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和泉市久保惣記念美術館「特別展 Over The Waves —南蛮・万博・ジャポニスム—」

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一般財団法人和泉市文化振興財団

 大阪・関西万博の開催を記念して、「東西文化交流」のテーマのもと、日本がはじめて参加した1867年開催の第2回パリ万博などにも焦点を当て、日本とヨーロッパがどのように影響を及ぼしあっていたかを16世紀から20世紀にかけての美術作品や関連資料約120点でご覧いただく展覧会です。(会期中展示替があります)

 16世紀後半から17世紀の西洋の文化を取り入れた南蛮文化の時代、そして江戸時代の鎖国の中での西洋文化への好奇心と探究心の時代において制作された絵画や工芸を展示いたします。

 そして、開国後の第2回パリ万博に出品した葛飾北斎の「北斎漫画」など浮世絵版画が海外の芸術家から注目を浴びることになります。モネやロートレックが日本に憧れを抱き、ジャポニスムが文化芸術のムーブメントとなった時代。その息吹を感じていただける浮世絵版画、明治の工芸品、印象派絵画などをご覧いただきます。新館は主に万博関連作品、ジャポニスムを展示し、本館では南蛮美術を中心に展示します。新館から時代を遡る見方、本館から時代の変遷を感じていただく見方どちらからでもお楽しみいただけます。


「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」葛飾北斎筆       和泉市久保惣記念美術館蔵(全期間展示)

 「冨嶽三十六景」は天保2年(1831)ころ、北斎七十代初めの制作と考えられます。「神奈川沖浪裏」は、遠近の強調や海上の動と天空の静の対比によって、高波の遠方に配された小さな冨士に視線が集中し、かえって際立って見える効果を生んでいます。

 ジャポニスムの波が広がるヨーロッパで、西洋の芸術家たちに大きな影響を与えました。モネやドガらは、北斎の大胆な構図や色彩、自然との調和に深い感銘を受け、自らの作品に取り入れていきました。

目次

主な展示作品

・重要文化財 チュニス戦闘図・世界地図屏風 香雪美術館蔵

・重要文化財 洋人奏楽図屏風 MOA美術館蔵

・花鳥蒔絵螺鈿洋櫃 堺市博物館蔵

・富士・藤・孔雀図大花瓶 藪明山 大阪歴史博物館蔵

・七宝花蝶文瓶 並河靖之 東京国立博物館蔵

・1867年万国博覧会図解(L’Exposition universelle de 1867 illustrée) 龍谷大学図書館蔵

・ヴァランジュヴィルの風景 クロード・モネ ポーラ美術館蔵

・踊り子 エドガー・ドガ 和泉市久保惣記念美術館蔵

展覧会の見どころ

【南蛮】(本館展示)

 ポルトガル人が大隅国の種子島(現在の鹿児島県)に上陸したのは天文12年(1543)のことでした。日本人とは異なる外見のため当時の日本人たちは上陸した異国人を南蛮人と呼びました。南蛮人たちが伝えた技術や文化は南蛮文化として知られています。そのような文化を伝える美術品を南蛮美術と呼びます。

「南蛮屏風(部分)」東京国立博物館蔵(後期展示)    Image:TNM Image Archives

 東京国立博物館が所蔵する「南蛮屏風」は南蛮人が船に乗る場面を左隻、到着の様子を右隻に描いています。異国の品々を運んでくる南蛮船は宝船のように思われたことでしょう。

 西洋における日本の存在はマルコ・ポーロの『東方見聞録』で「カタイ(中国)の東の海上1,500マイルに浮かぶ独立した島国」と記されたことから知られます。これが13世紀末のことで以降西洋ではマルティン・ベハイムが製作した地球儀などに中国の東に一つの島が描かれるようになります。

「日本島図」ボルドーネ 和泉市久保惣記念美術館蔵(全期間展示)

 一枚の地図として初めて描かれたのは地図製作者のベネディット・ボルドーネが1528年にヴェネツィアで刊行した地図帳『世界島嶼誌(せかいとうしょし) 』の「日本島図」でした。島の左下方には都を示すと思われる西洋風の城が描かれ、その上にCiampaguと表記されています。

「天正遣欧使節肖像画」京都大学附属図書館蔵(前期展示)

 日本から世界へ飛び出した人々もいました。京都大学附属図書館が所蔵する「天正遣欧使節肖像画(Newe Zeyttung auss der Insel Japonien)」は、1582年イタリアへ派遣された4名の少年たちを描いた印刷物です。Newe Zeyttung auss der Insel Japonienは「日本島からのニュース」という意味です。

