デル・テクノロジーズ株式会社
ニュースの概要
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アジア太平洋(APAC)地域におけるAI、生成AI、機械学習(ML)の導入状況に関する調査結果を発表 ―― APAC地域の企業に、AI導入計画の策定に役立つ情報を提供
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準備態勢の評価、ロードマップの作成、モデルの開発、人材育成などの分野でテクノロジー ベンダーの支援を受けて、AI導入に伴うさまざまな課題を解消していることが明らかに
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幅広いユースケースへのエンタープライズAI導入について日本がAPAC地域をリード ―― 日本企業の30%がすでに業務および戦略のユースケースでAIを活用しているとともに、日本企業の4%が同業他社を上回るペースでAIを導入
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ただし、日本企業の36%はAI/ML導入の初期段階にあり、依然としてスキルギャップを埋めるためにAIの専門知識に関する社外からの支援が必要
2025年8月26日:
デル・テクノロジーズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:グレンジャー ウォリス、以下、デル・テクノロジーズ)は、NVIDIAとともにIDCへ委託したアジア太平洋(APAC)地域のAI導入動向に関する包括的な調査結果を発表しました。今回の結果は、テクノロジー パートナーとともにAI導入を成功へ導く方法について、企業に戦略的な提言を行うものです。調査結果は、2025年1月に発表されたIDCの調査資料『Creating Your AI Implementation Blueprint(自社のAI導入ブループリントを作成)』に掲載されています。
AI、生成AI、機械学習(ML)はAPAC地域全体のさまざまな業界を変革していますが、多くの組織が人材不足や統合に伴う複雑さ、AI戦略とビジネス目標を一致させることなどに苦慮しています。『Creating Your AI Implementation Blueprint(自社のAI導入ブループリントを作成)』では、テクノロジー パートナーとの連携がこれらのギャップを埋めることに役立ち、AI導入のプロセスを円滑に進めながら効率性、イノベーション、競合優位性を最大化できることが明確に示されています。
AIの可能性を最大限に引き出す『Creating Your AI Implementation Blueprint』からの重要なインサイト:
APAC全域でAIの導入が加速する中、企業はより戦略的な統合アプローチを採っており、業務効率や生産性の向上、パーソナライズした顧客体験の提供につながる生成AIのユースケースを生み出すことに注力しています。
しかし、多くの企業は、AIを導入するうえで高いスキルを有する人材の確保を課題としています。特にAIの専門知識を有する人材をめぐる競争がコスト増加につながっている先進国の市場において、これらの課題は顕著です。さらに、AI導入の取組みが成功するかどうかは、データの可用性、品質、ガバナンスに大きく左右されます。AIの可能性を最大限に引き出す上で、社内への投資と社外のコラボレーションを組み合わせてこれらの要因に対応することが成功の鍵になります。
IDCの調査資料では、APAC地域でのAI導入に関連した主な調査結果の概要が示されています。

出典: IDCのAI、生成AI、インサイトに関する調査(2024年7月) ― APACデータ、N=450
(IDC調査資料『Creating Your AI Implementation Blueprint』より)
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AIおよび生成AIがビジネスのイノベーションを促進: APAC地域におけるAI導入は右肩上がりで推移しており、AIに特化したサーバーの市場は2025年までに239億米ドルに達する見込みです。APAC地域では生成AIへの支出も勢いを増しており、今年生成AIイニシアチブに100万~200万米ドルを支出するとしているAPAC地域の企業は84%に上ります。生成AIへの支出が予算に占める割合は世界が約33%であるのに対して、APAC地域では38%が割り当てられており、予測AI(Predictive AI)と解釈可能なAI(Interpretative AI)への支出は合計61%となっています。企業は、これらのテクノロジーには生産性と顧客エンゲージメントを高める大きな可能性があることを認識しているものの、多くの企業がAIイニシアチブと戦略的目標を一致させることや既存のワークフローにAIを統合する上で、依然としてさまざまな課題に直面しています。
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AI導入戦略の進化:APAC地域におけるAIおよび生成AIの導入戦略は進化しており、2024年に最も多かった導入オプションはマルチクラウドを含むパブリック クラウドでした。ただし、セキュリティーやコスト効率、データ共有とコラボレーションの向上、業界固有の要件といった要因を背景に、プライベートAIに対するニーズも高まっています。また、企業の汎用AIモデルから特化型AIへの移行が進んでおり、各社CIO(最高情報責任者)はデータ セキュリティー、システムの整合性、そしてパブリック、マルチクラウド、ハイブリッド、プライベート クラウド環境のすべてにわたって最適化されたインフラを優先しています。
