NPO法人結び手
結び手(代表理事:福岡洸太郎)は、2025年8月に実施したインド・ビハール州農村部の聞き取り調査(n=33)の結果を発表しました。価格・距離が大きな壁となる一方、再利用可能な生理用品への支持が拡大。
背景
ビハール州は、インドの中でも月経衛生の課題が大きい地域です。農村部では衛生的な製品の入手や交換環境が限られ、価格面の負担も重く、教育や就労に影響が及んでいます。結び手は、村の女性たちとともに現状とニーズを可視化し、持続可能で dignified(尊厳のある)選択肢の実装につなげるため、本調査を実施しました。
主な調査結果(要点)
月経用品の利用状況:布・紙などの代用品 39.39%(13名)/使い捨てナプキン 60.61%(20名)。
入手難易度:「難しい」69.70%(23名)。主因は価格 56.52%、距離 17.39%、在庫 8.70%。
欠席:月経により欠席経験あり 39.39%(13名)。
再利用可能製品への支持(支援メニューとしての選択):
全体 36%(12名)
入手が難しい層 48%
購入場所が自宅から5km以内 42%
現在布を使用 58%
廃棄行動(使い捨てナプキン利用者・回答あり n=20):
屋外投棄(家の裏・藪など) 50%
ごみ収集車へ 50%
→ 処理インフラの未整備が明確。
インパクトと示唆
価格・距離・教育という3要因が依然としてボトルネック。
再利用可能な製品は、価格面の負担軽減・入手性の改善・不適切廃棄の抑制につながる有望な選択肢。
ただし導入には、水・石鹸・干す場所・プライバシーの確保と、正しい洗浄・乾燥方法の教育が不可欠。




代表コメント(代表理事/本プロジェクトCEO 福岡 洸太郎)
「調査から、女性たちが“衛生的な生活と可処分時間・所得の向上”を強く求めていることが見えてきました。価格や距離の壁を越えるだけでなく、正しい使い方を学び、尊厳を守れる環境を整えることが重要です。私たちは、村の女性と共に再利用可能な製品の普及と衛生インフラの整備を進め、持続可能な選択肢を当たり前にしていきます。」
今後の取り組み
価格補助・流通:村内拠点・訪問販売員の整備、適正価格での継続供給。
衛生教育:学校・地域での洗浄・乾燥・保管の実技指導。
環境整備:個室トイレ・洗面・乾燥スペース・回収箱の設置。
共創:自治体・学校・企業・国際機関との連携を拡大。
調査概要
実施地:インド・ビハール州(ガヤ:Sobhabigha/Ambedkar Nagar Ward 32 近隣の村)
対象:女性33名(主に20–40代)
時期:2025年8月
方法:質問票による面接(必要に応じ通訳使用、Google Formで回収)。欠測は除外して比率算出。
会社概要(団体概要)
名称:NPO法人結び手(Musubi-Te Foundation)
役割:女性の経済的自立と尊厳を支えるプロジェクトの企画・実装(再利用可能な生理用品の普及、教育コンテンツ、流通・サプライ整備 など)
代表:代表理事/本プロジェクトCEO:福岡 洸太郎
本件に関するお問い合わせ
結び手 広報担当:福岡
E-mail:info@musubite.org
レポート全文はこちら
https://note.com/musubite/n/n698b70008a89?sub_rt=share_pb
参考リンク(外部統計の出典)
NFHS-5(2019–21)州別ファクトシート/DHS Program・MoHFW:若年女性の「衛生的手段」利用率(ビハール:全体・都市・農村)
NFHS-4(2015–16)との比較(Maharana et al., 2022, PMC):都市55.6%/農村27.3%
全国の月経廃棄物推計(Down To Earth, 2021):年間約12.3億枚、約11.3万トン