                       

「世界地図帳(世界劇場)アブラハム・オルテリウス 和泉市久保惣記念美術館蔵(全期間展示)

日本からローマに渡った天正遣欧使節団が持ち帰って豊臣秀吉に献上したオルテリウスの世界地図帳もあわせて展示しています。 

 南蛮人の到来からキリスト教が禁教とされるまでの短い期間に西洋風のモチーフを添えた漆器が作られました。現在では南蛮漆器と呼ばれる作品です。「花鳥蒔絵螺鈿洋櫃」(堺市博物館、前期展示)などの洋櫃と呼ばれる宝箱のような形をした南蛮漆器が多く制作されました。

 江戸時代は鎖国政策がとられていましたが外国との交流が無かったわけではありません。長崎にはオランダ人と中国人が暮らす出島が設けられ異国人が身近に存在していました。「阿蘭陀人之図」(和泉市久保惣記念美術館、全期間展示)など両国の人々を描く浮世絵が長崎で制作されています。寛永10年(1633)からは年1回(後に4年に1回)出島の商館長が江戸を訪れていたので、江戸の人々も異国人を見る機会があったのです。 

「鷺図」小野田直武筆 個人蔵(全期間展示)

 西洋の画法を取り入れた絵画作品も制作されています。特に久保田藩(秋田藩)の藩主や藩士たちが盛んに制作したことから秋田蘭画と呼ばれる「鷲図」などのような作品群があります。素材は日本絵画の素材を用いながら陰影を設けたり、遠景が霞むように描く空気遠近法を用いて描かれています。

【万博】(新館展示)

 幕末の混乱期を経て明治時代になると日本は積極的な開国政策をとり海外の技術や文化を熱心に取り込みはじめます。また日本の技術を世界に紹介するため万国博覧会に参加しました。

「1867年万国博覧会図解(L’Exposition universelle de 1867 illustrée)」龍谷大学図書館蔵(全期間展示)

 1867年第2回パリ万博には幕府、薩摩藩、佐賀藩が参加しました。幕府は浮世絵の版元に浮世絵の制作と既にある浮世絵や版本の提出を命じます。日本国内を紹介するため名所図会なども提供されました。1867年の第2回パリ万博参加の後、明治政府として正式に参加した1873年のウィーン万博など日本は万博に積極的に参加していきます。

「古今珎物集覧」東京国立博物館蔵(後期展示)      Image:TNM Image Archives

 「古今珎物集覧」は1872年に湯島の大聖堂で開催された展覧会を描いた作品で、ここでの出陳品の中には金の鯱鉾など1873年のウィーン万博へ出陳されたものもありました。

「色絵金襴手花卉文大瓶」十二代沈壽官 東京国立博物館蔵 (全期間展示)Image:TNM Image Archives

 また、ヨーロッパ、アメリカで開催された万博には日本から様ざまな工芸品が出品されました。金の鯱鉾のような江戸時代に作られたものとともに明治時代に作られた陶磁器、七宝、漆器、染織品、竹細工、紙製品などが日本館を飾りました。「色絵金襴手花卉文大瓶」のような豪華な絵付けの薩摩焼、緻密な文様が表された七宝、金蒔絵の漆器など技巧を駆使した作品は現地で人気を呼びました。

【ジャポニスム】(新館展示)

 18世紀には中国の文化が注目されヨーロッパでシノワズリーが流行しました。東アジアへの注目度が高まったことから日本の文化も注目されるに至るのは必然的な流れであったかもしれません。『北斎漫画』(和泉市久保惣記念美術館、全期間展示)が陶磁器の輸出の際に梱包の仕切りとして用いられていたと考えられることから、ヨーロッパの人々の目に触れたことは確かといえます。

「ヴァランジュヴィルの風景」クロード・モネ       ポーラ美術館蔵(全期間展示)

 浮世絵を好み収集したヨーロッパの画家たちもいました。中には自作に浮世絵の模写を入れたり、構図を転用したりすることもありました。ゴッホが歌川広重の晩年の大作「名所江戸百景」を模写していることはよく知られています。モネは葛飾北斎の「冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷」(和泉市久保惣記念美術館、全期間展示)から木立が立ち並ぶ構図を転用したと思われる作品を制作しました。その影響を見ることのできる「ヴァランジュヴィルの風景」は、1882年にモネがノルマンディーの英仏海峡に面した海辺の避暑地プールヴィルとその西隣に位置するヴァランジュヴィルの周辺に2度滞在した際に制作されました。ヴァランジュヴィルの低地の前に生える木々を手前に描き断崖をその奥に望む構図となっています。