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AIおよび生成AI導入規模の拡大における主な課題と考慮点:APAC地域では、AI/MLプロジェクトの5回に1回(20%)が失敗しており、AIガバナンス不備(19.3%)、人材不足(18.4%)、過剰なインフラコスト(16.9%)が主な要因となっています。また、生成AIの導入規模を拡大する際、企業はエネルギー効率を考慮しながら、ITコストの上昇、規制やコンプライアンスに伴うリスク、といった重要な課題に直面します。スキルギャップは、DXや製品開発を遅らせ、最終的な品質に影響を与える恐れがあります。これについて、APAC地域の72%以上の企業が、AIスキルを有する人材不足のギャップを埋めるために、新たに人材を採用する際、データとAIの知識を有することを必須としていると強調しています。セキュリティーとプライバシーは、依然として重要な課題とされています。ITチームが生成AI導入への準備態勢を強化する必要がある一方、企業は社外のサービス プロバイダーにAIシステムのセキュリティーやプライバシー、信頼性の確立、インフラのモダナイズ、カスタムAIモデルの開発を期待しています。こうした課題はあるものの、企業は生成AIが業務効率を促進し、顧客満足を高め、新たなビジネス モデルを創出する力になると捉えており、取り組む価値があると考えています。
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AI導入を成功に導く基盤づくり:APAC地域の企業はAIの導入に対して構造化された段階的なアプローチを採っており、リスクをコントロールしながら目に見える形でメリットをもたらす、インパクトの大きなユースケースを優先しています。強固なAI基盤を確立するためには、人材、プロセス、テクノロジーの融合が不可欠です。ここで重点分野とされるのが、AI対応インフラへの投資、AIを中心にしたチームの育成、AI戦略とビジネス目標の一致、そして意思決定およびAI導入による長期的な成功を促進するための確固としたデータ ガバナンスの導入です。
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さまざまな課題克服における社外のAIの専門知識への高い依存:現在APAC地域の企業は、AI導入の成功における主な障壁として人材不足、データ プライバシーに関する懸念、統合の複雑さを挙げています。APAC地域では多くの企業(60%)がAIアプリケーションの開発を社外の開発者に依存しています。社内でAIを開発している企業はわずか30%で、市販のAIソリューションを利用している企業は約10%となっています。AIの導入を成功させている企業は、AIのロードマップや堅牢で拡張性の高いインフラ、専門家による実装の支援、従業員のトレーニングなどにテクノロジー パートナーを活用して社内のスキルギャップを埋め、AIの展開を加速させています。包括的で適応性や拡張性に優れたソリューションを提供できるベンダーは、ビジネス ニーズの変化に対応する上で優位な位置付けにあると言えます。
銀行および金融サービス、製造、エネルギー、医療、小売など、業界別の調査結果:
APAC地域では幅広い業界企業がAI、生成AI、MLによって変革を遂げつつあり、AI主導の戦略を採用して業務効率を高め、顧客体験を強化し、イノベーションを推進しています。同地域における生成AIのユースケースは急速に増えており、2024年に10件以上の生成AIのユースケースを展開しているAPAC地域の企業は87.4%に上り、25.6%が2025年には生成AIのユースケースが100件を超えると回答しています。これらのユースケースはIT運用、マーケティング、サプライチェーン マネジメント(SCM)、人事管理(HR)など多くの業務分野にわたり、ビジネス リーダーは重要な意思決定者となっています。
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銀行および金融サービス:APAC地域では銀行および金融サービス業界がAIと生成AIの導入をリードしており、すでにAIを活用している組織は84%、生成AIを展開している組織は67%となっています。また、この業界のプロフェッショナルの72%が、生成AIは今後18カ月で銀行および金融サービス業界を変革すると考えています。主なユースケースには、不正検知、マネーロンダリング対策、業務効率の向上などがあります。金融サービス業界のAIおよび生成AI支出は2023年から2028年にかけて25~31%の年平均成長率(CAGR)で推移すると見込まれており、各組織は顧客サービスから人事採用、調達、法令遵守まで、複数の部門にAIイニチアチブを広げています。47.8%の銀行は、柔軟性の観点からエンタープライズAIプラットフォームを基盤に、既存の生成AIモデルを微調整するAIソリューションを構築することを選択する傾向にありますが、セキュリティー、データ管理、インフラストラクチャーには専門家のサポートが不可欠です。
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製造:APAC地域では製造業の78%がAIを、54%が生成AIを導入しており、サプライチェーンの最適化、予知保全、品質管理に活用しています。導入企業は、AIを活用した需要予測とリアルタイムの製造モニタリングによって、ダウンタイムの削減、廃棄物の最小化、運用精度の向上を実現しています。製造業の49%がAIソリューションを構築することを好み、製造実行システム(MES)、サプライチェーンの統合、人材のスキルアップといった分野の専門知識を求めています。製造業の52%は、生成AIが今後18カ月で製造業界を変革し、製造の自動化、予測的リード スコアリング、デジタルツイン モデルが加速され、スマート マニュファクチャリングおよびアジャイルで高精度な生産ラインが前進すると考えています。
