ロフトワーク
9/24には、AIのボケに人間が全力でツッコミを入れる「バグドリンク」ワークショップも開催

株式会社ロフトワーク(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:諏訪光洋)が運営するFabCafeは、急速に社会に浸透するAIと私たち人間の関係性を再考する実験展示「AI is Not Magic 〜大阪巡回展〜 AIと私たちの立ち位置を探るための34日間」を、FabCafe Osaka(ファブカフェ オオサカ)にて開催することをお知らせします。展示期間は9月1日から10月4日までです。
本展示は、7月に開催された東京展示会の巡回展です。国内外から4組のクリエイター作品をお招きし、今年3月に大阪・天満に新たにオープンしたカフェ内で展示します。カフェの営業時間中は、誰でもご自由にご覧いただくことができます。
展示テーマ:テクノロジーは魔法ではない
生成AIの技術革新と普及により、私たちの暮らしや仕事、創作活動にAIが深く関わるようになってきました。しかし、その構造やロジックに触れることなく、ただ便利な存在として利用しているケースも少なくありません。「AI is Not Magic」は、そうした魔法的な捉え方を一歩引いて問い直します。AIを正しく理解し、創造の現場で自分ごととして活用していくには、どうすればよいのか。AIとどんな距離感で付き合っていくのか。FabCafeらしい対話と実験の場を通じて、そのヒントを探ります。
展示の見どころ:AIとの対話から生まれる新しい関係性
FabCafeでは、AIと人間の関係をめぐる対話を積み重ねてきました。そこで浮かび上がったのは、「AIは人間を超えるのか」という二元的な問いにとらわれがちな私たち自身の視点。今回の展示では、その前提を疑い、新しい関係性の想像を試みました。
AIと会話しながら椅子を設計したジェームズ・ブライドルのプロジェクトや、記憶や感情に作用するAI体験を通して個人のアイデンティティに深く融合するドメスティック・データ・ストリーマーズによるプロジェクトなど、多様な視点からAIとの共創を描く作品を紹介します。来場者は「AIと自分のあいだの距離感」を、対話・創作・観察を通じて体験できます。


出展アーティスト・プロジェクト
James Bridle

作家、アーティスト、テクノロジスト。作品は世界中のギャラリーや文化機関、そしてインターネット上で展示されてきた。『Wired』『The Atlantic』『New Statesman』『The Guardian』『Financial Times』などの雑誌や新聞への掲載も多数。著書に『New Dark Age』(2018年)と『Ways of Being』(2022年)があり、2019年にはBBCラジオ4で「New Ways of Seeing(見ることの新たな方法)」の執筆・ナビゲーションを務めた。

AI Chair
廃材の山をもとに椅子をデザインするようChatGPTに頼み、その椅子を実際に製作した「AI Chair」が今回の展示のために新しく制作されました。
演画プロジェクト

漫画内のキャラを演じて遊べる参加型マンガ〈演画〉を探求するレーベル。演画ではプレイヤーのセリフが吹き出しに反映され、生成AIの返答が漫画家の手描き原稿と融合し、遊ぶたびに物語の展開が変わる。ゲーム開発者・木原共を中心に、様々な漫画家と協働し、生成ストーリー体験の可能性を広げていく。

演画 vol.1 「最後のパラシュート」
原作・ゲームデザイン:木原共 漫画:永良 新
演画の第1作の舞台は、墜落寸前の飛行機。乗っているのは、機長1名と乗客2名の計3名──ただしパラシュートは2つしかない。誰がパラシュートを使うのかを決めるのは、すでに1つを装備し自分は助かるつもりの独断的な機長。乗客である2人のプレイヤーは、文章生成AIが演じる機長を会話で説得しなければならない。乗客達で協力して全員生還を目指すか、機長と結託して自分だけ助かるか――プレイヤーの言葉次第で、全員生還から全滅まで毎回異なる展開の物語が生まれる。大規模言語モデルが社会の重要な意思決定にますます関与しつつある今、こうしたシステムが「命の価値」をどう判断し得るのかを探っていく。
Domestic Data Streamers

