株式会社フクスケ
副業を届け出て許可を得た社員のトラブルが多発 “独立志向””本業領域に近い副業”がリスク要因

副業事故防止・監査プラットフォーム「フクスケ」を提供する株式会社フクスケ(本社:東京都千代田区、代表取締役:小林 大介、以下「フクスケ」)は、製造業界における副業・兼業者の実態調査を実施しました。調査の結果、製造業界の副業トラブル発生率は 46.2% と全業界平均(34%)を大きく上回り、特に「副業を届け出て許可を得た社員」におけるリスクが顕著であることが判明しました。背景には、「副業を本業にしたい」といった独立志向を持ち、社内審査を経てまで取り組む層でトラブルが多い傾向、および 「製造・生産管理・人事」など本業領域に近い副業においてトラブルが集中する傾向が確認されました。
■調査概要
タイトル:製造業界 副業・兼業者の実態調査
集計対象:[居住地]全国、[年齢]20歳以上 65歳以下、[性別]男女、[職業]製造業、[副業実施者]1,194(事前調査)、957(本調査)
集計先:インターネットパネル
■「製造業界における副業・兼業者の実態調査」実施の背景
政府が推進する「人的資本経営」や「キャリア自律支援」、さらには物価高を背景とした生活防衛ニーズを受け、副業・兼業を容認する企業が広がりつつあります。従業員にとって副業は、収入補填やキャリア形成の手段として注目される一方、企業には情報流出や本業疎外、健康リスクといった課題が伴います。
特に製造業は、ノウハウや技術が人材に依存しやすい構造的特徴から、本業に近い領域の副業ほど情報流出や利害衝突といったリスクを招きやすい 実態が浮き彫りになりました。さらに今回の調査では、「社内で届け出て承認を得た副業であれば安心」といった前提に反し、届け出・承認済みの社員においてトラブル発生率が相対的に高い傾向が確認されました。
今回の結果は、短期的な承認プロセスだけでは副業リスクを十分に管理できない可能性を示しており、定期的な監査や継続的なリスクマネジメントの仕組みが求められることが明らかになりました。本調査は、製造業における副業の実態とリスク構造を可視化し、企業の制度改善に資する基礎データを提供することを目的としています。
調査データ抜粋
■製造業従事者の13.5%が副業実施・本業に近い副業(製造・生産管理)が最多
製造業従事者の中で、副業・兼業に従事しているのは13.5%。副業内容としては同業種の「製造」が12.9%、「生産技術・生産管理・品質管理」が8.2%に止まり、資産運用、投資を副業として上げる者が多い。

■副業トラブル発生率は46.2%・届出をした人の方がトラブル率が高い
製造業のトラブル発生率は46.2%と、半分弱がトラブルを経験。全業界平均が34%のため、比較的トラブルが発生しやすい業界と言える。特に副業届出者のトラブル発生率が高いことが特徴としてあげられ、届け出後も継続したリスク対策が必要なことがうかがえる。

■高トラブルの要因は“本業化志向”と“許可制の社内審査”に集中
トラブル経験者の属性として金銭的な動機よりも「副業を本業にしていきたい」といった意識を持ち、副業許可を得るために社内審査を通すような「本気の副業意識」を持つ者ほどトラブル発生が多い傾向があった。特に製造業は「本業にしていきたい」といった動機を持つ者が多く、トラブル率の高さに繋がっていることが窺える。

■“製造・生産管理・人事”など、本業領域に近いほどトラブルが集中
トラブル発生経験がある者で特に多い副業は、「製造」「生産技術・生産管理・品質管理」と、本業に密接に関連する内容が多く、業務の類似性がリスク要因となっている可能性がある。次点で「人事・組織開発」も比較的多く見られ、本業との接点(組織体制や人材管理に関する知見)が副業を通じて露出しやすく「無意識の情報流出」などリスク要因となるケースが想定される。

■社内審査だけでは防げない副業トラブル低減 情報・健康・人間関係リスクが残る
トラブル発生者では許可時の社内審査有無でリスク発生率に差が発生。
体調不良、情報持ち出し、人間関係の悪化についてはリスク抑制ができていないことが窺え、一定効果はあるが社内審査だけではリスク抑制に限界があることがわかった。

■トラブル経験者の属性
トラブル経験者は、特に30代以下の割合が非経験者と比較して高い。

■副業率とトラブル発生率で製造業のリスク分類を実施
パルプ・紙・紙加工品/繊維・衣服は副業率、トラブル発生率共に高く、比較的リスクが高い

■業種別のトラブル傾向
労務系トラブルは多くの業種で発生する一方で、特に印刷、食品、繊維・衣服などの軽工業では情報漏洩を中心とするガバナンス系トラブルが起きやすい。各社の差別優位点となる知的財産(企画・デザイン)が人に紐づいていることが要因として考えられる

■高リスク業種特徴
業種「繊維・衣服」では、副業率は高い一方で副業に対する寛容度が低く、副業収入が限られる厳しい業種。企画や製造ノウハウが作業者に紐づくためか、顧客の流出や競合での副業がトラブルとして多い。副業の制度化によるリスク把握が重要。
業種「パルプ紙」では、副業率、トラブル発生率共に製造業の中で上位。副業に寛容であるがために、副業に傾倒して本業が疎かになる者が多い可能性。副業制度における副業時間管理の強化が必要であると考えられる。

※引用について:本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:株式会社フクスケ「製造業界 副業・兼業者の実態調査」
「製造業界における副業・兼業者の実態調査」完全版は以下URLよりご覧いただけます。
URL:https://fkske.com/posts/manufacturing-survey-2025
【副業事故防止・監査プラットフォーム「フクスケ」】
国内銀行、外資金融、5万人を超える製造業など大手企業が利用する副業事故防止・監査プラットフォーム「フクスケ」を運営。30業界を超える業種で共通の副業制度窓口を提供する国内最大級の副業制度プラットフォームを提供。
【事業内容】
・副業事故防止・監査プラットフォーム「フクスケ」開発、運営
・ニューリスクマネジメントクラウド開発
・ニューリスクコンサルティング
【会社概要】
名称:株式会社フクスケ
住所:東京都千代田区神田紺屋町8番地 NCO神田紺屋町7F
代表:代表取締役 小林 大介
設立日:2019年7月