株式会社ミンテルジャパン
~リアル×デジタル融合で広がる新たなビジネス機会~
市場調査会社Mintel Groupの日本法人であるミンテルジャパン(東京都千代田区)が発表した「キャラクター等とのコラボレーション(IPビジネス) – 日本 – 2025年」では、世界3600億ドル(約54兆円、1ドル=150円換算)規模のライセンス市場において、消費者のIPコラボ商品に対する購買行動に変化が生じていることが明らかになりました。
※ミンテル:ロンドン本社を含め14か国にオフィスを構え、美容やライフスタイル、食品・飲料分野における消費者調査に強みを持つ市場調査会社。2021年より日本市場向けにミンテルジャパンレポートを発刊。

アメリカでは、Z世代・ミレニアル世代の半数が「旧作キャラを最新技術で再現し、新エピソードなどで復活させてほしい」と熱望しており、過去のIPを活用した新しいニーズが浮上しています。
一方日本では、国内コンテンツ市場が12兆円規模と緩やかに成長する中、政府が日本のアニメやゲームなどのIPを海外に売り込む「クールジャパン戦略」を強化し、2033年までに50兆円の経済効果を目指しています。
日本の消費者調査では、IPコラボ商品の購入理由として「応援したいキャラクター」といった従来のファン心理を超えて、「デザインや見た目」「商品そのものを気に入っている」など、商品の品質やデザイン性を重視する声が大きいことが判明しました。また、消費者は「異なる分野の企業によるコラボ商品」など意外性のある組み合わせにも興味を示しており、従来のキャラクターコラボとは異なる斬新なパートナーシップへの潜在需要も明らかになっています。
こうした中、バービー×Forever 21がRoblox上でバーチャルファッションを展開するように、現実世界(フィジカル)とデジタル世界を融合させた「フィジタル」展開が注目を集めており、従来の物理商品中心から新たなビジネス機会創出への期待が高まっています。

※本リリースの調査結果をご利用いただく際には、必ず【ミンテルジャパンレポート「キャラクター等とのコラボレーション(IPビジネス) – 日本 – 2025年」より】とご明記ください。
ミンテルジャパンレポートについて詳しくはこちら:https://www.mintel.com/jp/jr-Aug-2025-2
IP市場は世界規模で拡大を継続
アメリカのZ世代の5割以上が旧作IPに最新技術を掛け合わせた新作誕生を熱望
キャラクターなどのIPに関する市場は、経済の不確実性が高まる中でも、世界規模で拡大を継続しています。ライセンス関連の業界団体である Licensing Internationalによると、2024年のライセンス関連の世界全体での売上規模はおよそ3,696億ドル(約54兆円、1ドル=150円で換算)に達すると推計しています。
また、「ソニック × シャドウ ジェネレーションズ」のように、日本発のIPは世界で確固たる地位を築いています。TITLEMAX(アメリカ)による、キャラクターごとの総収益ランキングを見ると、トップにポケモン(約921億ドル)、ハローキティ(約800億ドル)が位置しています。その他、上位10位にはアンパンマン、スーパーマリオ、週刊少年ジャンプがランクインしました。ポケモンとハローキティは、ミッキーマウスやスター・ウォーズなどの世界的キャラクターを抑えてのランクインとなり、世界での日本発IPは大きな存在感を示しています。

出典: TITLEMAX “The 25 Highest-Grossing Media Franchises of All Time”
参考:内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局-基礎資料(10月25日の第23回新しい資本主義実現会議の基礎資料の再編・改訂・追加版)-キャラクターの累積収入の世界ランキング
ハリウッドやコミック作品、スポーツなどの自国文化が世界に広く普及しているアメリカでは、何らかのファンと自身を認識する消費者が多数派を占めています。中でも特に回答が多いのは、映画やテレビ関連のファンで、回答者全体の67%を占めています。
世代別に見ると、映画や音楽関連のファンは幅広い世代にわたっていますが、ゲーム関連のファンについては、Z世代およびミレニアル世代の回答が多い結果となりました。

調査対象: 米国:18歳以上のインターネットユーザー2,000人
毎日のように新しいコンテンツが誕生していますが、過去に蓄積されてきたコンテンツが秘める可能性についても注目すべきでしょう。実際、世界のIPランキングの上位にランクインするのは、既に登場してからかなりの年月が経っているものが多くなっています。
最新作のフォローに余念がないと思われがちな若年層ですが、過去の作品に寄せる期待も大きいようです。
アメリカの場合、「旧作キャラを最新技術で再現し、新エピソードなどで復活させてほしい」に対する「そう思う」の回答は、ミレニアル世代やZ世代で50%を超えています。
この回答からは、単なる過去作品のアップデートや再生ではなく、過去の作品をベースにしながら最新技術や新しい要素を取り入れて新作を作ってほしいという意向が読み取れます。

調査対象: 米国:18歳以上のインターネットユーザー2,000人
国内コンテンツ市場12兆円の緩やかな成長に対し
政府は2033年50兆円目標でIP海外展開を本格強化
国内コンテンツ市場は緩やかに成長しており、総務省「情報通信白書」では、2022年時点の「コン
テンツ市場」の規模を約12兆円と推定しています。
このうち、動画やゲーム、テレビなどの「映像系ソフト」が約7兆円と6割近くに達しています。その他、雑誌や記事(オンラインおよびオフライン)、コミックなどの「テキスト系ソフト」が約4兆円、ラジオや音楽などの「音声系ソフト」が0.9兆円となっています。
つまり、2013年の市場規模と比較すると、映像系ソフトが堅調に増加し、市場拡大のけん引役となっています。

