株式会社ルーフギャラリー

この度、LURF GALLERY(ルーフギャラリー)1Fでは、米山由夏の個展「●REC」を開催いたします。
現実に存在する風景や物体を起点に、記憶や記録のプロセスを通して再構築された絵画作品を発表する米山由夏。本展「●REC」では、取材、撮影、再構成、描写、展示といった一連の行為を“レコーディング”の感覚で捉えた新作を展示します。
本展で描かれるモチーフは、作家自身が強く惹かれる素材や形に基づいており、対象に向けられた繊細な感受性と抽象的な構成が交差することで、具象と抽象のあいだを行き来するような視覚体験が生まれます。さらに、画面を特徴づけるのは、無機質に研ぎ澄まされた赤の色調と、その上に揺らめく重層的なグラデーションです。静謐な赤の響きと層の気配が、作品全体に深い余韻と緊張をもたらします。
記録と再生、観察と構築、物質と感覚。その往還の中に浮かび上がる絵画空間を、ぜひ会場にてご高覧ください。
展示会期は2025年9月5日(金)から10月6日(月)まで。
■ 展示詳細
米山由夏 個展 「●REC」
会期|2025年9月5日(金) 〜 10月6日(月)
会場|LURF GALLERY 1F
時間|11:00 – 19:00
住所|150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1
協力|ALPHA ET OMEGA
オープニングレセプション
2025年9月4日(木) 18:00 – 20:00
※予約不要・入場無料
※作家在廊予定
LURF GALLERY公式サイト|https://lurfgallery.com/
作品に関するお問い合わせ|https://lurfgallery.com/pages/contact
■ステートメント
「●REC」
支持体とメディウムが1つの絵画となる時、画面の構図と構成、選ばれるモチーフの特徴、取材と解釈、色、抽象性、技法と材料など、さまざまな要素の上で成り立っている。今回の展示タイトル「●REC」は制作の始まりから作品の完成、展示までの過程におけるレコーディングの連続のような感覚からだ。
作品に描かれるものは全て実際に私が取材した風景やオブジェクトであり、それらを目で見て肌で触れることで記憶に記録し、スマートフォンで写真や動画に記録している。そこから情報の取捨選択やビジュアルの再構築がデジタル媒体によって行われ、それを元にキャンバスに絵画として記録され、絵画を壁にかけた時の展示としての見え方を撮影する瞬間まで、レコーディング的感覚(記憶、記録、撮影、再生)が連続している。記憶、記録したものを異なる媒体と方法で再生し、その繰り返しを経て作品や展示の完成に至る。もちろん、絵画を描くという行為そのものが一番重要であり、この過程は目的ではなく手段に過ぎないが、一つの目標形態のために行われるさまざまな媒体と方法での連続的行為が、絵画の物質的なレイヤーとは別の、見えないレイヤーとして存在している。
ーモチーフとフェティシズム
作品に描かれるモチーフは、素材に対するフェティシズムが大きく関係している。いくつかのオブジェクトの角に対して愛着を持つフェチ(自称:角フェチ)があり、そのフェチが反応したものをモチーフにすることが多い。角なら無差別で愛着を持つわけではなく、一例としてセミマットで半透明で四角いものが好きだ。羊羹の断面や、固形石鹸、アクリル板、焼く前の切り餅など。幼少期はお気に入りのヘアゴムに付いていた透明のキューブをずっと撫でていた。「米山の絵を切ったら羊羹みたいになりそう」が過去最大に高揚した褒め言葉だ。実際、キャンバスという物体は支持体でありながら、画面内のモチーフの延長でもあるという感覚があり、キャンバス側面の厚みなどに反映されている。
ー往来する具象と抽象
モチーフ自体が持つ特性に反応するフェティシズムの感覚に併せ、光と影の状態や、モチーフの明度が一致することによる地と図の同化、図形的な空間、白さと黒さのリズムなどにも同時に焦点を当てている。描かれる物・空間は全て実際に私が見た現実に存在する空間で、現実に起きている現象を、いくつかの情報を削ぎ落とし、具象と抽象が往来するような感覚を与えながらキャンバスに記録する。赤いグラデーションで具象的な空間、白で突出した形が抽象的に配置され、図形的に捉えた空間に置き換えられる。ワントーンで描かれた同じ明度の箇所は、画面上で完全に融合し新しい形が生まれる。画面内の複数の物・空間が形となって絡み合い、ノンフィクションが少しだけ嘘をつく。
ー冷たく無臭の赤
ワントーンで描くからこそできる表現の発端は木炭デッサンだ。今でも油彩とデッサンは表裏一体であり、色相ではなく明度で絵を捉え、白の絵の具はほとんど使わない。当初は古典的なカマイユ技法のように茶褐色のワントーンで描いていたが、次第に赤茶、最終的には真っ赤に変化した。昔から黒・白と同じくらい私にとって普遍的な色が赤だったため、その移り変わりはほとんど無意識に近い。火や情熱を想起させ熱いイメージのある赤は、私の中で、そして私の絵の上で、冷たく無機的な色である。なんとなく心地いいコントラスト、図形として綺麗な形。その表現とビジュアルを支える、多くは語らない無臭の赤。
ー絵とマテリアル
キャンバスは綿と化学繊維の混紡生地を使用している。長く麻を使用してきたが、綿化繊混紡には機械的な冷たさを感じ、使用する絵の具も無機顔料の物がメインで、無口な絵とのやり取りがしやすい。また、使用している赤のピグメントの屈折率が2.7前後と非常に高く被覆力が高い。厳密に言えば、オイルの屈折率との差が大きければ大きいほど被覆力は高く、オイルは1.5前後で種類による幅は少ないため、ピグメントの屈折率が大きくなるほどその差は大きくなる。被覆力の高さ故の重厚感あるグラデーションと、ピグメントとの相性を研究した調合油による透明層が物質的に絵を支えている。
米山由夏



