株式会社N-ARK
構想発表から2年、計画段階へと本格移行

株式会社N-ARK(本社:浜松市、代表取締役 CEO 田崎有城、以下 N-ARK)は、本日、2023年に公表したフローティング都市構想「Dogen City」の最新計画状況をお知らせします。「Dogen City| Dogen City Concept Movie」構想発表後、欧州を中心に世界的な関心が高まり、Designboom・New Atlas・Domus・Tomorrow.Cityなど18か国、30媒体以上で露出し、関連YouTube解説動画の累計再生数は100万回超え、Smart City Expo World Congress 2023(バルセロナ)、Cityscape Global 2024(サウジアラビア)など国外での大型都市イベントで基調講演を行い、同時に現地リサーチを重ねてきました。こうした現地での対話と検証を踏まえ、建築方式・事業スキーム・収益モデルの概略がまとまりましたので、現時点の計画を共有いたします。
1. 取り組む社会課題
– 2050年までの世界人口70%の都市化
現状:世界人口の約40%が海岸から100km圏に居住。都市化が続くと2050年前後に約70%へ増える可能性が複数研究で示唆されています。沿岸は住宅・インフラが逼迫し、高潮・台風・海面上昇のリスクも同時に拡大します。
出典:UN DESA「Coastal Population(方法論シート)」/Reimann 2023(Cambridge Prisms)/Neumann 2015(PLOS ONE)United Nations, Cambridge University Press & Assessment, PMC
– スマートシティ市場拡大に伴い顕在化した課題:遅い・高い・機能制約
スマートシティ市場は2028年に約1.03兆米ドル(約155兆円)の規模に達すると推計されていますが既存市街地の再開発やスマートシティ整備は、地権調整、地下インフラの制約、合意形成、環境修復などの物理的・制度的要因により、計画・施工が遅延しやすい。さらに、既存ソフトウェアシステムとの適合・連携要件が生じるため、スマート機能導入は段階的・部分的になりやすく、総事業コストの上昇と提供機能の限定化を招く傾向があります。
出典:Polaris Market Research(2021、2028年=1.03兆USD)/世界銀行『Regenerating Urban Land』(再開発のプロセスと障壁)
遅い|制度化・土地取得の長期化
土地開発の旗艦プロジェクトでは、計画立案から許認可取得・フェーズ1建設完了・初期入居まで通常7~15年を要し、主要な許認可手続きだけでも24~60か月かかる場合があります。
例:インドのSmartCity Kochiでは許認可と用地問題のため着工開始が10年以上遅延
出典:CEQ “Environmental Impact Statement Timelines (2010–2018)”(平均4.5年)/RFF “NEPA timelines”/KPMG “A Blueprint for Mega-Project Success”/New Indian Express(SmartCity Kochiは11年越しで第1期稼働)
高い|総事業費が嵩む
用地取得費や基盤インフラ整備に巨額の初期投資が必要です。例として、韓国のソンド新都市では約400億ドル(約6兆円)を投じて開発が行われました。ブラウンフィールド再開発では、新たに1万人を受け入れるごとに既存の住民500~2,000世帯の移転・用地取得が必要となり、老朽インフラの改修に予算の10~30%を割くケースもあります。
出典:Boston Global Investors(Songdo IBD総事業費350億ドル超)/Bloomberg(約400億ドル)/AP・Yahoo(Woven Cityは約100億ドル規模と報道)/世界銀行『Regenerating Urban Land』・同Brownfields指針
機能制約|既存インフラ・縦割りで実装範囲が限定
既存のハードウェアや通信網を前提とするため最新のインフラへの切り替えが進まず、最新アプリケーション導入やハードウェア間の連携が困難。また地域内外における連携(この場合は行政制度含む連携も難航し、結果としてスマートシティの機能が限定されます。
例:カナダのSidewalk Torontoはデータ・プライバシーを巡る規制上の課題により計画中止
出典:Waterfront Toronto(契約終結通知)/WIRED(中止理由の背景分析)
2. 世界の“浮かぶ不動産・建築・都市” 事例

Burj Al Arab|海上テラス
約1万㎡分の浮体式地面をフィンランド工場で製造|11ヶ月→ドバイ海上輸送|約1ヶ月
現地施工で高付加価値を実現。
MEYER Floating Solutions建設
出典:Jumeirah/ADMARES関連資料/報道ニュース 2016年

Marasi Water Homes|水上住宅
1邸(130m²規模)フィンランド工場で約60日で製造|合計9邸→ドバイ海上輸送|約1ヶ月
水上設置は1邸あたり1時間未満。
MEYER Floating Solutions建設
出典:Gulf Business/Zawya 2017年

