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「コンテンツテクノロジー・イノベーションプログラム(CTIP)」採択技術が決定しました!

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コンテンツに関連するテクノロジーの社会実装を支援する経済産業省事業「コンテンツテクノロジー・イノベーションプログラム(CTIP)」の採択技術を発表!

コンテンツに関連する技術の社会実装をサポートするプログラム「コンテンツテクノロジー・イノベーションプログラム(CTIP)」について、応募技術および推薦技術の中から厳正な審査により、6 件が支援技術として採択されました。

CTIPとはコンテンツに関連するテクノロジーが、研究室から世界に出て行くための後押しをするプログラムです。研究室のテクノロジーを社会のバリューとつなげる「Tech × Value Lab」デモ展示をはじめ、様々なステークホルダーの方々とのワークショップの実施等により社会実装を進め、将来的な海外展開につなげていくことで、日本から世界にイノベーションを起こしていくきっかけを作ります。

採択された技術は、国内外の先端コンテンツ技術とクリエイターや開発パートナーとのマッチングの場である「INTER BEE IGNITION × DCEXPO」(会期:11月19日(水)~21日(金)/会場:幕張メッセ)に出展いたします。ぜひ「INTER BEE IGNITION × DCEXPO」にご参加いただき、新しいコンテンツ・テクノロジーの可能性を、未来の世界を体感してください。

また、こちらの技術について詳しく知りたい方、技術の活用や共同研究等にご関心のある方はぜひCTIP事務局までご連絡ください。

*「コンテンツテクノロジー・イノベーションプログラム(CTIP)」は経済産業省 令和7年度コンテンツ海外展開促進事業(コンテンツ海外展開のための官民連携体制構築事業 )の一環として実施しています。

目次


コンテンツテクノロジー・イノベーションプログラム(CTIP)2025 採択技術(順不同)

【1】ROomBOT: 自助的な生活動作支援に向けた空間知能化ロボティクス

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Project

太田雅啓、吉田 貴寿、佐々木 智也、新居 英明、森田 迅亮

高齢化社会が進行する中で、日常生活動作に不安を抱える人々が増えている。こうした人々は身体動作を行う上で他者の直接的な支援を必要としているが、医療・介護業界での人手不足は深刻な社会課題となっている。今後、ますます高齢化社会が進行する中で、他者の手によらない自立的な生活動作支援を行うための技術ニーズは高まっている。
本提案では、このニーズに対し、「空間そのものが支援ロボットとしてユーザーをアシストする」という新たな視点からアプローチし、自立を支える新しい生活空間のあり方を提示する。ロボットを単なる道具ではなく、人の身体の延長として空間に溶け込ませるアプローチにより、ROomBOTは、部屋スケールで稼働するロボットハンドをユーザーの意図に応じて操作可能な、空間統合型ロボット基盤である。天井に取り付けたケーブル駆動モーターにより、空間内を自在に移動できるロボットハンドを実現し、ユーザーの「もう一つの手」として機能する。本技術の大きな特徴は、ユーザーが自ら身体を移動させることなく、ベッド上からでも空間内の物体操作が可能になる点にある。たとえば水を飲む、リモコンを取るなどの基本的な動作が、他人に頼むのではなく自力で行えるようになると期待される。
ROomBOTは、ユーザーの意図に即した直感的な操作を可能にし、身体的負担をかけることなく高い自由度で行動を補助する。本技術は、身体的制約や空間的制約を超えて、人の身体能力を拡張するための新たなインフラとしての可能性を有している。これは、たとえば身体に不自由を抱えるユーザーでも他者に頼らず、自らの意思で行動できる環境の実現に貢献できる可能性がある。

