河出書房新社
トランプ再選と暴走を予言、”現実よりヤバい” 世界が震撼した〈読むカルト映画〉 ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど海外主要メディアが多数絶賛!

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、チャーリー・カウフマン著、木原善彦訳の長編小説『アントカインド』(税込定価15,400円)を、2025年8月27日に発売いたします。
製作期間90年・上映時間90日「究極の映画」の謎をめぐり、記憶の深淵へ……
奇想天外で危険な〈読むカルト映画〉!
『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』などで知られる
アカデミー賞天才作家・カウフマンの初小説が、ついに日本上陸。
■翻訳者・木原善彦による「あとがき」を本日より特別公開!
(前略)
そんな彼がついに”小説”を書いたということで大きな話題になったのがこの『アントカインド(Antkind)』である。「アントカインド」という語は作中で二度だけ用いられている。この語は英語圏最大の辞書にも載っていないが、基本的には「アリ」を意味するant と「人類」を意味するmankind(humankind)との合成語で、意味はおおよそ「アリの仲間、アリ類」と考えてよい。日本語にも、あまり日常的には用いられないけれども、「しもじも、人民」をアリにたとえた「蟻民」という語が存在するようなので、そうした愚民的存在を思い描いてもよさそうに思う(古風に見える漢字熟語はややカウフマンのイメージにそぐわないので、邦題には用いなかったけれども)。
『アントカインド』は原著のページ数にして七百二十ページと非常に長い作品だが、全体が九十章でできていることにも意味がある。作中に登場する映画が上映に三か月(九十日)を要する長大な作品であることを踏まえているからだ。火事で失われたその映画の内容を思い出そうとするところから始まる物語だが、途中から主人公の偽物が登場するなどして話が分岐するので、全体としてはひとつのストーリーラインを追う物語というより、全九十挿話から成る連続コメディーという雰囲気であり、そのように読むのがふさわしいのではないだろうか。
(後略)
➜「あとがき」全文はこちら!
木原 善彦 Yoshihiko Kihara

1967年生まれ。京都大学大学院修了。大阪大学大学院人文学研究科教授。
著書に『アイロニーはなぜ伝わるのか?』『実験する小説たち 物語るとは別の仕方で』『UFOとポストモダン』『ピンチョンの『逆光』を読む 空間と時間、光と闇』など。
訳書に、ウィリアム・ギャディス『JR』『カーペンターズ・ゴシック』、リチャード・パワーズ『幸福の遺伝子』『オルフェオ』『オーバーストーリー』『惑う星』、アリ・スミス『両方になる』『秋』『冬』『春』『夏』、デイヴィッド・マークソン『ウィトゲンシュタインの愛人』『これは小説ではない』、トマス・ピンチョン『逆光』、オーシャン・ヴォン『地上で僕らはつかの間きらめく』、ジョン・ケネディ・トゥール『愚か者同盟』、ベン・ラーナー『10:04』、ハリ・クンズル『民のいない神』、J・G・バラード『J・G・バラードの千年王国ユーザーズガイド』、ジャネット・ウィンターソン『フランキスシュタイン』、セバスチャン・バリー『終わりのない日々』、エヴァン・ダーラ『失われたスクラップブック』、レイラ・ララミ『ムーア人による報告』、パーシヴァル・エヴァレット『ジェイムズ』など。
2018年に『JR』(国書刊行会)で、第5回日本翻訳大賞および第55回日本翻訳出版文化賞をW受賞。2025年、『失われたスクラップブック』(幻戯書房)で、第11回日本翻訳大賞を2度目の受賞。同賞において、同一訳者の2度受賞は初の快挙となる。
■トランプ再選と暴走を「予言」した小説!? 各紙誌が高評価、初小説にして文学賞にもノミネート!
2024年7月、ペンシルベニア州を遊説中の共和党のドナルド・トランプ大統領候補の暗殺未遂事件が発生。AP通信社カメラマンのエヴァン・ブッチが撮影した、耳を負傷しながらも右腕を高く振り上げるトランプの写真と共に、世界に衝撃が走りました。
その後、暗殺未遂事件を乗り越えたトランプは、民主党の大統領候補カマラ・ハリスとの対決の末、2025年1月、大統領再任を果たします。
トランプは多くの人々の支持を集める一方、就任早々から無茶な大統領令を連発。
関税を大幅に引き上げる政策を開始し、国際株式市場は驚異的な暴落を記録。
一連の暴走により生じた「トランプ・ショック」は、世界中に大混乱を与え続け、まさに日本でも今、関税交渉の攻防で瀬戸際に立たされています。
本作『アントカインド』の原書は、トランプがバイデンと大統領選を争っていた2020年に刊行されたものですが、驚くべきことに、その5年後、2025年現在起きているトランプの復活と暴走を、あたかも「予言」するような内容を含んでいます。
➜ あらすじ、海外メディアのレビュー詳細はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000915.000012754.html
■フランシス・F・コッポラ絶賛、佐藤究、ふかわりょう、山崎まどか推薦!!
『アントカインド』日本語版刊行にあたり、豪華推薦者陣からコメントをお寄せいただきました!
異常な映画愛と懐かしきポストモダンの饒舌思考で、アメリカ合衆国の〈今〉を走査(スキャン)する。奇妙かつ壮大な旅。
――佐藤究(作家)
やりやがったな、カウフマン! 超絶クレイジーで最高にクール!! 押し寄せる不条理の洪水に脳がバグって昇天寸前!! これ、世に出したらまずくない?!
――ふかわりょう(タレント)
人が世に生きることの惨めさ切なさ情けなさ。そして映画という芸術に対する愛以上の強い感情。それをこんな奇想天外な物語にするなんて、チャーリー・カウフマンにしかできない。物語の情報量もギャグも彼の映画以上の圧縮バージョン!
――山崎まどか(コラムニスト)
さらに、映画『地獄の黙示録』『ゴッドファーザー』などで知られる巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督も、自身のInstagramで本書を大絶賛!
人生観を変えてくれる、ユニークで大胆な傑作。”人生”に対して幻想と矛盾を抱える、すべての迷える人におすすめしたい。
――フランシス・フォード・コッポラ(映画監督)
➜ふかわりょうさんインタビュー記事はこちら
「ふかわりょうが語るカウフマンと『アントカインド』ーー不条理の洪水に飛び込み、想像力の彼方へ」
https://realsound.jp/book/2025/08/post-2133887.html
■圧巻の豪華造本!
虚構と現実のあわいが溶融し、映画をめぐる謎、記憶という神秘の深淵へ――。本作の奇想天外なエッセンスを、日本を代表するブックデザイナーの川名潤さんが、書籍という形態に凝縮。
本体は、豊かな手触りと深みのある黒色の皮革調クロスに、こだわりを最優先した、限界突破の全面押しレインボー箔。UV多色刷透明函に収納し、函の透明部分から本体箔が透過する「仕掛け」を施しました。


