株式会社ワーク・ライフバランス
全国初!2026年4月から時間外労働の割増賃金率を1.5倍に引き上げる条例議案を 2025年9月定例議会に提出~全国に先駆けた挑戦で、地域社会と経済を持続可能にする~
高知県(知事:濵田省司)と株式会社ワーク・ライフバランス(本社:東京都港区、代表取締役:小室淑恵、以下「当社」)は、2025年9月10日、「高知県の働き方改革の推進に向けた連携と協力に関する協定」(以下「本協定」)を締結しました。
高知県では、将来を左右する人口減少問題を喫緊に取り組むべき最重要課題として位置づけ、若者や女性に選ばれる高知の実現を目指し、魅力ある仕事の創出や若者の所得向上、出生数の回復などに取り組んでいますが、若年層を中心とした人口減少に歯止めがかかっていない状況です。
こうした状況を転換するため、高知県は2026年4月から高知県職員の時間外労働の割増賃金率を1.5倍に時限的に引き上げる条例議案を2025年9月定例議会に提出し、長時間労働に依存しない生産性の高い働き方へ移行する挑戦を始めます。条例施行を契機に、全国の自治体に先駆けた「持続可能で多様な人材が活躍できる県庁モデル」を確立し、その成果を県内外に発信します。
しかし、制度を施行するだけでは現場での定着が難しく、単なる業務削減や残業禁止の号令だけでは心理的安全性やエンゲージメントを損ないかねません。限られた時間で成果を生み出し、多様な人材が活躍し続ける仕事のやり方、組織の在り方に転換していくために、3,000社の組織に働き方改革コンサルティングを提供してきた当社が支援する協定を結ぶことになりました。
高知県と当社は、この挑戦を協働で推進し、将来的に高知県職員で実現した成果をもとに県内企業に取り組みを広げ、地域社会の未来を支えるため、本協定を締結します。

■本協定で具体的に行うこと
①全管理職員が、具体的な働き方改革のノウハウを身につけられる研修の実施
単に時間外割増率を1.5倍に引き上げるだけでは、県庁職員の残業は減少しません。
3,000社の企業等で具体的に残業時間を半減させてきた当社の取組手法を管理職員が習得し、時間外労働の原因となっている業務や仕組みを具体的に変革し、業務量そのものを削減することや、一部の職員に偏っていた属人化業務を、全職員に平準化していきます。
②多様な人材を雇用できる職場環境整備・採用支援
これからの日本社会では、時間外労働が可能な人材は毎年減少していきます。
それぞれが家庭的な事情で時間的制約を持ちながらも、問題なく業務を遂行できる業務分担方法や、DXによる情報共有が進むことで、多様な人材の雇用や活躍が可能になります。そうした環境整備に加えて、新たな採用区分を設け、多様な人材を多様な形態で雇用できる職場に変革します。
③限られた時間で成果を出すことが、正当に評価される基準への見直し
日本社会の職場では、長時間労働で仕事の量を多くこなす人が高い評価をされる傾向があります。
こうした評価基準を変えなければ、長時間労働を削減しようという動きにはつながりません。そこで、限られた時間でチームメンバーと情報共有・協力しながら効率よく成果を出すことを評価する評価基準への見直しを支援します。同時に管理職の評価基準も見直します。
④働き方改革コンサルティングができる内部人材の育成
働き方改革は数か月で終わるものではなく、何年にも渡って粘り強く継続することが重要です。
そこで、当社が約20年にわたり多様な自治体・企業を支援してきた【働き方改革の伴走支援ノウハウ】を包み隠さず高知県の内部推進人材に提供し、高知県が今後何十年にもわたって自力で取組を加速させていける体制を支援します。
⑤知事・副知事・全部局長で構成しスピーディーに意思決定するタスクフォースの実施
(※タスクフォースとは、緊急性の高い課題や問題を解決するために、組織内で一時的に編成される特別チームのこと。)
三重県、福島県会津若松市、東京都東大和市などではタスクフォースが大きな効果を上げてきました。前例踏襲的な事業の整理や、イベントの統廃合などは、知事や副知事、部局長レベルでの協議がなくては進みません。そこで、知事・副知事・全部局長に参画いただき、スピード感のある行政改革を進めるために、決裁権を持つ会議体として、施策の整理・DXの推進など県庁全体の働き方改革をトップレベルで検討していくタスクフォースを実施します。
⑥「男性育休100%宣言」「勤務間インターバル宣言」「女性の再就職応援宣言」「時間外割増率1.5倍賛同宣言」4つの宣言を通じた社会に向けた発信
働き方で選ばれる時代に、学生や若者、求職者に届く発信が重要です。
また社会全体の動きとしていくためにも別紙記載の4つの宣言を通じて、取組を広く社会に発信します。

