株式会社松尾研究所
労働力減少社会を見据え、多様な働き方時代に求められる“生産性”を定義し、生産性の新たな評価モデル構築と計測手法の開発へ

株式会社松尾研究所(以下、「松尾研究所」)は、株式会社イトーキ(以下「イトーキ」)とともに、AI技術を活用した「オフィスにおけるマルチモーダル(※1)データ活用による生産性評価研究」を開始しました。本研究では、従来のオフィス稼働データや主観的なパフォーマンスサーベイデータに加え、オンライン上の行動履歴やウェアラブルデバイスによるライフログデータを活用し、働く環境・働き方・働く人の生産性との関係性を多面的に分析します。目的は「生産性の定義と向上に寄与する行動・環境モデルの構築」と「二つ目に生産性の客観的な計測・検証手法の確立」の2点です。今後は社内実証を経て、大規模実証、サービスとしての展開を視野に入れています。
◾️背景
近年、テクノロジーの急速な進化により産業構造が変化し、AIによる業務代替や自動化が現実味を帯びる一方で、日本では依然として労働生産性の低さが課題とされています。加えて、生産年齢人口の減少や働き方の多様化により、「何が生産性を高めるのか」は組織によって大きく異なり、その全体像を捉えることは困難を極めます。
こうした背景のもと、「人」を中心に据えたプロダクト開発・空間設計を行う企業であるイトーキと松尾研究所は、より高度な分析とエビデンスベースの空間改善を可能とするため、本研究を開始しました。
近年、テクノロジーの急速な進化により産業構造が変化し、AIによる業務代替や自動化が現実味を帯びる一方で、日本では依然として労働生産性の低さが課題とされています。加えて、生産年齢人口の減少や働き方の多様化により、「何が生産性を高めるのか」は組織によって大きく異なり、その全体像を捉えることは困難を極めます。
こうした背景のもと、「働く人」を中心に据えたプロダクト開発・空間設計を行う企業であるイトーキと松尾研究所は、より高度な分析とエビデンスベースの空間改善を可能とするため、本研究を開始しました。
◾️実施内容
本研究の目的は、「生産性の定義と向上に寄与する行動・環境モデルの構築」と「生産性の客観的な計測・検証手法の確立」にあり、これまでの「スペース稼働データ」や主観的な「パフォーマンスサーベイデータ」に加え、オンライン上のやり取り(チャット・メール・Web会議ログなど)や、睡眠などのライフデータ(ウェアラブルデバイス活用)といった“行動の裏側”を含むマルチモーダルなデータを統合的に分析する点にあります。
すでに当社内では2回の実証実験を実施。観察研究ではエリア別にパフォーマンス差が生まれていることを確認し、介入実験では指定エリアでの一定時間以上の作業を促すことで実際に成果の変化を分析中です。また、ウェアラブルデバイスを活用した分析からは、睡眠時間が5〜7時間の範囲でパフォーマンスが最も高まる傾向があることが明らかになっているほか、オフィス内での移動が生産性向上に寄与する可能性が示されました。

■今後の展望
今後は、研究初期フェーズでの仮説検証とPoC(※2)を経て、1000人規模での外部実証へと進めてまいります。さらには、センシングデバイスやWebアプリによるデータ収集・分析プラットフォームを構築し、顧客向け評価分析サービスとしての提供を目指します。
※1:マルチモーダル:異なる種類のデータを組み合わせて解析する技術
※2:PoC(Proof of Concept):新技術やアイデアの実現可能性を検証する試行
■松尾研究所について
株式会社松尾研究所は国立大学法人 東京大学 工学系研究科 松尾・岩澤研究室に伴走し、大学を中心としたイノベーションを生み出す「エコシステム」を作り、大きく発展させることを目的に設立された研究所です。松尾研究所は、アカデミアから生み出される研究成果・技術の「開発・実装」を行い、広く社会に普及を目指し、日本の産業競争力の向上に貢献しています。
<本件に関するお問い合わせ>
株式会社松尾研究所 広報担当 pr@matsuo-institute.com