出典: 総務省「情報通信白書」(令和元年-6年)
このような国内市場の成長を背景に、内閣府が推進する日本のソフトパワー戦略である「クールジャパン戦略」は、観光や日本食などの他に、日本産のアニメやゲームなどのIP関連の海外進出も後押ししています。
一方、インテリジェンス機能の欠如、コンテンツの限定的な海外展開、クリエイターの環境整備など課題が浮かび上がり、これらの課題を解決するために2024年にクールジャパン戦略を刷新しました。
今後の主な取り組みの一つとしてコンテンツの海外展開が挙げられ、コンテンツ関連事業を基幹産業として位置づけ、デジタルアーカイブや海外の大手プラットフォームとの関係構築などを目指しています。
その他、人材育成や官民一体の海賊版対策にも取り組む計画です。これらの取り組みを通じ、2033年までに50兆円以上の経済効果を見込んでいます。
出典: 内閣府「新たなクールジャパン戦略」
【IPコラボ成功の新法則】「キャラ愛」だけでは売れない時代
リアル×デジタルの「フィジタル」展開でビジネス機会が拡大
日本の消費者全体で見ると、IPとコラボした商品を購入した消費者は少数派と言わざるを得ない状況です。
過去6か月の購入に関しては、「購入したことがない」の回答が69%に達しており、他の選択肢に大差をつけています。それ以外の回答では、飲料(アルコール飲料以外)が最も高く、その次に衣類・アクセサリー、日用品などが続いています。全体数としては多くないものの、普段から手に取りやすい商品を購入する消費者が多いことが読み取れます。

調査対象: 日本:18歳以上インターネットユーザー2,000人
購入経験者にIPコラボ商品を購入する理由を尋ねると、「応援したいキャラクターやアーティスト」が最多の回答となり、ファンの支持が購入の原動力となっています。また、「デザインや見た目」、「商品そのものを気に入っている」との回答も多く、単純にIPだから購入するというよりも、商品としての魅力を評価する声も大きくなっています。話題性や希少性などを追求するよりも、質をおろそかにしない商品開発が不可欠といえます。

調査対象: 日本:18歳以上インターネットユーザー2,000人
IPとのコラボ商品に関する新しい取り組みについて尋ねると、消費者の多くが関心を示していない中で、コラボ対象となるブランドを選択できることや、異なる分野の企業によるコラボ商品に対する関心が比較的高くなっています。
一般的な有名キャラクターなどのIPとのコラボ商品が飽和状態となる中で、斬新な組み合わせに潜在的なニーズがあるかもしれません。

調査対象: 日本:18歳以上インターネットユーザー2,000人
さらに、過去6か月で購入したことがあるIPとコラボした商品・サービスを商品のタイプごとに見ると、男性の場合は、年齢を問わず飲料が多くなっています。
また、若年層ほど様々なタイプの商品を購入しています。特に他の年齢層に比べて購入経験が多いのは、エンタメや旅行などで、「コト消費」に意欲的な様子が見られます。

調査対象: 日本:18歳以上インターネットユーザー2,000人
ビジネスチャンス
IPコラボの購入経験が多い若年層はリアル感に対して高い期待を寄せる
映像技術やヘッドセットやゴーグルなどの関連機器が性能を向上させる中、ゲームやエンターテインメントの分野で多くの消費者が注目しているものの一つが、リアリティを高めた映像や、コンテンツの世界観を体験できる試みです。
特に、新しいテクノロジーの利用に積極的な若年層は、今後の展開に期待しています。イギリスでは、Z世代の消費者の48%が、将来的にはAR(拡張現実)グラスの利用が当たり前になると回答しています。
アメリカの消費者も同様の認識を示しており、同国のZ世代およびミレニアル世代の77%が、「買い物中に商品情報を調べるのにARグラスを使いたい」と回答しています。
つまり、新しいテクノロジーの利用に前向きな消費者が、今後社会での存在感を高めるにつれ、映像や、リアリティが高い世界観を提案することは、企業が消費者との関係を構築する上で不可欠な要素となると言えます。
現実と仮想の世界をまたぐ各社の取り組み
「フィジタル」な限定アイテム
人形が世界的に知られているバービーは、Forever 21と協業し、ゲームプラットフォームのRoblox上でバーチャルファッション「ForeverBarbie」コレクションを展開しています。
現実の店舗やオンラインでも限定アイテムを販売し、Z世代を中心とする若年層に向けて、ブランドの世界観をリアルとバーチャルの両方(「フィジタル」)で発信しています。

■ミンテル ジャパンレポートについて
新製品開発のヒントになるグローバルトレンドと日本におけるその意味について理解を促し、日本市場における商機を探るレポートシリーズ。「美容・化粧品」、「ライフスタイル」、「食品・飲料」分野のレポートをサブスクリプション方式でご提供しています。グローバルと日本、双方の視点でトレンドを捉えることが可能です。
■市場調査会社ミンテルの強み
ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、 ミンテルグローバル消費者調査のデータや各国で独自に行う消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しており、「消費者が何をなぜ求めているかを探るエキスパート(Experts in what consumers want and why.)」をコーポレートスローガンとしています。
■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)
ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。
その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。
≪ご利用条件≫
情報の出典元として【ミンテルジャパンレポート『キャラクター等とのコラボレーション(IPビジネス) – 日本 – 2025年』より】の明記をお願いいたします。
■会社概要
企業名 :株式会社ミンテルジャパン
本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目4番1号
丸の内ビルディング18階
代表 :リチャード・カー
設立日 :2008年03月
事業概要 :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等
WEBサイト :https://japan.mintel.com/
