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精密医療が切り拓く治癒の未来

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L.E.K.コンサルティング株式会社

~国内で17兆円規模の経済投資を呼び込み、人々の生活を一変させる~

専門家を中心とした新たな報告書によると、アジア太平洋地域では、革新的な治療法がクリティカル・マス(臨界点)に達しつつあることを背景に、医療の「精密医療の時代」が到来しようとしています。これらの治療法は、医療を再構築し、投資を誘致し、人々の生活の質を向上させるでしょう。高齢化により医療費の高騰と医療に対するニーズが高まっている日本では[i]、精密医療の時代の訪れは、これらの課題に対処するための大きな転換点となります。しかし、この精密医療の可能性を最大限に引き出すには、国内の制度、最新の治療法に対するアクセス、そして基盤の整備が追いついていかなくてはなりません。

本日発表された白書、「精密医療が切り拓く治癒の未来(On the Cusp of a Cure)」では、アジア太平洋地域が精密医療の時代に対応できる準備ができているかを考察しています。精密医療の時代とは、画一的な処方や定期的な投薬による治療から、個々の患者の疾患に合わせて最適な、高精度でかつ根治を目指せる治療法である「精密医療」へと徐々に移行している変革期を指します。

L.E.K.コンサルティングと、日本、中国、韓国、オーストラリアの4市場をまたがるアジア太平洋地域の専門家16名で構成される諮問委員会により、独自の「システム全体ベネフィットモデリング」手法を用い実施した新たな調査によると、今後10年間にわたり、日本で精密医療の時代がもたらすベネフィットは以下の通りと結論付けました[ii]:

  • 研究開発、製造分野全体で、17兆円(約1,120億米ドル)規模の直接投資が発生する

  • 継続的・対症療法的な治療がより効果的な治療や治癒に置き換わることを通じて、8,600億円(57億米ドル)を超える医療費が削減される

  • 直接投資の促進や患者に与える利益の乗数効果により、地域社会全体で100兆円を超える経済波及効果が期待され、25万人の雇用が創出される

  • 治療の質が向上し、対象患者の累積生存年数が約130万年増加する

詳細については、下記よりご覧ください。

英語版-https://www.lek.com/insights/hea/jp/sr/cusp-cure-asia-pacific-ready-precision-era-japan

日本語版- https://www.lek.com/ja/insights/hea/jp/sr/cusp-cure-asia-pacific-ready-precision-era-japan

「精密医療の時代の医療技術は、日本が抱える医療の課題に対する革新的な解決策となりえます。この新たなアプローチを採用することで、大幅な経済成長や雇用創出だけでなく、逼迫する医療費の負担を大きく軽減できると期待されます。また、約150万人の患者がこれらの治療法の恩恵を受けると予想されます。患者が長期間にわたって健康を維持できるようになれば、入院回数の減少、薬剤費の削減、専門医への受診回数の減少といった形で、医療費の削減が実現するでしょう」と、L.E.K.コンサルティングパートナー 兼 日本法人代表取締役の井ノ口雄大氏は述べています。

目次

精密治療で「治療の最前線」へ

「精密医療が切り拓く治癒の未来(On the Cusp of a Cure)」調査では、遺伝子治療、抗体標的治療、薬物-デバイス併用療法、診断技術という4つの新技術を対象として、1,000件以上の臨床試験データを評価しました。これらの治療法は、精密医療の時代の一端を担っていると考えられます。なぜならば、これらの治療は、さらに個別化されたアプローチが可能となることにより、患者の健康に対してより一層の利益をもたらし、これまでの医療のあり方に対するパラダイムシフトとなるため、重要な研究分野としても投資領域としても注目されているためです。

特に注目すべき点として、「これまで根治が難しいとされてきた多くのがんや遺伝性疾患――アジア太平洋地域で深刻な健康課題となっているこれらの病気の“治癒”が、いま現実味を帯びてきている」と評価する専門家がいることが挙げられます。

「2022年に国内で新たにがんと診断された人の数は100万人以上であり、そのうち40万人以上が命を落としました[iii]。最近の統計データでは、日本人の2人に1人が生涯のうちにがんと診断されるとされています[iv]。精密医療のような新しい効果的な治療法が必要であることは否めません。このような標的治療は、生存率と生活の質のいずれの改善にも極めて重要であり、国内におけるがんとの闘いに新たな道を切り拓くものとなります」と、藤田医科大学大学院の佐藤大介教授は述べています。