【動画URL】

https://www.youtube.com/watch?v=vuy3bTF5ayA&feature=youtu.be

【講評】
高齢者や要介護者の部屋というのは、ヒトと見紛うヒューマノイドロボットや超ハイテクなマイクロファクトリー(高度に自動化された小さな工場)のようなものを連想しがちだが、少なくとも当面は、こんなちょっと不格好なものにしかなりえないのではないか。価格や利用者の心理からくる市場適合性というものがある。誰も答えを出していない領域なので試行錯誤する価値がある。家や部屋がロボットになる例で、印象に残っているのは米国Syfyチャンネルで放送された『ユーリカ』というドラマだ。興味深かったのは、家が主人公を飲み込んでいる形になるので、独占欲のような感情をもち主人公の生活に介入しはじめるあたりだった。コンテンツ性も重要である。
遠藤諭 委員長(株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員/MITテクノロジーレビュー日本版 アドバイザー/ASCII STARTUPエグゼクティブ・アドバイザー)

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【2】複合的な伝熱方式を活用した非接触高速温度提示装置MoHeat

東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 稲見・門内研究室

許 佳禕(XU JIAYI)

本技術は、温度という新たな感覚チャネルを非接触かつ高速に制御することで、人とコンテンツ、あるいは人と人とのインタラクションに臨場感や親密性をもたらす、次世代の感覚インタフェースである。放射による加熱に加え、冷却には対流による手法を用途に応じて活用することで、加熱と冷却をスムーズかつ柔軟に切り替えることが可能である。これにより、状況に応じた自然でダイナミックな温冷感覚を違和感なく提示できる点が、大きな特長となっている。
このような特徴を活かし、本技術は、特にVRコンテンツやキャラクターとの対話演出において高い親和性を持ち、没入感や身体的リアリティを拡張する手段として有効である。たとえば、VRゲーム中に火や氷の演出があった際、それに合わせて温度が変化することで、視覚情報だけでは得られない身体的な臨場感が得られる。また、アバターが耳元で囁くようなシーンでは、繊細な温度刺激を通じて、キャラクターの存在感や感情がよりリアルに伝わる。他にも、ライブ演出や展示体験、教育・医療分野への応用も期待される。
さらに、本技術は、音響や映像と連動させることで感覚の重層化が可能となり、既存メディア体験の質をさらに高める「感覚拡張ツール」としても活用できる。今後は、本プログラムを通じて、本技術の価値を多様なステークホルダーと共に検証し、社会実装や国際展開への足がかりとしていきたいと考えている。

【動画URL】

https://www.youtube.com/embed/Q5PBvaR5hzA?si=f6vbUPnck3kHrdCL

【講評】
VRにおける温度提示といえば、じわっと熱くなったり冷たくなったりするだけ、そんな時代は過去のもとなり、高い応答性をもち、VR世界の様々なアクションに瞬時に応答できる温度インタフェースが実現しつつある。本技術 MoHeat は、ヘッドセット型の装置の中に、熱と冷気を両方組み込み、高速な温度提示を実現する。灼熱のバトルフィールドから氷山のブリザード、常夏の楽園や冬山でのスキー、VR世界での様々な体験をさらにリアルにしてくれる可能性に期待したい。
南澤 孝太 委員(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)教授)

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【3】インターフェース技術を用いた既存ゲームコントローラーの拡張

津田塾大学 学芸学部 情報科学科 栗原研究室

栗原 一貴

「栗原式インパクトボタン」は、導電性プラスチックである導電性フィラメントを3Dプリンターで印刷して製作される新しいゲーム用入力インターフェースである。
この技術の大きな特徴は、3Dプリンターによってユーザー一人ひとりの手の形や操作習慣に合わせた最適な任意の形状でゲームコントローラーを作成できることである。また、一つのボタンの形状を工夫することで、複数の場所に押下可能箇所を設けることも可能であり、現在のゲームルール内で高性能な操作性を提供しうると考えられている。
実際、ストリートファイター6の「ドライブインパクト」においては、従来のボタンと比較して平均で約2.9フレーム早く入力できるという実測値も出ている。これらはあくまでフィッツの法則を用いたコントローラーデザインとの合せ技だが、インタフェースの専門家とこの導電性フィラメントの組み合わせにより様々な応用が考えられ、格闘ゲームコントローラーに限定されず、導電性素材を用いた全く新しいゲームコントローラーや、高速・直感的な入力が求められる多様な操作デバイスへの応用が期待される。ユーザーの操作性を科学的に最適化し、カスタマイズ可能なインターフェースを提供することで、以下のような多岐にわたる分野での社会実装に貢献する可能性を秘めている。
•エンターテインメント体験の拡張
•特定のスキルを要する競技におけるパフォーマンス向上
•アクセシビリティの改善(身体拡張の可能性も含む)

