グンゼ株式会社
グンゼ株式会社(本社:大阪市北区、社長:佐口 敏康、以下グンゼ)の連結子会社であるグンゼグリーン株式会社(本社:兵庫県尼崎市、社長:池田 智範、以下グンゼグリーン)は、緑化事業におけるCO2吸収量を可視化し、削減貢献量を算定する技術を九州大学都市研究センターとの産学連携共同研究で開発しました。
この算定技術は、既存の環境クレジットの枠組みで確立されている森林管理によるCO₂吸収量だけでなく、緑化事業における樹木の供給という事業活動を通じた、CO₂削減への貢献度合いの数値化を目指したものです。なお、この算定技術は、第14回環境配慮設計とインバースマニュファクチャリングに関する国際シンポジウム(EcoDesign2025/2025年11月)での学会発表ならびに論文出版が予定されています。
今後はカーボンクレジットの考え方が普及し、都市緑化分野においても、環境価値の可視化と適切な評価が進んでいくよう、グンゼグリーンは着実に取り組みを続けてまいります。

■独自の算定技術に基づくCO₂削減貢献量の算定方法
九州大学との共同研究により、植栽された樹木が100年間成長する過程で吸収するCO₂量を定量的に評価する新たな方法を確立しました。この方法では、対象期間における樹木の高さ・直径の増加量と生存率を推定し、これらのデータから体積の増加量を算出することで、樹木1本当たりのCO₂吸収量を算定します。
これにより、従来の森林管理に由来する評価とは異なる切り口で、緑化事業における樹木供給がCO₂削減にどの程度寄与しているのかを客観的に示すことが可能となりました。
■グンゼグリーンのクレジット認証範囲
カーボンクレジット認証は、事業主体者や設計者、施工業者(総合建設業者・造園施工業者)、そして樹木の供給に携わるグンゼグリーンや生産者など、緑化事業に参画する関係機関の役割を踏まえた評価方法に基づいて行われます。
グンゼグリーンでは、1年間に出荷した樹木を9種カテゴリーに分類のうえ、100年間で吸収する総CO₂量を算出しました。その試算に基づき、最終的には、⼀般社団法⼈ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアムから、3年分のCO₂吸収量が貢献範囲として認証されました。

■グンゼグリーンの緑化事業
グンゼグリーンの緑化事業では過去5年間で約2,500万本もの樹木類を全国各地に供給しています。この事業による削減貢献量は累計2.3万t-CO₂以上です。現在は可視化した環境価値をグンゼグループ内でカーボンオフセットとしてアパレルカンパニーのBODY WILD商品に活用し、独自の環境貢献モデルを構築しています。
今後は、事業主体者や関係機関とも協働し、創出した環境価値を社会へ普及させていくことを目指します。
■グンゼグリーン㈱池田よりコメント

私たちグンゼグリーンは、時間をかけて大切に育てられた樹木を、都市空間や公共の場にご提案・お届けし、緑と街をつなぐ架け橋の役割を担ってまいりました。
都市緑化は、私たちが事業を通じて果たし続けてきた使命であり、圃場で丹精込めて育成された多くの樹木が街に届けられ、その地に根付き、長きにわたり人々にここちよさや癒しをもたらす、大切な事業です。
こうした背景を踏まえ、このたび導入した算定技術により、緑化事業における「供給」のプロセスに着目することで、当社の事業を環境貢献として評価する枠組みが形になりつつあります。さらにこの試みは、樹木の供給側にとどまらず、緑化事業に携わる多くの関係機関のプロセスにも広がり、CO₂吸収量を評価・定量化する新たな仕組みづくりにつながる可能性も秘めております。
都市緑化において、樹木の持つ環境価値を可視化し、適切に評価・活用していくことは、持続可能な都市環境の未来を形づくり、都市や地域の魅力や価値をより際立たせる取り組みにもつながると考えております。
これからも、私たちグンゼグリーンは、緑豊かで持続可能な社会の実現に向け、着実に歩みを進めてまいります。
■第14回環境配慮設計とインバースマニュファクチャリングに関する国際シンポジウム
https://ecodenet.com/ed2025/
■⼀般社団法⼈ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム