株式会社エクスメディオ
国立がん研究センター医師監修、希少疾患早期発見のための専門医相談プログラム「皮膚がんエキスパートライン」2024年度活動報告

医師会員数74,000人超のオンライン医局®『ヒポクラ』を運営する株式会社エクスメディオ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:澤田敬嗣)は、2024年4月より、国立がん研究センター東病院 皮膚腫瘍科の監修のもと、希少がんメラノーマをはじめとする皮膚がん(皮膚悪性腫瘍)の早期発見・早期治療・疾患啓発を目的としたプログラム「皮膚がんエキスパートライン」を推進しています。
同病院が所在する千葉県東葛地区を中心に、地域の医療機関と連携しながら展開してきた本取組について、このたび2024年度の1年間の活動成果を取りまとめ、ご報告いたします。
■背景:専門医の限られる希少疾患では、専門医へのアクセスが社会課題に⋯⋯
メラノーマのような希少がんは、専門医の不足により正確な診断や適切な治療に至るまで時間がかかっており、日本ではメラノーマ患者が初回受診に至るまでの期間が中央値で約2年、平均で約5.4年と報告されており(※1)、欧米と比較して最大10倍の遅れが生じています。その結果、がんが進行した状態で診断・治療が始まるケースも少なくありません。
同じような状況が他の希少疾患・難病でも見られ、患者さんの「専門病院や専門医へのアクセス改善」は社会的な課題といえます。
(※1 出典:日本皮膚悪性腫瘍学会, Japanese Melanoma Study: Annual Report 2022 – 背景情報:AJCC第8版(2018-2022年の症例), http://www.skincancer.jp/report-skincancer_melanoma_2022.pdf)
■目的:クリニックや中核病院から、専門医への受診をスムーズに
「皮膚がんエキスパートライン」は地域の医療機関と専門医の“縦の連携” と、皮膚がんの専門医同士の“横の連携”を強化することで、早期発見・早期治療・疾患啓発を目指す取組です。
特に“縦の連携”においては、千葉県東葛地区をパイロットエリアとして活動しました。

■取組内容:ローカルの啓発活動 × オンラインの全国相談窓口
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地域医療機関への案内・賛同施設の拡大
千葉県東葛地区のクリニックを中心に「皮膚がんエキスパートライン」の主旨や活用方法を周知。「千葉県東葛地区は皮膚がんの治療が早い!」を目指すことへの賛同施設を募りました。
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Webセミナーの開催
主に皮膚科開業医向けに、皮膚がんの診療ノウハウ、「皮膚がんエキスパートライン」の活用方法を紹介するセミナーを実施しました。
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継続的な情報提供
賛同施設へは半年間、月1~2回の頻度で皮膚がんに関する最新情報を提供し、診療の質向上を支援しました。
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医師向けオンライン相談窓口の提供
疑われる症例に対し、国立がん研究センター東病院 皮膚腫瘍科の専門医とオンラインで相談できる体制を構築しました。
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学会発表
第88回日本皮膚科学会東京支部学術大会にて、国立がんセンター東病院 皮膚腫瘍科・陣内駿一先生が「皮膚がんエキスパートライン」の取組を発表されました。
■結果:地域の皮膚科の半数以上が賛同、専門医紹介の重要性を理解
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地域医療機関からの賛同
千葉県東葛地区に所在する皮膚科クリニックの半数以上(55%)から「皮膚がんエキスパートライン」の賛同を得ることができました。
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賛同医師の意識変化
賛同医師へのアンケートでは、92%が「専門医への紹介の重要性への理解が深まった」と回答。地域医療における皮膚がん診療の意識向上が確認されました。
「皮膚がんエキスパートライン」の取組により、皮膚がんの早期発見・早期治療に向けた地域医療連携が一歩前進し、診療体制強化に向けた意識の高まりが確認されました。
今後も、専門医との連携チャネルを活用し、皮膚がん診療の質の向上を目指すとともに、他の希少疾患においても同様の仕組みを展開することで、地域の医療アクセス改善と診断の迅速化に貢献してまいります。
■監修医(国立がん研究センター東病院 皮膚腫瘍科)からのコメント
この1年間、「皮膚がんエキスパートライン」を通じて、皮膚がんの早期発見・早期治療に向けた医療連携に取り組んでまいりました。多くの医療機関の皆さまにご賛同・ご協力をいただき、心より感謝申し上げます。専門性の高い皮膚がん診療において、地域医療連携の広がりは大きな成果でした。当院への紹介患者さんは前年度比144%に増加し、多くの患者さんに早期治療を提供する流れが創出できたのではないかと思います。また、全国各地の先生方にも「皮膚がんエキスパートライン」をご利用いただきました。今後も皮膚がんの早期診断・早期治療の導入、最終的には患者さんの予後の改善を目指していきたいと考えております。また、本取組が他疾患にも広がり、誰もが必要な医療に適切なタイミングでアクセスできる社会が実現することを願っています。

【監修・窓口担当】
国立がん研究センター東病院 皮膚腫瘍科
陣内 駿一 先生
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会 認定皮膚悪性腫瘍指導専門医
■本件のお問い合わせ先(運営会社)
株式会社エクスメディオ 担当:ビジネスユニット 福田・松浦
MAIL:cs@exmed.io
株式会社エクスメディオは、ユニークな企画力とAIをはじめとする技術力を掛け合わせ、医師の臨床をエンパワーメントするITサービスを提供することで「医療リソース偏在の解消」「診療治療精度の向上」「専門的診療支援」に寄与することを目指し、2014年12月に創業しました。
医師専用の臨床相談コミュニティである『ヒポクラ』は、時間や場所を問わず診断・治療方針の疑問をDtoD(Doctor to Doctor)で相談できる場所、全国の医師をつなぐ大きなオンライン医局®として、患者さんに最適な治療を提供したい医師会員74,000人超に利用されています。
今後も、医師のための専門医相談サービスのパイオニアとして、治療の進歩が目覚ましい「がん(オンコロジー)」、早期発見・早期治療に社会的課題のある「希少疾患」領域を中心に、DtoDコミュニティの特長を活かした企画・サービスを提供していきます。