【動画URL】

https://www.youtube.com/embed/YP2ncCzgQtw?si=WBzsQW9EMVhXTp8i

【講評】
本技術は、導電性プラスチックを用いて3Dプリンターで個別にカスタマイズ可能なゲーム用入力インターフェースを提供するものである。
従来のコントローラーは、ある程度の画一性を持ち、ユーザーがその範囲内で適応することが求められていたが、本技術は、手の形や操作習慣に応じてボタンの形状を自由に設計することができ、個々のユーザーに合わせた完全なカスタマイズを可能にすることで、ユーザーそれぞれにとっての最適な操作性を実現する。従来のゲームインターフェースの概念を根本から変える可能性を秘めている点を高く評価した。
この技術はゲームにとどまらず、さまざまな操作デバイスへの応用が見込まれることから、将来的に幅広い市場で展開されることを期待する。
梶 直弘 委員(経済産業省 商務・サービスグループ 文化創造産業課長)

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【4】FlexEar-Tips: 空気圧制御を利用した変形するイヤーチップ

慶應義塾大学理工学部ライフスタイルコンピューティング研究室 / 大阪大学基礎工学研究科

雨坂 宇宙

「FlexEar-Tips」は、次世代ヒアラブルデバイスに向けた動的イヤーチップシステムである。FlexEar-Tipsは、空気ポンプおよび電磁弁を用いてイヤーチップのサイズを動的に制御可能とし、装着時の快適性および機能性を向上させる。さらに、内蔵された空気圧センサによりイヤーチップ内部の圧力を常時計測し、周囲環境やユーザの状態に応じた自律的なサイズ調整を実現する。FlexEar-Tips は次世代の適応型ヒアラブルインタフェースとして、健康モニタリング、没入型音響体験、触覚通知、バイオフィードバック、およびセンシング機能を統合した新たな相互作用モダリティ設計を可能にする。

【動画URL】

https://www.youtube.com/embed/q2x4uuDKIS8?si=BTKOLpj-0VedkTil

【講評】
人がAIとともに日常生活を送る近未来、人がAIと自然に繋がるためのメディアとして、「耳」はますます重要になるだろう。そんな耳を、単に「音」を届ける器官として捉えるだけではなく、耳の中から人の状態をモニタリングしたり、触覚を与えて人に何か伝えることができたら、耳は目や口よりも饒舌にモノを語ることができるかもしれない。人の「耳」の可能性はまだまだこんなものじゃない、そんな可能性を感じさせる技術である。
南澤 孝太 委員(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)教授)

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【5】PronounSE:言語非依存な口真似音声からの効果音合成

京都産業大学大学院 先端情報学研究科 平井研究室 /

産業技術総合研究所 人工知能研究センター 知的メディア処理研究チーム
滝沢 力

ゲームやアニメーション、映画などのコンテンツ制作において、環境音や効果音は欠かせない要素である。しかし、その制作には熟練の技術が求められ、プロであっても手間がかかることが少なくない。特に、音作りに不慣れな人にとっては、イメージに合う音の制作や、大量のサウンドライブラリから最適な音を探し出すことは容易ではなく、必ずしも思い通りの音を得られるとは限らない。
こうした課題に対し、本技術研究では、ボイスパーカッションのように音をリアルに模倣した口真似音声から効果音を合成する手法を提案している。人は、金属音やサイレン音、爆発音といったさまざまな音を、ある程度は直感的に声で再現することができる。このような直感的な表現かつ多様な発声を活用することで、生成系の深層学習技術を用いて音声から効果音を合成するアプローチを取っている。特に、人の口真似による音を模倣する能力に着目しており、言語的な発音や文字では表現しきれない微妙な発音(音韻情報)や、高さ・抑揚・タイミング等のリズム的要素(韻律情報)も含め、言語情報を一切用いず、口真似音声のみを入力として効果音生成する点に技術的特徴がある。
これまでは、多種多様な効果音の中でも「爆発音」の合成に焦点を当てており、発破音や発砲音等の多種多様な爆発に伴う音の合成が可能となっている。敢えて日本語の擬音語として書くと「ドゥーン」「ボガーン」「バーン」「パーン」などが挙げられるが、それらの発音にはそれぞれ音響的違いがある。本技術ではそれらの中間の発音までも表現として網羅する柔軟な音響合成が可能である。現在は、爆発音以外、特にレーザービームや魔法の音等の非現実な音にも対応させるべくデータセットを構築しており、随時対応音色を増やした技術として研究を行っている。

