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戦争のない世界、7割近くが『実現しない』と回答 ~約半数が「今の日本は平和」と考える一方、将来的な懸念も示す結果に~

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日赤

戦後80年を迎える2025年、平和や核兵器をめぐる意識・行動について日赤が調査

日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:清家篤、以下「日赤」)は、平和や核兵器をめぐる意識や行動について、全国の10代~60代以上の男女、合計1200名を対象に調査を実施しましたので、お知らせいたします(調査は2025年6月に実施)。

海外ではこの数年間で、ウクライナやイスラエル・ガザといった場所で紛争が発生し、今もなお世界中から大きな関心を集めています。日赤は今現在発生している紛争だけでなく、過去に起きた人道危機においても、現地で医療支援を行う等の人道支援活動に携わってきました。

一方で、80年前に目を向けると、日本は太平洋戦争の渦中にありました。当時、日赤は救護員を戦地に派遣するなどし、凄惨な状況を目の当たりにしながら、救援活動に従事してきました。

武力紛争における負傷者や捕虜、民間人の保護を目的とするジュネーブ条約をはじめとした「国際人道法」の成り立ちと、赤十字の設立には深い関わりがあります。日赤は、過去の経験も踏まえた上で、歴史を後世に伝えていきながら、「人間のいのちと健康、尊厳を守る」ことの大切さを国民に理解してもらうことが重要だと考えております。

そこで、戦後80年を迎えた今年、改めて日赤は国民の平和などに対する意識や行動に関する調査を実施いたしました。

目次

<調査結果のハイライト>

  • 「広島に原爆が投下された月日」「長崎に原爆が投下された月日」「第二次世界大戦が終戦した月日」について知っているか尋ねたところ、それぞれ順に78.3%(940人)、73.0%(876人)、74.3%(891人)が知っていると回答し、いずれも7割以上の結果となった。反対に、それぞれ2割以上は「知らない」ことも明らかになった【図1】。

  • 戦争体験者の話を直接聞いたことがある人は50.1%(601人)でほぼ半数だった【図2】。
    上記に対して誰から聞いたかを問うと、最多は「祖父母、曾祖父母」で46.6%(280人)。次に「語り部活動をしている人」が37.9%(228人)、「資料館などの施設のスタッフ」が26.6%(160人)と続いた【図3】。

  • 戦争体験を将来に伝えることが大切だと思う人は全体で87.6%(1,051人)だった【図4】。

  • 今の「世界」が平和だと思う人は全体で18.3%(219人)にとどまり、2割に満たなかった【図5】。これに対して、今の「日本」が平和だと思う人は55.7%(668人)で過半数となった【図6】。
    ただし、将来的に日本が戦争の当事者になる可能性があると考える人も53.2%(638人)で半数を 超えていた【図7】。

  • 戦争のない世界が実現するかどうかについて尋ねると、「実現すると思う」と答えたのは全体の18.4%(221人)で2割に届かなかった。反対に「実現しないと思う」と回答したのは68.6%(822人)で7割近くに上り、「分からない」と考えた人は13.1%(157人)だった【図8】。

  • 核兵器の使用や保有についての考えを尋ねると、全体の51.8%(621人)が「保有も使用もすべきではない」と回答した。一方で、「使用すべきではないが、自衛のために保有することは致し方ない」が28.3%(339人)と3割近くにのぼった。「核兵器を保有し使用することに異論はない」は4.7%(56人)、「分からない」が15.3%(184人)だった【図9】。
    また、核兵器廃絶について、関心があると回答した人が65.1%(781人)だった。【図10】
    これに対して、「抑止力として有効だと思う」は27.3%(328人)、「核の傘があることで平和が保たれる側面もある」が22.2%(266人)との回答もあった【図11】。

  • 国際人道法などの戦時のルールの認知を尋ねると、「ルール名も内容も知っていた」が13.3%(159人)にとどまった一方、「ルール名も内容も知らなかった」が43.2%(518人)、「内容は知っていたが、ルール名は知らなかった」が31.9%(383人)、「ルール名は知っていたが、内容は知らなかった」が11.7%(140人)という結果になった。【図12】

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12

【まとめ】

今回の調査結果では、広島・長崎に原爆が投下されたり、第二次世界大戦が終戦したりした月日について、いずれも2割以上は知らないことが明らかになりました。全体の8割以上が戦争体験を将来に伝えることが大切だと考えている一方で、体験を直接聞いたことがある人は2人に1人の割合であることも判明し、当時を知る人々の高齢化に伴う影響も見え隠れする結果となりました。

