株式会社朝日新聞出版
金沢学院大学が主催する文学賞「島清(しませ)恋愛文学賞」の選考会が7月31日16時より行われ、選考委員の審査により、ヒコロヒーさんの『黙って喋って』が受賞作に決定しました。
今年の選考委員は、村山由佳さん、桜木紫乃さん、島田雅彦さん、金沢学院大学学長・秋山稔さんの四名です。
「島清恋愛文学賞」は、その年に出版された最高の恋愛小説を選ぶ文学賞で、直近では一穂ミチさん『光のとこにいてね』、上田岳弘さん『最愛の』、吉田修一さん『ミス・サンシャイン』、吉川トリコさん『余命一年、男をかう』、山本文緒さん『自転しながら公転する』、綿矢りささん『生のみ生のままで』、三浦しをんさん『ののはな通信』などそうそうたる作品が受賞してきました。芸人が受賞するのは賞の創設以降、初めてのことです。受賞を受けて、緊急重版も決定しました。

ヒコロヒーさん初の小説集となる『黙って喋って』は刊行時から作家の吉本ばななさん、西加奈子さんに推薦コメントを頂戴し、さらに歌人・俵万智さんのX(旧Twitter)での投稿「ヒコロヒーさんの小説が、ほんっっっとうに良くて、恋する誰かと語り合いたい。」が話題になりました。
友達以上恋人未満の彼に「あと十分一緒にいたい」とどうしても言えない甘酸っぱい瞬間から、「分かってる女」として振舞ってしまい同僚を貶める発言をたしなめられなかったもどかしさ、既婚者である彼の妻との会話に覚える苛立ちまで、「こんな瞬間、私にもあった」と恋する気持ちを思い出させる18本の掌編が収録されています。
【内容紹介】
感情がほとばしって言い過ぎた言葉、平気をよそおって言えなかった言葉。
「もう黙って」「もっと喋って」と思わずにはいられない、もどかしくて愛おしい掌編18本。
■ヒコロヒーさん受賞コメント
私みたいなろくでもない人間によるろくでもない話の数々が受賞とはわけのわからぬ恐縮な思いですが、こんな光栄な出来事に見舞われることができたのは、連載のお話をくださった朝日新聞ウェブの編集長、単行本化にあたって原稿の遅延行為を繰り返すだらしない私の面倒を見てくださった朝日新聞出版のおおらかな編集のお二人、優しい言葉で単行本の帯を包んでくださったばななさんと加奈子さん、各所で「芸人が書いてるからってなめちゃいけないよ」と熱く感想を述べてくださっていた俵万智さん、そういった方々のおかげで手に取り読んでくださった全ての皆さまのおかげかと思います。
普段はでたらめなコントをしています。謝りません。
■著者プロフィール

ヒコロヒー
一九八九年愛媛県生まれ。芸人。他の著書にエッセイ集『きれはし』がある。本書は初の小説集となる。
『黙って喋って』
著者:ヒコロヒー
発売日:2024年1月31日(水曜日)
定価:1760円(本体1600円+税10%)
ISBN:978-4-02-251957-3