至高の豪華造本を実現した、紙の本でしか到達できないプレミアムエディション。
特別仕様のため重版が容易ではなく、品切の際は入手困難となることが予想されます。書店でお早めにご予約し、確実に入手されることをおすすめします。
■作家 チャーリー・カウフマン Charlie Kaufman

1958年、アメリカ合衆国生まれ。脚本家・映画プロデューサー・映画監督。奇想天外で独創的なストーリー展開で知られ、しばしば「鬼才・奇才・天才」と冠される。
1990年代にテレビのコメディ・シリーズの脚本を執筆。2000年公開のスパイク・ジョーンズ監督の長編映画『マルコヴィッチの穴』脚本を務め、英国アカデミー賞脚本賞などを受賞。アカデミー脚本賞にもノミネートされ、一躍世界に知られるようになった。2004年公開の『エターナル・サンシャイン』で、ミシェル・ゴンドリーとピエール・ビスマスと共にアカデミー脚本賞を受賞した。2008年には『脳内ニューヨーク』で映画監督デビュー。『アノマリサ』(2015)、『もう終わりにしよう』(2020)で監督・脚本、『アダプテーション』(2002)『オリオンと暗闇』(2024)で脚本を担当し、いずれも高い評価を得る。
現在、米アマゾン・スタジオが手がける小川洋子原作『密やかな結晶』映画版の制作に、リード・モラーノ監督とタッグを組み、脚本家として参加している。
影響を受けた作家としてカウフマンがしばしば挙げているのは、フランツ・カフカ、サミュエル・ベケット、ウジェーヌ・イヨネスコ、スタニスワフ・レム、P・K・ディック、パトリシア・ハイスミス、デヴィッド・リンチ、ウッディ・アレン、コーエン兄弟など。本作『アントカインド』にも、その影響が色濃く見られる。
■新刊情報
書名:アントカインド
著者:チャーリー・カウフマン
訳者:木原善彦
装丁:川名潤
仕様:A5判/上製/レインボー箔押しクロス装/特装函入り/640頁
税込定価:15,400円(本体価格14,000円)
発売日:2025年8月27日
ISBN:978-4-309-03980-0
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039800/

