株式会社商船三井
~HHI・SHIそれぞれとの共同開発~
株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)(註1)を4基搭載した新船型のメンブレン型LNG船(以下「新船型」)について、認証機関であるロイド船級協会(以下「LR」)から、基本設計承認(Approval in Principle:以下、「AiP」)を取得しました。さらに旗国とも安全性の評価を行い、HD現代重工業株式会社(本社:韓国・ウルサン、以下「HHI」)と共同開発した新船型LNG船は、マーシャルアイランド(以下「Marshall」) から、また、サムスン重工業株式会社(本社:韓国・ソウル、以下「SHI」)と共同開発した新船型LNG船は、リベリア(以下「Liberia」)からもAiPを取得しました。
本AiPを取得した新船型は、HHI及びSHIとそれぞれ共同で開発を進めている貨物槽容積17.4万立方メートルのLNG船で、ウインドチャレンジャーを4基搭載します。現在、実建造に向けた詳細設計を実施中です。昨年、在来型LNG船へのウインドチャレンジャー2基搭載に関するAiPを取得済み(註2)ですが、新船型では、船橋(ブリッジ)を船体前方に設置し、ウインドチャレンジャーの搭載基数増と搭載位置の最適化を両立することで、燃費削減効果の最大化を図っています。試算上、1航海あたり最大約30%程度、年間平均で15-20%の燃費削減効果が期待されています(註3)。
当社は、HHI・SHIの新船型において、造船所・船級協会・旗国とそれぞれリスクアセスメントを実施し、帆の配置・視界影響・非常時の操作方法・その他安全対策等を網羅的に評価し、AiPを取得しました。

当社は、9月9日から12日まで、イタリアのミラノで開催される「Gastech Exhibition & Conference 2025」にブースを出展し、同ブースで、本新船型に関する展示や造船所・船級・旗国と合同の本AiPの授与記念式典の開催を予定しています(註4)。
当社は、商船三井グループの中長期目標である「商船三井グループ環境ビジョン2.2」において「2050年までのネットゼロ・エミッション達成」を掲げています。ウインドチャレンジャーは、伸縮・回転が可能な帆を自動制御することで安全な航海を維持しながら、燃料消費量と温室効果ガス(以下「GHG」)排出量を削減させる環境ビジョン達成のための低・脱炭素技術の一つです。当社は2030年までに25隻、2035年までに80隻へのウインドチャレンジャー搭載を計画しており、2隻が竣工済み、今後9隻への搭載が決定しています(註5)。本新船型の開発は、ネットゼロ・エミッション達成に向けた重要なステップです。当社は、ウインドチャレンジャーを始めとした風力推進技術を組み合わせた環境対応船隊の安全な管理・効率運航を通じ、自社グループからのGHG排出削減のみならず、社会全体の低・脱炭素化に貢献してまいります。

(註1) 詳しくは、風力補助推進システム「ウインドチャレンジャー」 | サービス | 商船三井(MOL) Solutions(mol-service.com)をご参照ください。
(註2) 詳しくは、世界初、ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)搭載LNG運搬船の基本設計承認(AiP)を取得 | 商船三井をご参照ください。本承認を以て設計されたLNG船は現在、Chevron Shipping Company、東京エルエヌジータンカー株式会社(東京ガス株式会社100%出資子会社)向けに建造中です。(世界初、商船三井とChevronがLNG運搬船にウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を搭載 | 商船三井、東京ガス向け新造LNG運搬船にウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を搭載 | 商船三井)
(註3) 北米―欧州航路前提の検証結果。前提航路、船速、気象海象状況などの条件次第で結果は大きく異なります。
(註4) 式典の詳細は以下の通りです。

(註5) 本新船型は、ウインドチャレンジャーの搭載が決定している9隻には含まれません。