株式会社CURIO SCHOOL
全応募者4,275名のアンケートより明らかになった、中高生が考える探究学習の意義や課題点について

株式会社CURIO SCHOOL(本社:東京都目黒区鷹番3丁目8−5 豊島ビル 3F、代表取締役:西山恵太)は、東京学芸大学登本洋子准教授と2024年度より探究学習における共同研究を実施しています。
共同研究の一環として、当社主催「中高生探究コンテスト2025(応募期間 2024年11月1日〜12月22日、最終審査会 2025年2月15日)」にて、中学生および高校生の学校における探究学習の実態を明らかにするため、応募者へ探究学習に関するアンケート調査を実施しました。当アンケートより、生徒が感じる探究学習の意義や不満を含む分析結果を報告します。これらの結果は、今後の中学校および高等学校における探究学習指導の深化に寄与するものと考えられます。
調査の背景・目的
本調査は、中高生探究コンテスト2025の応募時アンケートをもとに、一般応募者とセミファイナリストの傾向を比較しました。探究の価値認識、進路との関わり、学校教員や外部人材からの支援状況、学習を阻む要因等を把握し、よりよい探究カリキュラム設計と探究学習支援の要件を明らかにすることを目的とします。
調査概要

調査期間 |
2024年11月1日〜12月22日 |
調査対象 |
中高生探究コンテストへエントリーした中高生 |
調査方法 |
Googleフォームのアンケート回答 |
サンプル数 |
4,275名(全応募者) |
アンケート項目(全19項目) |
1. テーマ選択のきっかけ(択一選択) |
調査結果
多くの生徒が探究学習を「よい深い学びの機会」として肯定的に捉えている
アンケート結果から見えてきたのは、多くの生徒が「より深い学び」として探究学習に価値を感じているという点です。生徒たちは、自らの興味関心をもとにテーマを設定し、調査やフィールドワークや制作活動などを通じて主体的に学ぶことで「新しい視点を得た」「他ではできない経験を積めた」「自分をより深く知ることができた」と回答していました。学校の教科学習とは異なる自由度の高い学びが、生徒にとって特別な意味をもつことが示唆されました。
また、探究活動は進路選択にも大きな影響を与えており、「将来の職業を考えるきっかけになった」「進路を明確にできた」「大学の志望理由として使えた」といった意見が多く回答されました。一方で、「自分の進路とは結びつかなかったが、探究自体に価値があった」という意見も見られました。自身の進路と直接結びつかなくとも自己理解や思考力の養成といった観点において、探究学習が有意義であることがうかがえます。
カリキュラム編成の充実・人的サポートの充実・さらなる学校と社会との接続が課題
一方で、生徒たちは探究活動を進める中で多くの課題にも直面していることが分かりました。特に多かったのは「時間が足りない」「探究プロセスがわからない」「調べたいテーマの情報や専門家が見つからない」といった声です。これらは学校側のカリキュラム編成やサポート体制に起因する部分が大きく、探究を十分に進められなかったという不満が顕在化したと考えられます。
さらに、「自由にやらせてほしい」「もっと外とつながる機会がほしい」「他の探究者と交流したい」「発表の場が少ない」といった声も多く、生徒たちは探究を「自分たちのもの」として主体的に広げていきたいと感じていることが伝わってきました。単なる学校の課題としてではなく、社会と接続し、自らの成果を誰かに伝えたり、他者と対話することに大きな意義を見出していることが示唆されました。
また、「先生が熱心でなかった」「支えてくれる人がいなかった」といった声もあり、探究活動における人的サポートの重要性が浮き彫りになりました。教員の関わり方一つで、生徒の探究が促進されるか否かが大きく変わる可能性が示唆されます。教員からのフィードバックや専門家とのマッチング、過去データへのアクセスなど、学外の知のネットワークとつなぐ橋渡しの機能が、より求められるのかと思われます。
社会全体で生徒たちの意欲ある探究学習を支える環境づくりを
こうした生徒たちの声を受け止めるとき、探究学習を学校内だけの取り組みにとどめるのではなく、地域、企業、専門家、大学など、広く社会全体で探究活動を支える体制づくりが必要であると考えます。生徒たちは自らの学びに本気で取り組みたいと願っており、その意欲に応えるためにも学校内外の大人たちが協働して意欲的な生徒の行動を支えより深い学び場を構築していくことが、これからの教育や探究学習支援に求められているかと思います。
調査結果の詳細
本アンケートの詳細は、以下の記事にまとめてあります。
https://note.com/curio_/n/n0ba715c13b0f
調査結果の意義・インパクト
満足度や成果、進路との結びつきは、「社会に開かれた探究」「教員と外部の協働」「時間設計の見直し」と強く関係していると考えられます。具体的な施策の方向性としては、探究時数の確保と越境活動の制度化、教員のメンタリング研修、専門家マッチングと過去知のデータベース化、発表機会の整備などが有効と考えられ、学習の質向上と機会格差の縮小に寄与すると思われます。
中高生探究コンテスト
「中高生探究コンテスト」は、全国の中学生・高校生を対象に、学校で取り組んだ探究活動の成果を発表し合う大会です。参加者は「好き部門」と「困りごと部門」のいずれかに応募でき、自分の好奇心や身近な問題から自由に探究した成果を応募可能です。
審査では各部門ごとに「自分ごと化」「試行錯誤」「示唆や解決」「想い・社会的インパクト」など4つの観点を重視します。これまでに、全国の中学校・高等学校700校以上から16, 000名以上の参加がありました。本コンテストは、探究活動を深める場として、生徒の主体性や社会性を育む機会を提供します。
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