Domestic Data Streamers(ドメスティック・データ・ストリーマーズ)は、バルセロナを拠点とするコレクティブであり、ジャーナリスト、リサーチャー、プログラマー、アーティスト、データサイエンティスト、デザイナーで構成されています。2013年から新しいデータ言語とその社会的影響の探究に取り組んできました。
そのリサーチや活動は、映画、インスタレーション、デジタル体験、パフォーマンス、展示など、幅広いコンテクストに展開されており、その場所も学校、刑務所、映画館、美術館、多くの都市のストリート、さらには国連本部にまで及びます。バルセロナを拠点としつつ、これまでに45か国以上、すべての大陸で活動してきました。これまでに、テート・モダン(ロンドン)、香港デザイン・インスティテュート、カリフォルニア科学アカデミーなどの文化機関でもプロジェクトを展開しています。

Synthetic Memories
Synthetic Memories(シンセティック・メモリーズ)は、失われる危機にある個人的な記憶を再現し、保存することを目的としたプロジェクトです。話し言葉や書き言葉による記憶の記述を視覚的なイメージに変換することで、特に高齢化や移住、神経疾患などによる記憶喪失を経験している人々が、自身の過去と再びつながり、困難な状況の中でもアイデンティティの継続性を保てるよう支援します。インタビューを通じて記憶の詳細な記述を収集し、生成系AI用のビジュアルプロンプトへと変換します。AIはこれらの情報をもとに、個人の記憶をデジタル画像として再構築・保存します。参加者は生成されたイメージを確認・修正し、記憶を正確に反映したものとなるようにします。その結果、本人はプリントおよびデジタルイメージを受け取り、これを「メモリーベクター」と呼びます。これは記憶の視覚的で触れることのできる表現であり、過去と現在をつなぐ感情的な結びつきを強めます。
Techno Graphical Data Archive

「TECHNO GRAPHICAL DATA ARCHIVE」、通称『TGDA』は、株式会社デンソーとFabCafe Tokyoが共同で取り組む、東海道をベースに消えゆく職人技をデジタルアーカイブし、その価値を再発見するためのプロジェクトです。世界中で失われつつある伝統工芸職人の熟練の技術をデジタルデータ化し、世界中からアクセス可能なデータプラットフォームにアーカイブすることで、ローカルな文化の保存と継承を促進しています。
9/24には、AIのボケに人間が全力でツッコミを入れる「バグドリンク」ワークショップも開催

AIとの関係性だって、大阪らしく笑いで進めていきたい。展示期間中に、AIと一緒にボケとツッコミを繰り広げるワークショップを開催します。「スッキリしたい」と入力すれば“激辛ホットミルク“。「癒されたい」とお願いすれば“納豆入りスムージー“。そんな“バグった“AIの提案を、人間がツッコミながら調整していくことで、やっと完成させる「バグドリンク研究所」。AIの暴走と人間のツッコミが交差する、その一瞬の掛け合い。“未来の食”をめぐる予測不能な実験が展開されます。
イベント詳細:https://fabcafe.com/jp/events/osaka/20250924_bagudrink
展示概要
展示名:AI is Not Magic 〜大阪巡回展〜AIと私たちの立ち位置を探るための34日間
会期:2025年9月1日(月)〜 2025年10月4日(土)
時間:10:00〜20:00(カフェオープン時間に準ずる)
場所:FabCafe Osaka (住所:大阪府大阪市北区天神橋2丁目2−4)
入場料:無料
主催:FabCafe Osaka
Webサイト:https://fabcafe.com/jp/events/osaka/250901_aiisnotmagic/
FabCafe Osakaについて
FabCafeはカフェでありながら、世界中に拠点をもつクリエイティブコミュニティです。各地域のクリエイティブコミュニティと密接につながり、その地域ならではの「ものづくり」や素材、テクノロジーを活かし、プロジェクトも手がけています。FabCafe Osakaは、2025年3月に大阪・天神に世界13拠点目、日本国内では6拠点目のFabCafeとして誕生しました。FabCafe Osakaはクリエイティブカンパニーである株式会社ロフトワークが運営し、形式に縛られない美しさを追求する近代から現代の美術思想「L’Informe(アンフォルム)」を取り入れた体験を提供します。他のFabCafeにある3Dプリンターやレーザーカッターに代わり、「L’Informe」を具現化するツールとして“蒸留器”を導入。香りを活用した飲食体験や、感覚を刺激するアクティビティを展開します。訪れる方々が感性や情緒を育み、新たな可能性を発見できる体験を提供します。