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【岐阜県飛騨市】日本初「学校作業療法室」の人材育成モデル確立へ〜子どもたちの「できるようになりたい」に寄り添う専門家を育成

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岐阜県飛騨市

岐阜県飛騨市では、地域おこし協力隊制度を活用して、学校における作業療法の人材育成・確保モデルの確立に取り組んでいます。

学校の教室で子どもたちと関わる奥津作業療法士

岐阜県飛騨市(市長:都竹淳也)では、全国でも初となる小中学校に作業療法士(OT)を配置する「学校作業療法室」の取り組みを進めており、現在では市内すべての小中学校に設置されています。しかし、「学校作業療法室」を今後も安定的に運営する上では、学校作業療法士の育成と確保が大きな課題です。 2025年度では、地域おこし協力隊制度を活用した新たな人材育成モデルを試行し、学校における作業療法士の育成と確保に取り組みます。

学校における作業療法のノウハウを実践で学ぶ地域おこし協力隊の三宅沙希さんと学校作業療法士の奥津光佳さん 
目次

「学校作業療法室」とは

飛騨市では、市内に拠点のあるNPO法人はびりす(大垣市)に委託し、2023(令和5)年度より市内の小中学校全8校を対象に、身体と心のリハビリ専門家である「作業療法士(OT)」が定期的に滞在する部屋を学校内に設置。子どもたちの学習や生活の困りごとに寄り添う取り組みを行っています。

この取り組みはOTが月に2回、各校を訪問・専用の部屋に日中滞在するもので、子どもが生き生きと学校生活を送るサポートをしています。

校内に設置された「学校作業療法室」
子どもたちと「作戦」を考える奥津OT

学校現場で個性に寄り添うサポート

作業療法では「生活」に焦点をあてて、児童生徒のたてた目標を達成するためのアプローチ等の作戦を一緒に考える活動の他にもそれぞれの子どもの個性に寄り添ってサポートしていきます。

例えば、以下のようなサポートや訓練を行っています。

・「鉛筆を上手に持てない子」→遊びながら手の力を育てるトレーニング

・「椅子に座るのが苦手な子」→バランスボールや姿勢改善の指導

・「友だちとうまく遊べない子」→社会性を育むグループワークなど

子どもたち自身が「できた!」という経験を積み重ねることで、自信を取り戻し、楽しく学校に通い、健やかに生活できるようになります。

現在、全国には約11万人の作業療法士資格保持者がいますが、就職先としては、医療機関や福祉事業所で約7割を占めています。学校現場で専門性を発揮する作業療法士はわずか3%の状況です。

飛騨市が気づいた「学校にもう一つの保健室」の必要性

市では少子化が進んでいる一方で、学校の現場では、子どもたち一人ひとりが抱える課題が多様化しています。不登校や行き渋り、発達障がい、学びや日常生活のつまずき…。岐阜県の児童の相談内容をみても、障がいや養護、育成には当てはまらない「その他」の相談件数が増加傾向にあります。

年度別・相談種類別受付件数の推移(岐阜県:児童相談令和6年度年度版(令和5年度実績)より)

これまで現場の教員は、学習指導や生活指導などたくさんの業務がある中で懸命に子どもたちに向き合い支えてきました。しかし、対処の仕方がわからずに悩むことは多く、対応の限界を感じられていたのも現実です。 

そこで、生活をしやすくする専門家である「作業療法士」のアドバイスや支援を入れてみたところ、教師たちからこんな声が聞かれるようになりました。 

「子どもたちの見方が変わった」 

「むずかしく感じていた子への接し方がわかった」

 「子どもたちの変化を実感した」 

良い変化や影響がみられたことから、市は、作業療法士という専門家を学校現場に入れ、子どもたち、教員、保護者を支える仕組みをつくりました。 

学校現場の教員の声

学校現場教員の負担が軽減、子どもたちの自信にも変化

子ども一人ひとりの困りごとや不安がどこに起因しているのかを専門的な視点で見てもらうことで、教員の負担が軽減しています。


子どもたちのやりたいこと、できるようになりたいことを引き出し、「できるようになった!」と実感できるところまできめ細やかにサポートしていただいています。

学校教員とは異なる専門的な見地からの子どもや保護者、家族へのアプローチは教員らの学びにもつながっています。


地域おこし協力隊制度を活用して、学校における作業療法士を育成

飛騨市では、今年4月から学校現場での作業療法を学びたい作業療法士を地域おこし協力隊員として募集し、実際に育成を進める取り組みを開始しました。こうして育成する作業療法士を全国に公募し、育成する過程で飛騨市の学校作業療法室に貢献いただきます。その後、飛騨市に残って活動していただいたり、市外で働くなど飛騨市や全国の学校作業療法士の育成・充実を推進していきます。

これらの取り組みを通じ、飛騨市は学校現場における作業療法士育成の拠点として、日本全国のモデルとなることを目指しています。

地域おこし協力隊三宅沙希さんのコメント

地域おこし協力隊の三宅沙希さん

つまずきや生きづらさに寄り添う。子どもや親のために役立てたい!

飛騨市での「学校作業療法室」の取り組みは福祉と教育の連携があってこそ。作業療法士がこんなに地域や社会になじんでいるところは全国を見渡しても飛騨市しかないと思います。学校現場での作業療法を充実させ、人材育成のマニュアルやツール、ノウハウを全国に広げることで、困りごとのある子どもや保護者の役に立ちたいです。

NPO法人はびりす職員の三宅さんは大阪府堺市出身。信州大学で作業療法も学んだ後、長野県内の福祉施設に就職。その後飛騨市の取り組みに関心を持ち、協力隊に応募されました。

現在、三宅さんは学習や生活の困りごとやつまずきを解決するために「作戦」を立てて、子どもたちに寄り添いながら、学校作業療法室のノウハウを集約。学校現場で活用できるツールやマニュアルの作成に取り組んでいます。

学校作業療法室のプロジェクトに関わる作業療法士や市職員ら

問い合わせ先

飛騨市役所 総合福祉課 

TEL:0577-73-7483


学校現場で作業療法士が奮闘中!現場のお話をインタビューしました

PRTIMES STORYで政策の裏側を配信中!

地域の子どもが幸せな学校生活を送るには?個々の発達に向き合い、自立を促す「学校作業療法室」【作業療法士×飛騨市:前編】

地域住民一人ひとりの幸福度を上げるために。作業療法を取り入れた、新たな「福祉」のかたち【作業療法士×飛騨市:後編】

学校作業療法室の4年間の歩みが書籍になりました

書籍『すべての小中学校に「学校作業療法室」 飛騨市の挑戦が未来を照らす』が2024年10月に発行されました。

詳しくは市ホームページをご覧ください。


岐阜県飛騨市

飛騨市は、人口約21,500人の小さな市で、周囲を北アルプスなどの山々に囲まれ、総面積の約93%を森林が占めるなど豊かな自然に恵まれたまちです。また、豊富な自然資源のほか、ユネスコ無形文化遺産である古川祭・起し太鼓、ノーベル物理学賞の受賞に寄与した「スーパーカミオカンデ」を始めとする宇宙物理学研究施設、大ヒットアニメ映画「君の名は。」のモデル地となった田舎町の風景など、多彩で個性豊かな地域資源の宝庫です。

飛騨市公式サイト https://www.city.hida.gifu.jp/

PRTIMES飛騨市ページ https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/120394

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年7月31日 16時54分)

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