一般社団法人横河武蔵野スポーツクラブ
スポーツだけじゃない。「働く」彼女たちの、ちょっと意外な日常に触れるインタビュー記事第4弾。今回は左高裕佳選手の雇用先である関西オートメイション株式会社の代表取締役宮坂典央氏に話を伺った。
普段は一般企業に所属し、業務をこなす横河武蔵野アルテミ・スターズの選手たち。アスリート雇用という形で彼女たちを受け入れる企業側には、どのような想いや狙いがあるのか。
日本代表の候補メンバーにも選ばれた左高裕佳選手は、計測機器の製造・販売を行う関西オートメイション株式会社に勤務している。
同社の代表取締役である宮坂典央氏にアルテミ・スターズを支援する理由や、アスリートを雇用するメリットについて話を伺った。

――まずは事業内容をご紹介ください。
「わかりやすく言えば、ものを測る計量・計測という分野がございまして、レベル系、流量系という商品の製造と販売をしています。本社は大阪にあり、東京、九州、それから最近は仙台にも支店があります。各拠点を中心にお客様に商品とサービス、メンテナンスを提供させていただいています」
――御社ならではの特別なサービスを教えてください。
「どちらかというとこの業界は受注生産が多いんですね。例えば飲料水の企業の工場に行くと大きなタンクがあるんですが、そのタンクの中身の容量を測るためのセンサーを我々は提供しています。ただ、工場によってタンクの大きさが異なるので、その大きさに合ったセンサーを作る必要があります。いわばオーダーメイドで、一品モノを作るという意味では他の業者とは差別化できるところだと思っています。あとは従来、横河電機さんが国内での販売権を持っていたドイツのVEGAという商品があるんですけど、2021年以降、弊社の方でその販売権を引き継ぎまして、VEGAの日本総代理店という役割も担っています」
――主な顧客はどういった業種になりますか。
「業界的に多いのは食品関係ですね。例えば製粉会社であったり、飲料、あるいはビール会社であったり。それから製菓関係もわりと多いです。他にもセメントや樹脂の会社もそうですし、公共の下水処理場にも対応しています。あとは原子力発電所ですね。そこにもセンサーが必要とされますので、主力のお客様のひとつになります」

――アルテミ・スターズのスポンサーになられたきっかけを教えてください。
「私は大学時代にハンドボールをやっていまして、同じ体育会系のつながりでラグビー関係の人と、今でも付き合いが多いんです。また私自身も子どもの時はラグビーをやっていましたから、思い入れのあるスポーツでもあります。それから弊社の取締役に元ジャパンの大八木淳史がいるんですよ。社内にラグビー文化というものがあることも、ひとつのきっかけになっています」
――女子ラグビーチームを支援する魅力はどこにあるのでしょうか。
「実は私は大阪で、女子のハンドボールチームに関わらせてもらっていまして、女性の頑張りというものを間近で感じていました。特にスポーツでは身体的な面も含め、いろいろとハンデがあるなかで、それを乗り越えて頑張っている姿は本当にすごいなと。そういうものを感じるなかで女子スポーツを応援したいという想いは、自然と生まれてきたものかなと思っています」
――御社の事業内容や企業理念は、アルテミ・スターズを支援することに通じる部分はありますか。
「熱意と創意というのが、弊社のキーワードです。私自身はどちらかというと体育会系で学生時代を過ごしてきた経緯がありますので、なんでも1番になるっていうことはすごいと思うんですね。もちろん勉強もそうですし、スポーツもそう。他の趣味でもなんでもいいんですけど、1番になる人って特別なモノがあると思うんです。何かで1番になったことがある人は、仕事でも1番になれる可能性があるんですよ。1番になるためには、やっぱり熱意がないと無理なこと。スポーツは1番を目指すという熱意が分かりやすく伝わってきますから、アルテミ・スターズを支援することは会社にとってもいい影響が生まれてくるのではと考えています」
――アスリート雇用という形を提案された時はどう感じましたか。
「私としては良いことだと思いました。日本代表候補に選ばれた左高さんは、間違いなく1番になったことのある人ですからね。だから雇用することに迷いはありませんでした。ただ、他の社員がどのように受け止めるかはわからない部分もありました。せっかく1番になったことがある人がいるんだから、積極的に接点を持ってほしいと思う一方で、押し付けてもいけない。彼女をひいきしてもいけないし、ただ会社にいるだけになってしまうのも良くない。そのあたりは難しいところもありますが、彼女と初めて会った時にラグビーを一生懸命やっているということがよくわかりましたし、ポジション的にも厳しいところでやっているので、ちょっとでもサポートしてあげたいという想いが一番強かったですね」
――実際に左高さんが入社したことによる影響はありますか。
「入社して1年も経っていないですし、ラグビーの合宿でいない時間も多かったので、影響が出てくるのはまだまだこれからだと思っています。今回のワールドカップが終われば少し落ち着くと思うので、今までのラグビー経験を生かして仕事に取り組んでほしいし、他の社員ともたくさんコミュニケーションを取ってもらって、いい影響を与えてもらえたらいいですね」