■なぜ時間外労働の割増賃金率1.5倍にする社会実験が必要なのか
先進国において、時間外労働の割増賃金率が1.25倍に過ぎないのは日本だけです。日本以外の先進国は平日時間外労働の割増賃金率は1.5倍であり、休日出勤には2倍支払わなくてはなりません(日本の休日出勤は1.35倍)。
重要な概念として「均衡割増賃金率」があります。「均衡割増賃金率」とは、どれだけの割増賃金率があれば、今いる従業員に残業させる1時間当たり労働費用と、新たな雇用をした1時間当たり労働費用が均衡するかを理論上試算したものです。産業別労働組合JAMの2020年の試算によると53%で、これは時間外割増率が1.53倍であれば経営者には、常日頃から残業で解決するのではなく、追加人材を雇っておくインセンティブが発生することを示します。

ところが、現状の日本は、時間外割増率が1.25倍であることで、組織はギリギリの人材しか雇用せず、残業で解決するほうが儲かる状態になっています。問題は、このまま経営者を残業で解決する手法に依存させると、人口が高齢化し、残業できる人材が年々減っていく日本は伸びしろがなくなるということです。
上図の左組織にあるように、頭数を少なく雇用し、残業で解決する職場では、一人の受け持つ仕事量や勤務時間が多すぎることで、高齢者・育児中・介護中などの残業できない社員は冷遇され、労働市場から退出し、社会保障の担い手や期間が減少してしまいます。男女の賃金格差は縮まらず、人海戦術で解決するのでデジタル投資が進まず、残業代の原資を確保するために給与のベースアップが出来ません。 残業ができる一部の労働者のみに仕事が集中する不公平感から、子育て社員が批判される【ギリギリ職場】を作ってしまいます。
一方で、時間外割増率を1.5倍にすると、上図の右組織のように、誰もが休むことは前提の【お互い様職場】に変化します。今回の取組を通じて右側のような組織を目指すことで、高知県は
・対話型マネジメントを通じた心理的安全性の高い職場づくり
・性別・年齢・家庭状況・障害の有無を問わず多様な人材が活躍できる環境整備
・若手・女性・高齢者を含む多様な人材の能力発揮と世代交代支援
を柱に、県庁における働き方のモデルを構築します。
さらに、このモデルを県内自治体・企業・団体等に広げることで、県全体の持続可能な人材活用と経済活性化をめざします。
■当社が関わる意義
当社はこれまで、残業30%削減と営業利益18%増、あるいは残業81%削減・有給取得率4倍・利益率3倍という成果をあげた企業等の組織改革を多数実現してきました。その核心は「短時間で成果を出すチームマネジメント」と「対話を軸とした心理的安全性の高い職場づくり」です。
高知県の挑戦は、単なる県庁改革ではありません。
・全国で最も早く社会実験として取り組む先駆性
・官民一体で文化を変革するモデルケースとしての社会的影響力
・地方創生・人口減少対策・経済活性化を同時に進める統合施策
これらを同時に具現化できるのは、現場のリアルに伴走し続けてきた当社だからこそ、と自負しています。私たちは、全国の企業・自治体の変革をリードしてきた経験を総動員し、高知県とともに「持続可能で多様な人材が輝く働き方モデル」をつくりあげます。
■めざす姿
本協定により、長時間労働を評価する文化から短時間で価値を生む働き方を評価する仕組へ転換し、人材の県内定着および県外からの流入促進、若手・女性・高齢人材の活躍推進、心理的安全性の向上によるチーム力の最大化、さらに経済的・社会的に持続可能な成長モデルの全国への発信を目指します。
■高知県知事 濵田省司 コメント
全国に先行して人口減少が進行する一方で、豊かな自然の下でゆとりある生活スタイルを実現できる本県こそが、新しい働き方の確立に向けて全国の先導役となることに挑戦したいと考え、本年9月10日に株式会社ワーク・ライフバランスと協定を締結し、職員の長時間労働の是正、時間外勤務の縮減に向けて、一種の社会実験ともいうべき新たな取組に踏み出すこととしました。
今回の取組では、多様な人材を確保するための「短時間勤務職員採用枠の新設」や、職員の時間外勤務に対する意識の変化を促すための「時間外勤務手当の割増率の時限的な引き上げ」など、自治体としては全国初となる制度を導入したいと考えています。
そして、働き方改革の新たなモデルとなる取組でしっかりと成果を挙げ、これを県内の市町村や民間企業はもとより、全国に波及させ、人口減少の克服に向けた一つの道筋を示すことが本県に課せられた責務でもあると感じています。

