株式会社IJTT
バイウィルオフィス、IJTTの工場にて国内初の実証実験を開始、製造業・建設業など、多様な産業をCO2吸収・除去で繋ぐ新ビジネスモデル創出に挑戦
総合自動車部品メーカーの株式会社IJTT(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:瀬戸 貢一、以下「IJTT」) 、株式会社バイウィル(本社:東京都中央区、代表取締役社長:下村 雄一郎、以下「バイウィル」)とおよびCO2吸収・固定技術を開発する株式会社Santa Mineral(本社:東京都港区、代表取締役:太西 るみ子、以下「Santa Mineral」) の3社は、大気中のCO2を直接回収(DAC: Direct Air Capture)し、環境価値化(J-クレジット化)を目指す連携協定を締結いたしました。
本契約により、Santa Mineralが開発するCO2吸収・固定装置「SUKUU(スクウ)」を、バイウィル本社オフィスおよびIJTT北上工場(岩手県北上市 鋳造品製造)に設置し、常時運用する国内初*の実証実験に着手しました。回収したCO2はコンクリートに固定化し、バイウィルが主導してJ-クレジット制度の新方法論「IN-006:CO2吸収型コンクリート」を適用したプロジェクト登録を進め、2026年中のカーボンクレジット創出を目指します。
DACは、将来的には、コンクリート分野以外への応用や、海洋でのCO2固定化が実現すれば、吸収・固定量を飛躍的に増大させられるなど、さらなる技術的発展とグローバルな貢献が見込まれています。
*Santa Mineralの技術を用いての実証実験は、国内初になります。

■背景・目的
日本の鋳造製品は、約7割が輸送関連機器に使用されており、自動車産業をはじめとする日本の製造業の根幹を支えています。しかし、鋳造工程では溶解炉の燃焼や型材の製造などにより、多量のCO2が排出されているのが現状です。
現在、脱炭素社会の実現に向けGXへの取り組みが加速する中、排出削減努力だけでは達成が困難な領域を補う技術として、大気中のCO2を直接回収・除去する「ネガティブエミッション技術」への期待が高まっています。
鋳造業界が率先して環境技術を導入することは、単なる排出削減にとどまらず、産業構造全体の変革を牽引する力となります。
鋳造業界に限らず、さまざまな多排出企業においても導入可能であり、この技術が広く導入され、コンクリート以外の他分野への応用や、海洋でのCO2固定化が実現した場合、吸収・固定量が飛躍的に増大する可能性を秘めています。CO2を資源に変える挑戦が、日本の製造業の新たな価値を創造していきます。
本協業は、3社の技術と知見を融合させることで、このネガティブエミッション技術の社会実装を加速させることを目的としています。Santa Mineralの革新的なCO2吸収・固定技術、IJTTが提供する実際の製造現場と資源循環のノウハウ 、そしてバイウィルが持つカーボンクレジット創出・活用に関する専門知識 を結集し、新たな環境価値の創出に挑みます。
この技術が広く導入され、他分野への応用や、海洋でのCO2固定化が実現した場合、吸収・固定量が飛躍的に増大する可能性を秘めています。
■本実証実験の概要と3社の役割
本実証は、ラボや専用施設ではなく、実際に業務を執り行う「オフィス」、過酷な環境下にある「製造現場」においてCO2吸収・固定装置を常時運用する、国内で初めての試みとなります。
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IJTTの役割
・実証フィールドとして自社の鋳造工場を提供
・鋳造工程で発生する廃砂をアップサイクルしたCO2吸収・固定セラミックの開発を推進し、
脱炭素と資源循環の両立を目指す
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バイウィルの役割
・実証フィールドとして、自社オフィスを提供
・プロジェクト全体の統括および、J-クレジットの新方法論「IN-006:CO2吸収型
コンクリート」を活用したクレジット化実証の主導。
・創出されたクレジットを活用した新たなビジネスモデルの検討・構築・将来的には、炭酸
カルシウム固定化による新方法論の登録、及びこれを活用したDAC社会実装の飛躍的加速も検討。
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Santa Mineralの役割
・製品化を視野に入れたCO2吸収・固定装置の改良(効率化・安定化)
・CO2固定に用いるミネラルの安定供給に向けた、量産化およびコストダウンの検討
■CO2吸収・固定装置「SUKUU※2」ネーミングの由来と特長

本実証実験で使用するCO2吸収・固定装置「SUKUU(スクウ)」は、日本語の「すくう」が持つ3つの意味を重ねて名付けられています。
具体的には、
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やさしく手ですくい取る動作を指す「掬う」
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危機から環境を助ける「救う」
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CO2を吸収・固定する物理的機能としての「吸う」
という、装置の働きと目的を表しています。この名称には、「空気中のCO2をすくい取り、地球を救う」というコンセプトが込められており 、未来の地球を救う一歩となる装置であることが示されています 。
そして、この「SUKUU」の特長としては
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従来のDACよりもCO2回収に必要なエネルギーが圧倒的に少なく、回収コストも安価
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今回、実証実験が行われる工場のような過酷な環境下でも、CO2の吸収・固定が可能
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コンパクトで可搬性が高く、低コストで設置可能
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以上の特長により、様々な企業や場所への導入が可能となり、社会実装しやすい
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また、J-クレジット制度における新方法論(IN-006:「吸収型コンクリート」)に適用可能
などが挙げられます
※2 現在、商標登録中
■IJTTについて
IJTTは、鋳造、鍛造、エンジン製造の分野で長い歴史を持ち、主に自動車部品、建設機械部品、産業用エンジン等の製造を通じて日本の産業発展に貢献してきました。現在では、素材開発から完成品製造までを一貫して行える技術力を活かし、産業用ロボット分野へも進出。次世代の製造現場に求められる高精度・高耐久な部品供給を可能にし、スマートファクトリー化の推進にも寄与しています。
※IJTTは、それぞれ100年近い歴史を持つ株式会社アイメタルテクノロジー、自動車部品工業株式会社、テーデーエフ株式会社とIJTテクノロジーホールディングス株式会社が2019年に統合して誕生しました。
■バイウィルについて
株式会社バイウィルは、「カーボンクレジット創出・売買」「脱炭素コンサルティング」「ブランド・人材育成支援」を提供し、企業や自治体の脱炭素経営を支援するサステナビリティ戦略コンサルティング企業です。特に、J-クレジットを活用した環境価値の創出・流通に注力し、企業(や自治体)の脱炭素アクションが内在する環境価値を最大活用することで、脱炭素を「やるべきこと」から「やりたいこと」に変えるお手伝いをしています。
■Santa Mineralについて
株式会社Santa Mineralは、特許取得済みの「ナノミネラル技術」を核に、多分野で地球と人に優しい製品や技術を展開するベンチャー企業です。植物由来のナノサイズミネラルを活用した独自の技術により、水質・底質浄化や土壌改善、CO2回収、農業用資材の提供などを推進。また、医療・衛生分野では自然由来・無添加の除菌水「テラ・プロテクト」を開発し、病院や学校での導入実績もあります。さらには、感染症対策、持続可能な農業、海洋環境再生といった社会課題解決に向けて、大学・自治体と連携し、実証プロジェクトを多数展開中です。