 「パリ・イリュストレ46-47号」(関西学院大学図書館、全期間展示)では日本特集が組まれ、表紙は渓斎英泉の「雲龍打掛の花魁」(和泉市久保惣記念美術館)が用いられています。本作はゴッホが模写していることでも知られる作品です。

 このほか、ドガ、ロートレックの作品など日本美術の影響を見ることのできる作品を出陳いたします。南蛮美術の時代からジャポニスムの時代まで、時代を彩った作品をご鑑賞ください。


開催概要

[展覧会名]特別展 Over The Waves —南蛮・万博・ジャポニスム—

[会場・会期]和泉市久保惣記念美術館:2025年9月7日(日)〜11月3日(月・祝)

[休館日]月曜日(ただし9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館し、

         9月16日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)は休館)

[開館時間]午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)

[入館料]一般1,000円 高・大生800円 中学生以下無料

※団体(有料入館20名以上)、65歳以上は2割引

※各種障がい者手帳等を提示された場合、本人と介助者1名無料

※美術館の入館料、図録・グッズの支払いに、現金決済に加えてクレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス決済手続きが可能です

プレス内覧会開催のご案内

 和泉市久保惣記念美術館では、大阪・関西万博の開催記念、特別展「Over The Waves ―南蛮・万博・ジャポニスム―」開催に先がけ、プレスの皆様向けの内覧会を開催いたします。

[日  時] 2025年9月6日(土) 14:00~15:30

[会  場] 和泉市久保惣記念美術館

[集合場所] 美術館正面入口

[内  容] 受付 13:45~

       説明 14:00~ <展覧会概要説明>担当学芸員による解説を行います。

       観覧 14:45~ 15:30まで自由観覧

※事前申込不要です。受付開始時間までにお名刺をお持ちください。

イベント情報

展示解説

9月27日(土)、10月19日(日)

いずれも午後1時より、学芸員による展示解説を展示室で行います。聴講無料。(ただし美術館入館料が必要です。)

講演会「北斎漫画とジャポニスム」

9月20日(土)午後2時(開場は午後1時30分)

浦上満氏(浦上蒼穹堂代表取締役)

なお、20日(土)、21日(日)、23日(火・祝)を久保惣ミュージアムウィーク期間として、期間限定で新館ラウンジ奥にRed Stone Coffeeと、Eiホール前ではこだわりのキッチンカーが出店予定です。

ミュージアムコンサート

[開場]午後1時30分 [開演]午後2時(全日共通)

[開催日]9月7日(日)、13日(土)、14日(日)、15日(月・祝)、21日(日)23日(火・祝)、28日(日)、10月4日(土)、5日(日)、13日(月・祝)、18日(土)、25日(土)、11月1日(土)、2日(日)、3日(月・祝)

Ei 愛チャリティーコンサート「生命を謳う Part.IX ~思いをつなぐ 世界をむすぶ~」

10月26日(日) [開場] 午後1時30分 [開演] 午後2時

いずみ万博

10月25日(土) [開会]午前10時  [閉会]午後7時

会場 桃山学院大学

大阪・関西万博の開催を契機に「私たちが考える和泉市の未来社会」について、伝統文化・テクノロジー・コミュニティの観点から市内の有数な企業・団体など40社以上が一同に集まり「いずみ万博」を開催

主催 いずみ万博実行委員会

※上記イベントのうち、講演会、コンサートはいずれも久保惣Eiホール(音楽ホール)で行い、美術館に入館された方はご自由にお聴きいただけます。当日美術館入口で午後1時30分より入館レシートご提示の方に配付する整理券が必要です。なお、先着120名で入場制限を行います。全席自由席。内容については美術館までお問い合わせください。

※上記イベントの内容は、予告なく変更する場合があります。

交通案内

●電車の場合

南海泉北線「和泉中央」駅下車、南海バス①「美術館前」行乗り場より乗車、バス停「美術館前」下車すぐ

●車の場合

阪和自動車道「岸和田・和泉」インターより約3分(無料駐車場有)


お問い合せ先

和泉市久保惣記念美術館

〒594−1156 大阪府和泉市内田町3−6−12

TEL:0725−54−0001 

HP:https://www.ikm-art.jp

※休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始・陳列替期間

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出典:PR TIMES

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