■当社代表取締役社長 小室淑恵 コメント
高知県が掲げるこの挑戦は、全国に先駆けて時間外労働の割増賃金率を1.5 倍に引き上げ、長時間労働からの脱却を本気で進める歴史的な一歩です。これは単なる制度改正ではなく、長年固定化した働き方を根本から転換する強いメッセージであり、健康・出生率・人材活躍など地域の未来を支える基盤を整えるものです。
しかし制度だけでは現場は変わりません。形だけの残業削減では心理的安全性を損ない、組織の力を弱めてしまいます。だからこそ今回は、制度と文化を同時に変える道を選びました。これは私たち株式会社ワーク・ライフバランスの最も得意とする領域です。
本協定を通じ、高知県庁とともに「短時間で成果を出すチームマネジメント」と「多様な人材が輝く職場文化」を構築し、そのモデルを県内外に広げます。割増賃金率引き上げをきっかけに、ここ高知から全国へ、「長時間労働からの脱却」が当たり前になる未来を届けたいと考えています。

■株式会社ワーク・ライフバランスについて
株式会社ワーク・ライフバランスは、2006年の創業以来、企業の業績向上と従業員のモチベーション向上を両立させる働き方改革を支援してきました。自治体や官公庁を含む3,000社以上の現場に寄り添い、残業30%削減と営業利益18%増加、あるいは残業81%削減・有給取得率4倍・利益率3倍といった成果を上げた企業の組織改革を支援するなど、「変化を定着させる改革」の実現に強みを持っています。

会社名:株式会社ワーク・ライフバランス
代表者:代表取締役社長 小室 淑恵
サイト:https://work-life-b.co.jp/
創立年月:2006年7月
資本金:1,000万円
主な事業内容:
働き方改革コンサルティング事業・講演・研修事業
コンテンツビジネス事業・コンサルタント養成事業
働き方改革支援のためのITサービス開発・提供
「朝メールドットコム」「ワーク・ライフバランス組織診断」「介護と仕事の両立ナビ」
カードゲーム体験型研修「ライフ・スイッチ」
実績:3,000社以上(国土交通省、鹿島建設中部支店、住友生命保険相互会社、株式会社アイシン、内閣府、三重県、埼玉県教育委員会など)
代表 小室 淑恵プロフィール
2014年9月より安倍内閣「産業競争力会議」民間議員を務め、働き方改革関連法案施行に向けて活動し、2019年の国会審議で答弁。2019年4月の施行に貢献。国政とビジネスサイドの両面から働き方改革を推進している。年間200回の講演依頼を受けながら、自身も残業ゼロ、二児の母として両立している。
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プレスリリース<別紙>
1. 男性育休100%宣言とは
2019年3月より賛同募集を開始。企業・組織の経営者・代表者みずからが男性育休取得に向けた社会機運の向上を発信することを目的としています。男性が育児休業を取得することは、地域コミュニティへの参加、価値観のパラダイムシフトにつながり、復帰後の仕事の生産性向上、イノベーションにつながります。また、妊産婦の死因の一位は産後うつによる自殺であり、男性の育児休業は妻と子どもの命を守る役割もあります。トップが宣言することにより、男性が育児休業を100%取得できる組織の実現を目指します。

