしれないし、そういう意味では有効的かもしれません。
-サンシャイン水族館で“スライゴオオサンショウウオ”を実際に見るお客様に注目してほしいポイントはありますか?
よく「外来種は敵だ!」と言われて、在来種だけにしてしまおうみたいな活動もあったりします。でも、必ずしも外来種が悪というわけではなく、場合によってはこうやって【救世主】みたいになることもあります。
今回、サンシャイン水族館で飼育されていたスライゴオオサンショウウオは、非常に良い状態で飼育されていました。スライゴオオサンショウウオという野生絶滅したと言われている貴重な種とは知らなかった中で、地道にケアされていたと思います。中国ではいなくなってしまった種類が、日本の都会のど真ん中で長期間飼育されていたということは、実はすごい飼育技術だと思いますし、注目・観察していただきたいと思います。
■飼育スタッフもびっくり⁉

入社した当時から飼育されていて、私もチュウゴクオオサンショウウオだと教わりました。
普段は、上から観察する形状の水槽で飼育していたため、まじまじと観察する機会も少なかったかもしれません。長年大事に飼育してきたこの個体が、実はスライゴオオサンショウウオだったことを聞いた当初は大きな驚きを感じました。
とても希少な生物ですが、スライゴオオサンショウウオは特定外来種にも指定されています。外来種は悪者扱いされてしまうこともありますが、今回のように「絶滅から種を守る救世主」になりうる事もありますし、生態の解明などに繋がるかもしれません。
水族館として、今後もこの貴重な種について来館者の皆様に発信を続けていきたいと思っております。
スライゴオオサンショウウオ発見に関する京都大学から発表された論文はこちら!
絶滅したオオサンショウウオが生きていた!―外来種が救う種の絶滅?―
■【夏休みの駆け込み自由研究に!】「オオサンショウウオの日」を前に、オオサンショウウオ研究の第一人者西川教授とスライゴオオサンショウウオを長年飼育してきたサンシャイン水族館の飼育スタッフによるスライゴオオサンショウウオについて深堀りするサイエンスセミナーを開催
8月18日(月)に、京都大学の西川完途教授をお招きし、スライゴオオサンショウウオについて学ぶサイエンスセミナーを開催。 特別展「真夜中のいきもの展」会場で実際にスライゴオオサンショウウオを観察した後、スライゴオオサンショウウオを中心に、オオサンショウウオの生態について紹介します。
詳細はウェブサイトをご確認ください。
-サイエンスセミナー概要
日 時:8月18日(月) 10:00~ ※約1時間を予定
料 金:3,500円
(イベント参加費、水族館入場料、特別展入場料含む)
対 象:小学生以上
定 員:30名
ウェブサイト:https://sunshinecity.jp/aquarium/event_performance/event/entry-33942.html

スライゴオオサンショウウオ展示中! サンシャイン水族館 特別展「真夜中のいきもの展」開催概要
開催期間:開催中~ 11月24日(月・振)
※ 営業時間は、時期によって異なります。詳細はウェブサイトをご確認ください。
会 場:サンシャイン水族館 特別展会場
料 金:●通常入場券 600円
●「オリジナル蓄光ステッカー」付き入場券 800円
※水族館本館ほか対象施設をご利用の方、 アクアリウムクラブ会員証・年間パスポートをお持ちの方、障がい者割引をご利用の方は上記金額より200円引き
※アクアリウムクラブ会員証・年間パスポート・障がい者手帳または対象施設の入場当日の半券をご提示ください。
ウェブサイト:https://sunshinecity.jp/file/aquarium/mayonaka/
※本リリースPDFはこちらよりダウンロードいただけます→https://prtimes.jp/a/?f=d20364-1025-f12855ac27b4fac1a0a89ea6a70e035c.pdf
※状況により、内容・スケジュールが変更・中止となる場合がございます。
※画像はイメージです。
※金額はすべて税込です。
————————————————————————————————
■サンシャイン水族館 概要
所在地:東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル・屋上
営業時間:10:00~19:00
※最終入場は終了30分前 ※季節・曜日で変動
入場料:大人(高校生以上)2,600円~、こども(小・中学生)1,300円、幼児(4才以上)800円 ※時期や特別営業などにより変動
問合せ先:サンシャイン水族館 03-3989-3466 https://sunshinecity.jp/aquarium/
※土・日・祝日及び特定日は、事前予約(日時指定)が必要です。詳しくは、水族館 ウェブサイトをご確認ください。
————————————————————————————————