AEL株式会社
【伊勢丹ポップアップストア開催直前インタビュー】
8月13日(水)から8月19日(火)まで、東京・伊勢丹新宿店にて韓国ブランド「WARMGREY TAIL(ウォームグレイテール)」のポップアップストアが開催されます。
今回、私たちはソウルにあるWARMGREY TAILのアトリエを直接訪れ、ブランドを手がけるイラストレーターのキム・ハンゴルとアートディレクターのイ・ヒョナ夫妻にお話を伺いました。 平凡な商品ではなく、まるでアート作品のように愛されるプロダクトがどのように生まれるのか、その背景や哲学、そしてこれからの日本市場への想いについて語っていただきました。

Q:ブランド名「WARMGREY TAIL」に込められた「猫のしっぽ」のお話をお聞かせください
A:WARMGREY TAILは、20年間ともに暮らしてきた2匹の猫をヒントに名づけました。どちらもグレーのしっぽだったことが、名前の由来です。
Q:「線のない絵」という哲学はどのように生まれ、作品にどのような影響を与えていますか
A: バニーバニーのパターンをご覧いただくとお分かりのとおり、線を描かないことに固執しているわけではありません。ブランド立ち上げ準備の時期に、質感を描き込みすぎない絵を志向したのが始まりです。紙、布、陶器などさまざまな素材に展開する必要があるため、シンプルで質感に依存しない絵が良いと判断しました。
Q:ご夫婦で一緒に作業される際の役割分担やシナジーについて教えてください
A:イラストはすべて私(キム・ハンゴル)が描き、広告代理店出身のアートディレクターである妻(イ・ヒョナ)がブランディングや広報、マーケティングを主導しています。その他の業務は話し合いながら一緒に決めており、明確な役割分担はしていません。夫婦だからこそ、退勤後や就寝前にもつい仕事の話をしてしまいます。
Q:韓国ブランドでありながら、日本市場で注目を集めた理由は何だと思われますか
A: 日本を含む海外市場に向けて広告やマーケティングを行ったことはないため、WARMGREY TAILがどのように日本で知られるようになったのか、私たち自身も分かりません。2024年から突然日本からの注文が急増しました。日本のお客様にご愛顧いただいていることを知り、ただただ嬉しく思っています。
Q:今回の伊勢丹ポップアップを「小さな展示会」と定義した意図と、鑑賞ポイントを教えてください
A: すべての商品は私のイラストから始まるという点が、一般的なライフスタイルブランドとは異なると思います。日本のお客様にはバニーバニーのタオルが最も馴染み深いかもしれませんが、WARMGREY TAILは10年前にポスターや額縁、ポストカード、カレンダーなど、イラストそのものを商品化するところから始まりました。広いスペースではありませんが、ポスターや額縁とともに小さな展示を楽しむ気分で、ぜひポップアップストアにお越しください。

Q:動物や自然をモチーフとした哲学やメッセージについて教えてください
A: 大自然を描いていますが、私たち自身が大自然に囲まれて生活しているわけではありません。多くの人と同じように、大自然に憧れる“都市に暮らす生活者”です。だからこそ、大自然に対する畏敬の念を作品を通して伝え、心地よさを分かち合いたいと思っています。
Q:人気キャラクター「バニーバニー」誕生の背景と、今回初公開となるハンドクロスに込めた想いをお聞かせください
A: 「ウサギを描こう」と思い立って、ウサギが走り回る動画をたくさん見ました。ふわふわした長い耳がひらひら揺れる姿が印象に残りました。耳で顔が隠れる様子や、片方だけ垂れた形、ヘリコプターの羽のように広がった形など、さまざまなスケッチを重ねながらキャラクターを整えていきました。25cm四方のハンドクロスは、今回の伊勢丹で初めて公開する商品です。韓国よりも特に日本では携帯用ミニタオルをよく使うと聞き、既存のタオルよりも小さくて軽い製品を作ることにしました。

Q:「ハギーベア」が韓国のスターバックスで1日で完売した経験は、どのような確信につながりましたか
A: スターバックス店舗にハギーベアのキーホルダーぬいぐるみが並び、1日で売り切れたという報告をスターバックスの担当者から聞いて、私たちも本当に驚きました。今後はもっといろいろな挑戦をしてもいいのだと背中を押された気がしました。
Q:MoMA Design Storeでの取り扱いが決まった際のエピソードと、その後ブランドに与えられた影響を教えてください
A: ある日突然、MoMA Design Storeからお取り扱いのご提案メールをいただきました。担当者が韓国を訪れた際に偶然WARMGREY TAILの商品を見つけ、気に入ってご連絡くださったとのことでした。取り扱い決定をInstagramでご報告したところ、これまでにないほど多くの祝福のメッセージをいただきました。
Q:スケッチ、色選び、素材選定など、イラストが商品になるまでのワークフローを簡単にご紹介ください
A: どのような商品を作るか検討する段階では、イラストが商品の価値を高められるかを重視します。その後、素材やサイズ、生産方式に応じてイラストをどのように反映するかを考え、制約がある中で最適な構図に落とし込みます。

Q:サステナビリティのために素材を選ぶ際、最も重視している基準は何ですか
A: パッケージにさまざまな素材が混ざっているとリサイクルが難しくなるため、できるだけ単一素材で設計し、ほとんどを紙素材で製作しています。商品自体にも環境に優しい素材を使うのが理想ですが、まだ選択肢がそれほど多くありません。代わりに、シーズンに関係なく長く販売できる製品を作ることで、廃棄を減らす努力をしています。
Q:今後、日本で挑戦してみたいコラボレーションや新シリーズについて、そして日本の読者の皆さまへメッセージをお願いします
A: ソウルのWARMGREY TAILストアにお越しいただく日本のお客様にお会いする度、「どうやってこの場所をご存じになったのだろう」といつも驚いています。日本語が話せないため直接お礼を申し上げることができませんでしたが、この場をお借りして心から感謝申し上げます。今後、「WARMGREY TAILでこんな商品を作ってほしい」といったものがあれば、ぜひInstagramを通じてご意見をお寄せください。必ず参考にして、形にしていきたいと思います。
【編集後記】
限られた取材時間でしたが、アトリエで感じたのは作品ひとつひとつに込められた温かさと、作り手としての強いこだわりでした。今回の伊勢丹ポップアップは、単なる販売イベントではなく、小さな美術展に足を運ぶような感覚で楽しめるはずです。日本のファンにとって、WARMGREY TAILの魅力を間近で感じられる貴重な機会になるでしょう。

【ポップアップストア概要】
会場:伊勢丹新宿店 本館2階 イーストパーク/プロモーション
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿3-14-1
会期:2025年8月13日(水)~8月19日(火)


【WARMGREY TAIL(ウォームグレイテール)】
「WARMGREY TAIL(ウォームグレイテール)」は、“静かなユーモア”と“やさしい温度”をまとった韓国発のイラストレーションブランドです。イラストレーターのキム・ハンゴルとアートディレクターのイ・ヒョナ夫妻によって2015年にソウルで設立されました。大自然からインスピレーションを得て、山や海、広大な大地、野生動物などあらゆる生命の物語を表現し、日々の暮らしにほんの少しの「ぬくもり」と「遊び心」をプラスするコレクションを展開しています。
HP : https://warmgreytail.store/
Instagram : https://www.instagram.com/warmgreytail
E-mail :info@warmgreytail.jp