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日本にとって、文化・エンタメ × 台湾テック協業を強化する好機
2025年9月4日、「StartSphere Taipei 2025」が瓶蓋工廠台北製造所にて盛況のうちに幕を閉じた。3日間にわたるイベントには、台湾、日本、米国、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、インドの8カ国からスタートアップ、投資家、産業関係者が集結。AI、デジタルエンターテインメント、クロスボーダーイノベーションをテーマに、延べ1,500人以上が参加し、アジア規模の協業プラットフォームを成功裏に構築した。

フォーラムでは、日本の存在感が際立った。著名VCであるHeadline Asiaは「観光とテクノロジー」フォーラムに登壇し、京都で開催されている国際起業イベントIVSの知見を共有。アジアのイノベーションネットワークが日本に広がり、台湾との協業へ発展していることを示した。これにより、日本が台北のスタートアップおよびエンタメ・エコシステムに積極的に関与している姿勢が浮き彫りとなり、市場や文化面での補完的な協力の可能性が強調された。

AI技術も日台協業の大きなハイライトとなった。日本のスタートアップMantraは、日本の漫画をリアルタイムに翻訳するAI技術を披露。また、日系スタートアップVoicePingは会場全体に即時通訳サービスを提供し、多国籍のゲスト間のスムーズな交流を支援した。これらの事例は台北市政府が推進するAI人材育成プログラムの支援を受けており、日台技術協力の成果を具体的に示すものとなった。
開幕フォーラムで蔣萬安市長は、台北が「潮台北(Trendy Taipei)」音楽・文化フェスティバルを中心に、文化・テクノロジー・国際交流の融合を推進していると述べた。これは日本にとって、台湾のイノベーションを観察する窓口であると同時に、日本の文化・エンタメ産業が台湾のテクノロジーを活用し、アジア市場に進出する絶好の機会となる。

最終日のフォーラム《InteractiVerse》では、東南アジア市場に焦点を当て、シリコンバレーの886 Studios、AppWorks、VinaCapital Venturesなど国際的なプレイヤーが登壇。台湾、タイ、ベトナムによるゲーム実演を通じて、国境を越えた制作の可能性が示され、台北が東北アジアと東南アジアをつなぐハブとしての役割を強調した。
「StartSphere Taipei 2025」は閉幕したが、「潮台北 TRENDY TAIPEI」音楽祭は9月7日まで続き、音楽、アート、テクノロジー、ゲーム、ファッションを横断的に結びつけている。日本にとってまさに今こそ、文化・エンタメ産業を深化させ、台湾のテクノロジーと融合しながらアジアの新市場を切り拓く重要なタイミングである。