これらの治療法の中でも最も画期的な精密医療の例の1つに、患者自身のT細胞(白血球の一種)に処理を施し、がん細胞を標的とし破壊させるように改変するキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法があります[v]。白血病やリンパ腫などの血液がんの治療によく用いられており、最近では多発性骨髄腫の治療としても承認されています[vi]。

「CAR-T療法のような革新的な治療法が広く使えるようになり、より早い段階の治療選択肢として組み込まれていけば、患者さんはより長く、そしてより質の高い生活を送れるようになります」と、諮問委員会メンバーであり、Cancer Solutionsの創設者兼最高経営責任者の桜井なおみ氏は語ります。「何度も化学療法を繰り返すのではなく、患者さん一人ひとりの病状に合わせカスタマイズされた治療が受けられるようになるのです。こうした精密医療は、かつては治らないとされていた病を克服へと導き、患者さんが大切な人と過ごす時間を増やす——そんな何ものにも代えがたい希望をもたらします。」

治癒への扉を開くには――精密医療導入の課題

医療費の高騰や医療のニーズの高まりにより、日本の国民皆保険制度の持続性はゆらぎはじめています。「ドラッグラグ・ロス」、すなわち新しい医薬品・医療テクノロジーの導入の遅れや欠如は、国民の最新の治療法へのアクセスを制限させてしまうリスクがあります。精密医療の時代は、これらの課題に対する対処法や患者の治療方法の大きな転換点となるため、それを最大限に活用できるように規制当局や政策立案者にも同様の発想の転換が求められることになります。

「精密医療が切り拓く治癒の未来(On the Cusp of a Cure)」白書シリーズは、各国の市場にはそれぞれ独自の制度があることを踏まえつつ考察し、患者、医療制度、経済という面でのプラス効果を現実のものとするために、日本は以下の点に取り組む必要があるとしています:

革新的医療技術の価値評価体制の強化

新しい医療パラダイムに即した規制・保険制度への見直しをする。「精密医療」の個別性に応じた価値評価方法を検討する。 適切な専門家の助言に基づき、疾患や治療法に適した価値評価指標を設定する。

コンパニオン診断薬(CDx)とがんゲノムプロファイリング検査(CGP)の保険適用規制の緩和

CDxの互換性評価を推進し、臨床現場の判断に基づき適切な患者への適切なタイミングでの使用できるようにする。

保険診療内で早期段階からでCGPを使用可能とするような規制の見直しを行う。 AIを活用したCGP検査結果の解釈支援を導入する。

革新的医薬品の保険外利用促進

公的保険外での革新的医療使用のハードルを緩和し、患者ニーズや臨床現場判断により精密医療を利用使用できるようにする。

単一患者 IND(治験薬有償利用制度)システムを導入し、緊急医療ニーズをもつ患者が早期に必要な治療を受けることができるようにする。

未承認薬に対するCompassionate Use の利用環境を改善する。

革新的な精密医療の研究開発の推進

セクターや国境を越えたオープンイノベーションを推進する。 研究開発にかかる事務サポートを強化することなどにより、精密医療の研究開発体制を強化する。治験における患者リクルーティングの効率化を図る。 ゲノム情報を含む患者臨床情報についてさまざまな異なる医療機関、アカデミア研究機関所、製薬企業で円滑に共有するためできる医療・ゲノムデータ基盤を整備し、創薬や臨床研究において利活用を推進する。

桜井氏は、「精密医療という新たな時代の到来により、私たちはアジア太平洋地域全体の医療を変革する入口に立っています。しかし、これらの治療法が持つ可能性を最大限に引き出すためには、知識やインフラはもちろんのこと、規制制度も追いついていかなくてはなりません。精密医療の目標は、適切な患者、適切なタイミング、適切な治療、および適切な用量を確保することです。人生を大きく変える可能性のあるこれらの治療法を患者が利用する上で障壁となるものを取り除くため、政策立案者、医療専門家、医療業界のリーダーを含め、我々全員に果たすべき役割があります」と述べています。

