アサナジャパン株式会社
日本企業のAI導入は転換期へ — 導入進むも、調整業務は増加~高齢化社会・労働力減少の中、スケール戦略が競争力の分岐点に~
エンタープライズワークマネジメントプラットフォームのリーディングカンパニー、米国Asana, Inc. (以下、Asana) の日本法人・アサナジャパン株式会社(東京都千代田区)は、本日、日本国内のナレッジワーカー2,034名を対象に実施した調査レポート「AIと働き方の現在地:2025年の日本 -なぜAIだけでは、非効率な仕事がなくならないのか-」を発表しました。同レポートは、日本のAI導入が重要な転換期を迎えていることを示唆しており、AIのスケール戦略を持つ企業が競争優位性を確立する一方、そうでない企業は停滞する現状を明らかにしています。
■日本に迫る“AIパラドックス”──生産性向上のはずが、調整業務はむしろ増加
日本はG7で最も高齢化が進み、出生率も最も低い国の一つであり、労働人口の減少が深刻な課題となっています。こうした背景の中、日本企業がAIの可能性を最大限に活かせるかどうかは、今後の競争力を大きく左右する分岐点となります。しかし、AIの導入が進んでいるにもかかわらず、調整業務(コーディネーションワーク)に費やす時間がむしろ増加しているという“生産性のパラドックス”も明らかになりました。
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情報検索に費やす時間は週15時間(前年比+9時間)
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同僚からの質問対応: 週12時間(前年比+7時間)
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コラボレーションツールの使用: 週10時間(前年比+4時間)
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生産性の低い会議: 週9時間(前年比+1時間)
これは、AIが既存の非効率な業務プロセスの上にただ“上乗せされている”状態であり、本質的な業務改革が伴っていないことを示唆しています。
■「AIと働き方の現在地:2025年の日本」主な調査結果ハイライト
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AI利用は増加傾向も、組織全体へのスケールは途上: ナレッジワーカーの週次AI利用率は23%から35%へと増加したものの、組織全体にAIをスケールできている企業はわずか17%にとどまりました。
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AI導入の阻害要因: 従来のシステムの上にAIを上乗せすることで、業務プロセスに摩擦が生じ、AIの効果を阻害しています。
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Asanaの調査により、組織は大きく2つのタイプに分かれることが明らかになりました。
○ AIスケーラー: 複数のワークフローに AI を導入しており、測定、調整、継続的な改善を通じて効果的に運用している組織。
○ 非スケーラー: AI を試験的に導入し、一部の業務に採用しているものの、全従業員への拡大には踏み切れていない組織。
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AIスケーラーが取り組む4つの職場負担の軽減: AIスケーラーは、組織全体の連携、情報伝達速度、変化への対応力、業務過多といった4つの職場負担を軽減するためにAIを活用しています。
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労働力不足へのAIの貢献: 日本の労働力不足は深刻化しており、AIは労働力不足を補うための必要不可欠な手段とされています。しかし、組織の多くは、AIを大規模に導入する準備ができていません。
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2030年に向けたAIスケーラーの準備:
○ AIスケーラーは、従業員のウェルビーイングのモニタリング(31%)、従業員のパフォーマンス評価(30%)、AIシステムの管理(30%)など、より戦略的なAIの役割を想定。
○ AIリテラシーの必要性が高まり、継続的なスキル開発が求められると予想。
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経営層と従業員の認識ギャップ:
○ AIによる生産性向上を実感している経営層は56%である一方、一般社員は29%にとどまります。
○ 経営層の58%がAIの実験的活用に意欲的であるのに対し、一般社員は38%にとどまります。
■AIスケーラーが取り組む「4つの職場負担」への対策
同レポートでは、AIスケーラーがAIを活用して以下の「4つの職場負担」を軽減していることを明らかにしました。
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連携(Connectivity)の負担: AIを活用した共通のツールの使用によって、組織横断型のコミュニケーションや業務遂行の促進。AIを活用することで、連携が改善されたと報告する可能性が 171% 増加。
○ 回答者の10%が「組織全体でチーム同士が効果的に連携している」と回答。
○ 38% の従業員が「毎週必要な情報を見つけるのに苦労している」と回答。
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ベロシティ (Velocity)の負担: AIを活用し、ルーチン業務の自動化や優先順位付けを最適化。AIを活用することで、ベロシティ (仕事の進行速度) が改善されたと報告する可能性が 133% 増加。
○ 日本の労働者のわずか 9% が、「自分の組織ではチーム間で情報やアイデアが迅速に伝達されている」と回答。
○ ナレッジワーカーは、一日3時間を必要な情報を探すために浪費。
○ 44%が、緊急でないタスクや依頼で日常的に仕事を中断されると回答。
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レジリエンス(Resilience)の負担: AIを活用し、リスクを早期に検出し、計画を柔軟に調整。AIを活用することで、レジリエンスが改善されたと報告する可能性が 157% 増加。
○ 64% が「同僚が重要な情報を隠している」と回答。
○ 46% が「チームメイトが新しいプロジェクトに巻き込まれないように、自分の仕事量を誇張しているのを見たことがある」と回答。
○ 56% が「同僚が自分の担当分野を過度に保護している」と報告。
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キャパシティ(Capacity)の負担: AIを活用し、ルーチンタスクを自動化し、従業員がより創造的な業務に集中できるよう支援。従業員は、AIによって情報を探す時間が短縮されたと答える可能性が、161%増加。
○ 63% が過去 1 年間に「燃え尽き症候群」を経験している。
○ ナレッジワーカーの作業時間のうち58%が、過去 6 か月間に、対応できないほどの仕事量を経験している。
○ 57%のナレッジワーカーが、「生産性を高めるよりも、忙しく見せることを優先している」と回答。
■Asana ワーク・イノベーション・ラボ
ワーク・イノベーション・リード、マーク・ホフマン博士のコメント
「日本企業は、AI導入において戦略的な転換期を迎えています。AIを単なるツールとして導入するのではなく、組織全体の働き方を再設計し、従業員のエンパワーメント、連携、レジリエンス、そして効率性を高めることで、AIと人との協働が促され、AIの真価を発揮できます。日本企業が、AIスケーラーへと変革を遂げ、グローバル競争力を高めるための情報を提供できるよう、Asanaは引き続き尽力してまいります」
■日本企業の強みを生かしたAI活用
本レポートでは、日本企業がAIを導入する上で、以下の強みを活かすことを推奨しています。
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プロセス重視の文化: 構造化された高品質なプロセスをAIで強化し、早期の問題発見、リアルタイムなパフォーマンス追跡、改善提案などを実現。
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協調性を重視する文化: チームの調和を重視する文化を基盤に、AIを活用して責任範囲を明確化し、部門間の連携を促進。
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長期的な視点: 長期的な計画に重点を置く日本の企業文化とAIを連携させ、段階的かつ持続可能な変革を支援。
■詳細な調査結果と分析
レポート全文では、AI導入の現状、課題、そしてAIスケーラーへの変革に向けた具体的なステップについて、より詳細な分析を提供しています。
Asana 「AIと働き方の現在地:2025年の日本 -なぜAIだけでは、非効率な仕事がなくならないのか-」は、こちらのリンクからダウンロードしていただけます。
【調査概要】
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調査名: AIと働き方の現在地:2025年の日本 -なぜAIだけでは、非効率な仕事がなくならないのか-
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調査対象: 日本国内のナレッジワーカー2,034名
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調査時期: 2025年4月
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調査方法: オンライン調査
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調査主体: Asana Work Innovation Lab
ワークイノベーションサミット東京2025を開催
Asana は、フラッグシップイベント「人とAIが協働する働き方 〜ワークイノベーションサミット東京 2025〜」を、8月6日(水)14:00〜18:15に開催いたします。本イベントでは、日本のナレッジワーカー2,000名以上を対象に実施した最新調査に基づく「AIと働き方」に関するインサイトの共有や、変化の激しい時代に求められる新しい働き方について考えるキーノート、社内変革を通じてイノベーションを実現した企業事例、そしてそれを支える Asana の最新テクノロジーをご紹介します。イベントの詳細およびご参加登録は、こちらからご確認いただけます。
Asana について
Asana は、人とAIの協働を可能にするワークマネジメントプラットフォームの リーディングカンパニーです。Amazon、Accenture、Anthropic、Morningstar、スズキをはじめとした 17万社を超える顧客が、チーム間の連携と組織のインパクトを加速させるために Asana を活用しています。戦略的な取り組み、組織横断的なプロジェクト、または全社的な目標の管理など、どのような状況においても、Asana は組織における複雑な状況を明確にし、AI がチームと協力しながら計画を実行に移すのを支援します。詳細については、www.asana.com をご覧ください。