BBSS株式会社
ネット詐欺リポートは毎月調査・収集した詐欺サイトを分析し、傾向をまとめたリポートです。
目次:
– 野村証券のフィッシングサイトが急増
– 警察や裁判所を装う詐欺にも注意
・フィッシングサイトブランドランキング
・フィッシングサイトカテゴリ別構成比
・フィッシング詐欺被害防止のポイント
・森 達哉教授のコメント
調査・収集したデータによる分析
■野村証券のフィッシングサイトが急増、マネックス証券、SMBC日興証券のフィッシングにも注意
野村証券のフィッシングサイトが急増しています。ここ数か月猛威を振るっている証券系のフィッシングサイトは、前月同様ターゲットを変更しつつばらまかれている可能性があります。7月は野村証券のフィッシングサイトが増加しており、前月比約5倍に増加しています。また直近ではマネックス証券、SMBC日興証券なども増加傾向です。
金融庁の発表によると証券系のフィッシング詐欺は不正取引件数、金額も減少傾向にあるようですが、不正売買金額は6000億円を超えており注意が必要です。
※1 出典:金融庁インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引による被害が急増しています



※画像はフィッシング詐欺サイトのイメージであり、本文内容とは関係ありません。
■警視庁や検察等の偽サイトに注意
警視庁や検察などを騙る偽サイトが登場しています。SNSなどで「あなたに逮捕状が出ている」などと言って偽サイトに誘導し、「逮捕状検索」等の本来存在しないコンテンツで偽の逮捕状を表示させ、金銭詐取をする手口が確認されています。警察庁や検察庁からも注意喚起が出ていますが、正規のサイトで逮捕状を検索することはできません。このような連絡がきても送られてきたURLにはアクセスしないようにしましょう。また不安がある場合は警察相談専用電話「#9110」などで相談を行うことも可能です。


ニセ警察詐欺に注意!
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/241218/02.html
警視庁のウェブサイトを模倣した偽サイトに注意
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/oshirase/caution.html
検察庁ホームページの偽サイトにご注意ください。
https://www.kensatsu.go.jp/page1000008.html
※画像はフィッシング詐欺サイトのイメージであり、本文内容とは関係ありません。
■フィッシングサイトブランドランキング
7月度はSBI証券のフィッシングサイトが1位となっています。先月より2倍に増加しています。またJAバンクが3位に入っています、過去ランキングには入っていませんが最近は報告数が増加傾向にあり、7月は前月比3倍以上に増加しています。

■フィッシングサイトカテゴリ別構成比
7月度は証券系カテゴリの構成比が20ポイント以上増加、実数においても60%以上増加しています。SBI証券のフィッシングサイトが2倍以上増加したことが要因となります。WebサービスカテゴリはAppleの収集数が減少したことにより構成比が減少しています。また銀行カテゴリはJAバンクのフィッシングサイトが3倍以上増加しており構成比が上がっています。


※5ポイント以上上昇したカテゴリは黄色の矢印になります。
※5ポイント以上減少したカテゴリは赤色の矢印になります。
■フィッシング詐欺被害防止のポイント
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メールやSMSで案内されたURLが正規のURLか確認する
メールやSMSメッセージ上のリンクはクリックせず、事前に登録しておいたブックマークやウェブ検索で正規サイトへアクセスする。 または、怪しいサイトを診断する無料サービスを利用し事前にURLをチェックする -
個人情報やクレジットカード番号の入力を促すメール・SMSに注意する
クレジットカード会社などでは、個人情報やクレジットカード情報などについてメール・SMSでの問い合わせは行っていないため、情報入力させるページに誘導するメールには細心の注意を払いましょう。 -
ログインID・パスワードの使い回しを控える
複数のサービスサイトで同じログインID・パスワードを使い回していると、フィッシング詐欺によってログインID・パスワードが詐取された場合、他のサービスサイトの不正利用被害に遭う可能性が高まります。被害を最小限に抑えるためにもログインID・パスワードの使い回しはせず、サービスごとに登録内容を変更し管理を行うようにしましょう。 -
セキュリティソフトやネット詐欺専用ソフトを導入する
犯罪者の手口は日々巧妙化しており、今まで意識してきた対策が通用しなくなる可能性があります。日々進化するネット犯罪に対抗するにはセキュリティソフトを導入することも必要です。不審なサイトにアクセスした際に注意喚起を行ってくれます。
■森 達哉教授のコメント
7月度のネット詐欺レポートでは、証券系サービスを装うフィッシング攻撃が一層深刻化していることが明らかになりました。SBI証券が引き続き首位を占める中、野村証券へのフィッシングサイトが前月比5倍と急増しました。さらにマネックス証券、SMBC日興証券も標的となっており、攻撃者が意図的に証券会社をローテーションしながら攻撃を仕掛けている状況が見て取れます。これは6月に観測された大和証券への攻撃急増と同様のパターンであり、攻撃者が各社のセキュリティ対策や利用者の警戒心を回避するため、戦略的にターゲットを切り替えていることを示唆しています。また、金融機関への攻撃は証券会社にとどまらず、JAバンクのフィッシングサイトが前月比3倍以上に急増するなど、地域金融機関にも拡大しています。もはや「大手だけが狙われる」といった認識は通用せず、あらゆる金融サービスの利用者が攻撃の標的となり得るのが現状です。引き続きの警戒が必要です。
今月特筆すべきは、警視庁や検察庁といった公的機関を装う新たな詐欺手口の登場です。「逮捕状が出ている」といった恐怖心を煽る手法は、冷静な判断力を奪い、被害を拡大させる恐れがあります。しかし、こうした手口の存在を知っているだけでも、詐欺を見破る第一歩となります。不安を感じた際は、警察相談専用電話「#9110」など正式な窓口に相談することが、被害防止の有効な手段となるでしょう。日頃から正しい知識を持ち、家族や周囲と情報を共有することが、巧妙化する詐欺の脅威に対抗する有効な手立てとなります。
■監修者プロフィール
森 達哉
早稲田大学 理工学術院 教授
「令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)」受賞
NICTサイバーセキュリティ研究所 招へい専門員
<会社概要>
社名 :BBSS株式会社
所在地 :東京都港区海岸1丁目7番1号 WeWork東京ポートシティ竹芝
代表者 :代表取締役社長 兼 CEO 本多 晋弥
設立日 :2006年1月17日
株主 :SB C&S株式会社 100%
事業内容:コンシューマ向けソフトウエア、およびIoTサービスの企画・開発・提供、法人向けライセンス販売