また、今の日本が平和だと感じている人は過半数を超えたものの、世界の平和について実感している人は2割に届かないことも分かりました。加えて、戦争のない世界が実現しないと考える人が7割近くなることが分かっただけでなく、将来的には日本が当事者になる可能性があると考えている人も同じく半数を超えており、日本の平和について不安を覚えている人が一定数いることも明らかになりました。

核兵器についてはその危険性を理解しながらも、保有をめぐっては意見が分かれているほか、分からない・関心がないという人が一定層いる実態も明らかになりました。

日赤は今回の調査結果を踏まえて、世界の紛争地域での人道支援活動を続けるとともに、赤十字の過去の経験や、国際人道法に照らした核兵器廃絶の必要性などを改めて訴えていくなど、各種啓発活動にも取り組んでまいります。

【日赤専門家のコメント】

                 日本赤十字社 事業局 国際部

                       次長 大山 啓都

(略歴)

1999年入社。国際救援等に従事した後、国際赤十字・赤新月社連盟(スイス)に3年半出向。その後、同連盟会長補佐を8年間歴任し、2018年より国際部企画課長として国際活動の企画調整の他、核兵器廃絶を含め、国際人道法の普及を推進。2024年より現職。

80年間、幸いにも戦場にならなかった日本において、戦争の記憶が薄れていくのはある程度やむを得ないかもしれません。そうした中、現在、「平和」を将来にわたって感じられる人が半数になり、大多数の人は、世界で戦争はなくならないと考えるようになっているようです。しかし、平和に危機感を抱かざるを得ないような現状のなかでも、大多数の人が、過去の経験から学ぶことを大切に思っているということに注目したいと思います。

核兵器については、その廃絶に多くの方が関心を持つ一方、その使用や保有に対する考え方には葛藤していることが見て取れます。

赤十字も、過去の経験から学ぶことを大切にしています。例えば、原爆が投下された直後の広島でも救護活動をした経験があります。

ただ、交通事故を起こさなくても交通ルールを学ぶことができるように、核兵器や戦争を実際に体験しなくても、それらのことを学ぶことはできます。例えば、赤十字が重視している戦争のルールである「国際人道法」は、実際の戦争を踏まえてまとめられたものですが、それを通じて、いかに戦争から戦闘に関係のない人々を救うことができるかを学ぶことができます。

戦後80年を迎えるこの機会に、国際人道法や、それに基づく赤十字の活動に興味を持っていただけると幸いです。

【参考:核兵器と赤十字】

赤十字は、「国際人道法」と「救護団体」という2つの人道的観点から、破滅的な結果を未然に防ぐために、核兵器の廃絶を訴えています。

核兵器が使用された場合、武力紛争に関与しない一般市民を巻き込み、生活に必要なインフラを破壊し、人類と環境に深刻な被害をもたらします。国際人道法では、「軍事目標と民用物の区別」が規定されていて、一般市民や民用物を保護することとしています。いかなる形であれ、国際人道法に従ったかたちで核兵器が使用できるなどということは信じ難いことです。

また、赤十字は人道危機が起きた際にいち早く被災者のもとに駆け付けようとしますが、核兵器の被害に対する救護は、現場へのアクセス含め格段に難しくなります。

広島及び長崎への原爆投下80年にあたるこの8月、核兵器廃絶に向けて、ICRC総裁と日本赤十字社社長による共同声明を発表する予定です。

この10年間の間に、核兵器禁止条約という国際的ルールが誕生しました。この新たなルールを学ぶことにも意義があります。

詳しくは、日本赤十字社WEBサイトをご覧ください。

○赤十字と国際人道法について

  https://www.jrc.or.jp/about/humanity/ 

○核兵器と赤十字について

  https://www.jrc.or.jp/international/results/150206_002974.html 

<調査概要>

調査名     戦後80年に関する意識調査(2025年)

調査対象    日本国内の男女1200名(10~60代以上の男女各100人)

調査方法    インターネット調査

調査機関    楽天インサイト株式会社(調査委託)

調査期間    2025年6月

※その他詳細なデータについては、日本赤十字社広報室にお問い合わせください。

※本調査を引用する場合は「2025年日本赤十字社調べ」もしくは「日本赤十字社『戦後80年に関する意識調査(2025年)』」と記載ください。

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年7月29日 10時00分)

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