【宣言組織数:222組織(2025年9月10日時点)】
主な宣言組織:法務省、三重県、広島県、富山県、和歌山県、会津若松市、入間市など
詳細:https://work-life-b.co.jp/mens_ikukyu_100/
高知県は、自治体で9番目に宣言しました。

2. 勤務間インターバル宣言とは
2023年7月から賛同募集を開始。結婚・育児・介護・パートナーの転勤等、何らかの理由で離職した女性の再就職・再チャレンジを応援する宣言です。女性の活躍と主体的なキャリア形成によって、組織の発展と日本社会におけるジェンダー平等を推進することで、より豊かな社会の実現に貢献します。育児や介護、パートナーの長時間労働や転勤といった事情で自らの仕事やキャリアをあきらめてしまう女性たちが、再び活躍できる環境を整備し、企業の人材不足を救い、価値観の多様性を生み出し、企業・組織のイノベーション創出につなげます。

【宣言組織数:61組織(2025年9月10日時点)】
主な宣言組織:子ども家庭庁、岡山県、富山県、愛知県、東大和市、福島市など
詳細:https://work-life-b.co.jp/workinterval
高知県は、自治体で7番目に宣言しました。

3. 女性の再就職応援宣言とは
2023年7月から賛同募集を開始。結婚・育児・介護・パートナーの転勤等、何らかの理由で離職した女性の再就職・再チャレンジを応援する宣言です。女性の活躍と主体的なキャリア形成によって、組織の発展と日本社会におけるジェンダー平等を推進することで、より豊かな社会の実現に貢献します。育児や介護、パートナーの長時間労働や転勤といった事情で自らの仕事やキャリアをあきらめてしまう女性たちが、再び活躍できる環境を整備し、企業の人材不足を救い、価値観の多様性を生み出し、企業・組織のイノベーション創出につなげます。

【宣言組織数:23組織(2025年9月10日時点)】
主な宣言組織:和歌山県、東大和市、福島市など
詳細:https://work-life-b.co.jp/womens_career.html
高知県は、自治体で4番目に宣言しました。

4. 【新設】時間外割増賃金率1.5倍賛同宣言とは
2025年9月から賛同募集を開始。日本の労働基準法が定める時間外労働の割増賃金率は、1.25倍(25%割増)ですが、他の先進国と同等の1.5倍(50%割増)にすることに賛同する宣言です。
現在の日本は低い割増賃金率のもとで、経営者が安易に残業に依存することで、残業前提の働き方が可能である一部の人材しか活用できず、慢性的な人手不足に陥っています。長時間労働は結婚や子育てをためらう人が増える要因にもなっています。
時間外割増賃率を国際水準に引き上げることで、「長時間労働を前提にしない働き方」を推進し、今まで労働参画できなかった人材も、意欲高く健康に活躍できます。また、結婚や子育てを希望する若者や夫婦に選ばれる地域となり、地方創生に寄与します。

【宣言組織数:2組織(2025年9月10日時点)】
主な宣言組織:高知県が初
詳細:https://work-life-b.co.jp/jikangai150/

別紙、以上