編集注記:「精密医療が切り拓く治癒の未来(On the Cusp of a Cure)」白書シリーズと諮問委員会メンバー

「精密医療が切り拓く治癒の未来(On the Cusp of a Cure)」白書のアジア太平洋地域シリーズは、4つの地域別市場の白書で構成されています。具体的には、オーストラリア、中国、日本、韓国を対象として、精密医療の採用の障害となるものの評価、改善のための提案、広範な導入によって生まれる価値の評価を行っています。

「精密医療が切り拓く治癒の未来(On the Cusp of a Cure)」白書シリーズは、オーストラリア、中国、日本、韓国で、精密医療、経済・医療政策、患者体験という分野に携わる、卓越した地域の専門家16名からなる諮問委員会の支援を受けて作成されました。Johnson & Johnson社がこれを協賛しています。

これらの専門家や、これから実際に治療を経験する患者の方々に、精密医療の時代や精密治療が提供する価値、「精密医療が切り拓く治癒の未来(On the Cusp of a Cure)」白書についてより深く理解していただくためのインタビューに応じていただく予定です。

オーストラリア

David Thomas, Chief Scientific Officer, Omico

Jaala Pulford, 取締役会長, MTP Connect

Christine Cockburn, 最高経営責任者, Rare Cancers Australia

中国

Baorong Yu, 教授, University of International Business and Economics

Andy Mok, General Manager, China Guardant Health

Kevin Huang, アドボカシー会員, China Organisation for Rare Diseases

Zhou Caicun, キーオピニオンリーダー, Lung cancer

韓国

Paul Lee, 前General Manager, Gilead Sciences Korea

Jin-Ah Kim, 希少疾患の支援, Seoul National University Hospital, Department of Genomic Medicine, Rare Disease Centre

Professor Jeonghoon Ahn, Professor of Health Convergence, 梨花大学

日本

香取 照幸, 代表理事,一般社団法人未来研究所臥龍, 特任教授, 兵庫県立大学大学院社会科学研究科

佐藤 大介, 教授, 藤田医科大学大学院

武藤 学, 教授, 京都大学大学院医学研究科

三宅 正裕, 教授, 京都大学病院

桜井 なおみ, 創設者兼最高経営責任者, Cancer Solutions

清水 佳佑, リーダー, Lung cancer HER2 “HER HER”

L.E.K.コンサルティングについて

L.E.K.コンサルティングは、企業の競争優位性確立と成長をお手伝いするグローバル戦略コンサルティングファーム企業です。1983年の設立以来、ヘルスケアを中心とする多分野にわたる業界にクライアントを持ち、事業戦略における最重要課題への対応や新たなチャンスの活用をお手伝いしています。詳しくはwww.lek.comをご覧ください。

報道関係者窓口:
山田 千登勢
chitose.yamada@gcihealth.com

[i] Matsuda S. Health Policy in Japan – Current Situation and Future Challenges.JMA J.2019 Mar 4;2(1):1-10. doi: 10.31662/jmaj.2018-0016.PMID: 33681508; PMCID: PMC7930804.

[ii] On the Cusp of a Cure: Is Asia Pacific Ready for the Precision Era:South Korea report.L.E.K.Consulting.2025.

[iii] World Health Organization.Globocan 2022.掲載先:https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/392-japan-fact-sheet.pdf

[iv] 国立がん研究センター、がん統計データ。国立がん研究センターがん情報サービス(厚生労働省人口動態統計)。https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html(2023年1月11日にアクセス)(日本語)

[v] American Cancer Society.CAR T-cell therapy and Its Side-effects.掲載先:https://www.cancer.org/cancer/managing-cancer/treatment-types/immunotherapy/car-t-cell1.html#:~:text=Chimeric%20antigen%20receptor%20(CAR)%20T,treatments%20are%20no%20longer%20working

[vi] OncLive.Idecabtagene Vicleucel Approved in Japan for Relapsed/Refractory Multiple Myeloma.掲載先: https://www.onclive.com/view/idecabtagene-vicleucel-approved-in-japan-for-relapsed-refractory-multiple-myeloma

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年7月29日 10時00分)

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