【動画URL】

https://dcaj-techbiz.com/wp-content/uploads/2025/08/uist2024_demo_pronounSE_ver4.mp4

【講評】
擬音的な口真似やボイスパーカッションを入力として、生成系深層学習により効果音を自動合成する点は新規性が高く注目に値する。従来は専門的知識や膨大なライブラリ検索を要した効果音制作を直感的に行えることは、コンテンツ制作全体の効率化に大きく寄与すると考える。さらに、現場で求められる細やかなニュアンスや時間的制約下での編集ディレクションに応答できる柔軟性が実装されれば、既存の制作ワークフローに不可欠なツールとなり得る。エンターテインメントのみならず、教育や玩具など多様な産業への展開可能性も高く、CTIPを契機に社会実装へと進展することを期待する。
西村 真里子 委員(株式会社HEART CATCH 代表取締役)

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【6】Handoid:異形態間でのマルチプレゼンスを実現するロボットハンドアバタ

東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 稲見・門内研究室
下林 秀輝、佐々木 智也、廣瀬 雅治

テレイグジスタンスや遠隔アバターロボットの概念を変える、独立動作可能な手型ロボットアバター「Handoid」を提案する。Handoidは、手首の脱着機構により、ヒューマノイドロボットの一部としてのロボットハンド形態と、独立した手型ロボットアバターとしての形態とを切り替えられる。これにより、ロボット本体が進入できない狭い場所での作業や、複数のタスクの並行実施など、従来のヒューマノイドロボットでは困難であった多様なタスクを可能とする。本技術は、アバターの身体の在り方を再定義し、VR/ARやロボティクスを核とする次世代のコンテンツ体験に革新をもたらすものである。

【動画URL】

https://www.youtube.com/embed/cmzvXWEkABY?si=4nI7MxEOIwIxw8zq

【講評】

テレイグジスタンスによる操作と半自律的な移動機構を組み合わせた本技術は、従来アクセスが困難であった環境下での作業支援や、エンターテインメント領域における新たな体験創出の可能性を示している。特に「ロボット全体を投入せず、手のみを遠隔的に展開できる」という発想は、応用範囲を大きく拡張し、社会課題解決に資する潜在力を有する点で高く評価できる。体験価値と実用性を兼ね備え、独自性と波及力を併せ持つ点も特筆すべきであり、CTIPを通じて広く認知され、エンターテインメントから実社会の課題解決まで多様な応用に展開されることを期待したい。

西村 真里子 委員(株式会社HEART CATCH 代表取締役)

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◆CTIP 2025 採択技術一覧
各技術の詳細は、https://dcaj-techbiz.com/?post_type=news&p=1907 に掲載しています。社会実装に向けてのコメント等もご紹介していますので、ぜひご覧ください。

◆コンテンツテクノロジー・イノベーションプログラム(CTIP)

https://dcaj-techbiz.com/tip/

◆INTER BEE IGNITION×DCEXPO(本採択技術は11月にこちらで体験いただけます)

https://www.inter-bee.com/ja/forexhibitors/conference/ignition/

【本件に関するお問合せ】

一般財団法人デジタルコンテンツ協会(DCAJ)

CTIP事務局

E-mail: tip@dcaj.or.jp

出典:PR TIMES

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企業プレスリリース詳細へ (2025年9月4日 10時08分)

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