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エネルギー:APAC地域のエネルギー業界では83%がAIを、73%が生成AIを導入してグリッドの最適化、予知保全、エネルギー供給を強化しており、効率性の向上とダウンタイムの削減を実現しています。エネルギー企業の42%はモデルを微調整しており、エンタープライズ データを活用してスマートグリッドとエネルギー プラットフォームの質を高めています。不足しているスキルやインフラを補うために社外のベンダーを利用しているエネルギー企業は多く、データ管理と人材のスキルアップに対する専門的なサポートを必要としています。APAC地域のエネルギー企業の54%が、生成AIによって今後18カ月のうちに自社のビジネス モデルが変革されるだろうと回答しています。エネルギー業界で多く見られるユースケースには、販売支援、サイバー セキュリティー、リスク管理の強化、デジタルツイン モデルなどがあります。また、AIインフラへの投資と責任あるAIプラクティスに高い優先度が置かれ、グローバル企業はAPAC地域にAIハブを構築することで、グリッド管理のイノベーションを推進するとともに、よりクリーンなエネルギーへの移行を加速させています。
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医療:APAC地域の医療業界では86%の企業がAIを、59%が生成AIを導入しており、診断精度、予測分析、患者に合わせてパーソナライズした治療計画の向上に活用しています。例えば、リアルタイムの患者モニタリングや需要予測といったAI主導のユースケースでは、ワークフローが簡素化され、ミスが減り、患者ケアが改善しています。医療機関の58.2%が、診断などの専門的なニーズに合わせてカスタマイズしたAIソリューションを構築することを好み、AIのスキルギャップや規制へのコンプライアンスといった複雑な部分の対処は、社外のベンダーを活用しています。医療機関の67%が、生成AIによって今後18カ月のうちに自社のビジネス モデルが変革されるだろうと回答しています。AIへの投資は増加することが見込まれており、特に卓越した臨床環境づくり、業務の効率化、財務の最適化への投資が増え、患者ケアおよび治療計画の革新的な転換が可能になるでしょう。
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小売:APAC地域の小売業界では業界再編が進んでおり、82%がAIを、63%が生成AIを活用しているとともに、AIエージェントと生成AIエージェントへの投資が増えています。 AIエージェントは昨今の小売ビジネスに不可欠な要素となっており、顧客に合わせてパーソナライズした提案、予測的在庫計画、ダイナミックな価格設定戦略の基盤になっています。小売業界の企業の42%が、生成AIによって今後18カ月のうちに自社のビジネス モデルが変革されるだろうと回答しています。他にも、小売業界の主なユースケースには、デジタル コマースおよび強化された不正行為分析があります。AIソリューションを構築する小売業は43.3%と増加していますが、データの準備や人材の確保といった課題に直面しています。これらの課題に対応するため、小売企業は顧客体験と業務効率の向上を目的に、社内におけるAI能力の強化に注力しています。一方で、AIのスキルギャップを埋めるために社外のベンダーも活用しており、特にデータ セキュリティーとシステム統合のタスクではこの傾向が顕著です。
Dell TechnologiesのAPJC地域、インフラストラクチャー ソリューションズ グループ(ISG)スペシャルティ セールス担当シニア バイスプレジデント、クリス ケリー(Chris Kelly)は、次のように述べています。「アジア太平洋地域には、AIの導入とイノベーションをリードしていく大きな可能性を秘めています。今こそ、企業がPoC(概念実証)から脱却し、測定可能なROI(投資利益率)の達成に注力すべきです。一貫したROIを実現する道のりは複雑で、戦略、ユースケース開発、データ準備、ガバナンス、最適化、AI実装のスケーリングなど、あらゆる段階にわたる包括的なサポートが必要です。テクノロジー パートナーからの支援があれば、企業はAI導入の課題を克服し、インパクトのある、結果を重視したAI成果の実現を加速することができます」。
調査方法
Dell TechnologiesおよびNVIDIAの委託によるIDCの調査資料『Creating Your AI Implementation Blueprint』(IDC #AP242506IB、2025年1月)の調査結果は、IDCの複数のデータソースおよび2023年8月から2024年8月にかけてAPAC地域の各業界からの最大919名の回答者を対象に実施された複数の調査に基づいています。本調査では、AI、生成AI、MLの導入動向と諸課題、また導入に対する戦略的アプローチを評価しています。
ダウンロード
IDC社の調査資料『Creating Your AI Implementation Blueprint』の完全版は、以下よりダウンロードできます。https://www.delltechnologies.com/asset/ja-jp/solutions/business-solutions/industry-market/apj-idc-ai-for-enterprise-infobrief-master.pdf
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■デル・テクノロジーズについて
デル・テクノロジーズ(NYSE:DELL)は、企業や人々がデジタルの未来を築き、仕事や生活の仕方を変革することを支援します。同社は、AI時代に向けて、業界で最も包括的かつ革新的なテクノロジーとサービスのポートフォリオをお客様に提供しています。
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