――スポンサーやアスリート雇用は、企業イメージやブランド価値を向上させることに役立つと思いますか。
「もちろんそういう目的でもやっています。チームのユニホームに弊社の名前が出ることで認知が高まるというのもありますし、先ほど言ったように、我々が代理店を引き継いだVEGAという商品は、横河さんの代理店が扱うことが多いんですね。そういったところもスポンサーをやられているので、共通の話題を持つことができるんですよ。我々は横河グループではないのですが、同じネットワーク持たせてもらうことによって仲間意識が生まれますし、我々の商品を選んでくれることも結構あります。それはスポンサーをやったことによって生まれた効果だと思います」
――今後、アルテミ・スターズと一緒に取り組んでいきたい活動はありますか。
「今まで彼女はジャパンの方に行く時間が多かったんですが、これからは横河の活動に専念することになると思います。なので我々からすれば、応援に行く機会をもっと増やしていきたいと思っています。これから彼女は会社での存在感を高めていくことになるでしょうし、周りの社員も彼女と接点を持つ機会が増えていくでしょう。そうなればより応援し甲斐があると思いますから。そうやって会社のラグビー熱が高まっていけばいいですね」――今後のアルテミ・スターズに期待したいことはありますか。
「もともと強いチームだというのは伺っていますし、結果もそれなりに出ていますけど、これから世代交代の波が来ると思います。そのなかで継続して強くあり続けることは大変だと思いますが、やっぱりやるからには優勝を目指していただきたい。今回の代表には6人も選ばれましたけど、彼女たちに続く選手が台頭してほしいですし、常に優勝を狙えるチームとして存在してもらいたいですね。それに対して私たちスポンサーがいろんな形でサポートできたらと思っています。やっぱり、強いというのは素晴らしいことで、私たちのモチベーションにもつながりますからね」

――最後に、これからの左高さんに期待したいことはありますか。
「選手としては、今回の代表は外れてしまい残念でしたけど、これからもアルテミ・スターズの活動は続いていきます。競争もあると思いますし、年齢的にもベテランの域に差し掛かっていますが、レギュラーとして試合に出続けられるように努力してほしいというのが一番ですね。あとはやっぱり怪我に気を付けてほしいということ。激しさが求められるポジションだとは思いますが、怪我をせず、試合に出続けて、思う存分プレーしてもらいたいですね」
――社員としての左高さんに期待することはありますか。
「今まではあまり業務に関われなかったですけど、ラグビーを通じて手にした経験や人脈、あるいは横河のネットワークというものをこれからうまく使いながら、仕事に取り込んでもらえればと思っています。うちには女性の営業がいないんですよ。彼女にはその力があると思いますので、女性営業の道を何らかの形で切り開いてもらえたら嬉しいですね」
(ライター:原山 裕平)
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