■ グッズ
米山由夏 × LURF GALLERYオリジナルグッズを発売。2025年9月5日(金)11:00より会場とウェブサイトにて販売いたします。



長袖Tシャツ(1種、S〜XL展開、税込7,480円)、パーカー(1種、S~XL展開、税込9,900円)
ウェブサイト|https://lurfgallery.com/collections/all
■ プロフィール

米山 由夏 | Yuka YONEYAMA
1999年 静岡県生まれ
2021年 東京藝術大学 安宅賞 受賞
2023年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2025年 東京藝術大学大学院 油画技法・材料研究室 修了
主な個展
2025年 「昼下がりのフィーカ」阪急メンズ大阪(大阪)
2024年 「Waypoint A」京都蔦屋書店(京都)
2024年 「MONOCHROME」ギャラリー・アートアンリミテッド(東京)
2024年 「Journey」代官山蔦屋書店(東京)
2024年 「Fleeting Scenes」THE PLUG(東京)
2023年 「くれない」銀座蔦屋書店(東京)
2023年 「Silent Town」LONG STORY SHORT(ロサンゼルス)
2023年 「YUKA YONEYAMA SOLO EXHIBITION」TRUNK(HOTEL)(東京)
2019年 「countdown」S.Y.P Art space(東京) 他
主なグループ展
2025年 「具抽象」ASTER Curator Museum(石川)
2024年 「ART ART KOBE -ArtSticker Selection- 」大丸神戸(兵庫)
2023年 「Short Short」東京藝術大学 YUGA Gallery(東京)
2023年 「INNOCENT ROOMS」ギャラリー・アートアンリミテッド(東京)
2023年 「ART SESSION by 銀座 蔦屋書店」銀座蔦屋書店(東京)
2023年 「Artsy Night in Harajuku」Gallery COMMON(東京)
2021年 「久米桂一郎賞・安宅賞・上野芸友賞 合同展示」東京藝術大学(東京) 他
Instagram|@yuka_0719_yy
LURF GALLERY(ルーフギャラリー)
ルーフギャラリーは、現代社会の日常に潜む内面を、それぞれのスタイルで鋭く表現するアーティストたちを発掘・紹介し、同時代美術におけるひとつの潮流を提唱することを目的として、2022年に代官山で開廊しました。
近代リアリズムが追求した人間の存在と社会の現実、また現代抽象が掘り下げた精神的・構造的探究などに関心をもちながら、モダンからコンテンポラリーへと続く美術の流れに敬意を払いつつ、時代の気配を繊細にとらえる感性をもつアーティストたちに光を当てています。国籍やキャリアの枠にとらわれず、国際的な視点から、多様で本質的な表現を探究するアーティストをサポートしていきます。
私たちは、こうした活動を通じて、現代社会を反映した、美術の普遍的な流れを紹介していくことを目指しております。
営業時間:11:00-19:00 ※不定休
住所:150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1 1F・2F
アクセス:代官山駅から徒歩5分 【GoogleMap】
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■ Instagram
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