東京海上ディーアール株式会社
GHGプロトコル改訂に向けた検討作業の動向 ~Scope 2の注目論点と議論動向を中心に~
東京海上ディーアール株式会社は、2024年10月から調査研究プロジェクト「GXの産業界への影響と対応」を実施しています。このたび研究成果として、「GHGプロトコル改訂に向けた検討作業の動向 ~Scope 2の注目論点と議論動向を中心に~」を発行いたしました。詳細は本プロジェクトの概要ページをご覧ください。
レポート概要
企業をはじめとした組織が温室効果ガス(GHG)の排出削減に取り組む上で、GHGの排出状況を算定・報告する枠組みは自社の取組みの可視化等の観点から非常に重要なものです。現在、世界では、GHG排出量の算定・報告の国際的な基準として「GHGプロトコル」がデファクトスタンダードとなっています。このGHGプロトコルについて、2024年9月から、主要な基準やガイダンスの改訂作業が進められています。GHGプロトコルの改訂は、GHGの算定・報告を行う企業等の組織以外にも、脱炭素に関連する産業領域や、開示等を通じた一般企業等への幅広い影響が生じる可能性がある重要なイベントと言えます。
そこで本稿では、改訂に向けた論点を整理しつつ、Scope別の検討作業を進めている「テクニカルワーキンググループ1(以下、「TWG」)」の議論動向を概観し、今後の見通しや企業への影響の可能性についてみていきます2。ただし、関連する議論内容や論点が多岐にわたることから、本稿では、①改訂作業の全体像および主な論点、②Scope 2の注目論点と議論動向、③今後のスケジュール、に絞って取り上げます3。特に、Scope 2に関しては、サプライチェーン単位での取組みも進展している中で影響を受けるステークホルダーが多いとみられるほか、すでに具体的な改訂方針や改訂案が明らかになっていること等に鑑みて、丁寧に改訂作業の動向を整理していきます。
「GXの産業界への影響と対応」研究プロジェクト概要
GX(Green Transformation)とは、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のことを指します。
現在の産業・社会構造は化石燃料の使用を前提に最適化されたものです。従って、GXは、単なるエネルギー政策の転換にとどまらず、社会の様々な分野に変化をもたらし産業界にも大きな影響を及ぼします。
本プロジェクトは、そのようなGXの与える影響をエネルギー、産業・競争、金融・資本市場、貿易・通商、技術、等の多様な観点から分析し、産業界に必要な対応を検討します。
研究の成果については当社ホームページにレポートとして発信する他、セミナー等も予定致しております。