大型客船(Icon of the Seas)は最大約8,000名=収容即時稼働の都市モジュール
MEYER Turku Ltd.が900日で建造
電力・上下水処理・医療・商業を1船内で完結し、機能的にはホテルシティとして即稼働が可能。
出典:Royal Caribbean 公式ファクトシート/Seatrade Cruise
3. 即時性・収益性・実現性で陸上開発を圧倒する浮体式不動産・建築・都市
即時性:早期事業化、早期収益化が可能
建設工期の短縮化
2–5年で稼働できる浮体式は、7–15年かかる陸上に比べ、同じ営業キャッシュフローでも大幅に価値が高まります。
即稼働モジュールの活用
大型客船の長期係留=即時ホテルシティ(医療・教育・商業を内包)により、早期売上×デマンド・シグナルを得てから本格増設へ。初期キャッシュフローの前倒しが案件の信用力を押し上げます。
出典:Sleeper Magazine(Burj Al Arab Terrace=工場11か月+据付12週間)/Royal Caribbean公式FS(Icon of the Seasの収容能力・船内システム)
収益性:高い投資効率、確実な収益確保、低運用コスト
投資効率の高さ
「基盤CAPEX/人(専有内装除く)」で比較すると、浮体式は600–1,200万円、陸上(TDCベース)は2,250–4,500万円。レンジを対応させると約3.75倍の資本効率(= 2,250÷600 = 4,500÷1,200 = 3.75)。同一IRRを狙う場合、必要EBITDA/年は概ね投下資本に比例するため、必要な利益水準も約73%低くなります(= 1-1/3.75)。
確実な収益確保
CAPEXが軽いほど損益分岐稼働率・回収年数が下がり、デフレクション(需要変動)に強い。同一価格帯であれば価格の柔軟性を持てるため、販売・稼働立ち上がりの不確実性にも強靭になります。
モジュール化によるメンテナンス・最新設備への切り替えといった運用コスト低減
工期20–50%短縮/コスト最大20%低減のポテンシャル(モジュール建設一般論)により、労務・間接費・金利の累積も抑制できます。
出典:McKinsey(工期20–50%短縮、最大20%コスト低減)
実現性:自給型インフラ=ボラティリティヘッジ×実装性×合意形成
OPEXリスクの低減:
船内造水・蓄電・再エネ最適化・運用OSにより、外部ユーティリティ価格の上振れリスク(停電・断水・料金改定)をヘッジ。供給確実性が上がることで収益のボラティリティを抑え、DSCR(債務返済余裕率)の下振れリスクを緩和できます。
実現性:都市OSとデジタルツイン|理想的なスマート機能開発
PLATEAU×FIWARE準拠のCity OSにAIモジュールとセキュリティを標準実装。
AIモジュールとAPIで外部サービスがPlug and Playする事が可能となります。
出典:国交省 Project PLATEAU/FIWARE Foundation (MLIT, FIWARE)
実現性:制度設計|海域コンセッション+地域レベニューシェア(PPP)
30–50年の海上占有権(港湾・内湾・ラグーン等)と、売上の5–10%を地域へ還元する
PPPモデルを基本構想。特区化(Sea‑SEZ)により許認可6–18か月を目指します。
参考事例:NEOM OXAGON|規制・税制面での独自運用、港湾拠点化の先例
出典:NEOM OXAGON ※具体の年限・料率はホスト政府/自治体との協議で確定
4. N-ARK社はMEYER Floating SolutionsとMoU締結済み

N-ARK社は約8000人収容可能な世界最大のクルーザー船を手がけるMEYERのファミリー会社であり海上不動産と海上建築を製造するMEYER Floating Solutionsと浮体式スマートシティ実現に向けたMoUを締結済みです。
5. 事業展開
開発候補50サイト:東南アジア/中東/地中海/カリブ・中南米/米国沿岸/インド洋
海抜5m未満の低地が広い国々では適応が課題になっており、EEZや港湾区域の制度活用で確保。
ターゲット需要:
今後10年の世界の高級沿岸住宅購入需要|6,800,000 戸

指標 |
数値・内容 |
開発候補沿岸地 |
水深 50 m 未満・低波高・法制度クリアの沿岸を GIS(地理情報システム)解析で抽出 註1: 地域別の“第1候補水域20箇所” |
Dogen City 1都市当たりの ユニットエコノミクス概要 |
総床面積:100,000 m² 昼間人口: 10,000人 CAPEX:約3,255億円〜 年間利益想定:約758億円 |

需要側試算: ① 世界の高級沿岸住宅需要|6,800,000 戸 Knight Frank The Wealth Report 2024 年において収入上位 1 % 世帯が 「今後10年以内に購入を検討する海沿いのセカンドホーム」を調査値参照 ② Dogen City1都市当たりの販売戸数|3,000 戸(レジデンス 70 %・他用途 30 %) ③ Dogen City 50都市分の総販売戸数|3,000 戸 × 50都市 = 150,000 戸 ④ 必要なマーケットシェア率|Dogen City|150,000戸 ÷ 需要|6,800,000戸 ≒ 2.21% (≈ 2.2%) =世界の富裕層 6,200 万世帯の 2.2 %が購入するだけで Dogen City 50都市分の居住枠が完売。 地域別第 1 候補水域20箇所|合計 20 ユニット ① 東南アジア連合 | ASEAN / 4ユニット ② 中東・湾岸協力会議 / 6ユニット ③ 地中海沿岸国 / 3ユニット ④ カリブ海・中南米 / 3ユニット ⑤ アメリカ合衆国沿岸 / 2ユニット ⑥ インド洋沿岸国 / 2ユニット |
富裕層の水辺セカンドホーム需要の裾野:富裕層の“水辺セカンドホーム”志向は強く、
今後10年で約680万戸という潜在需要推計に対し、Dogen City1都市=約3,000戸×50基=
15万戸の供給でもマーケットシェア2.2%で完売。
富裕層以外のターゲット層:沿岸都市建設の際に必須となるSea-SEZ(海洋経済特区設定)を活かした規制サンドボックスの利点(データ利活用・実証速度)を求めて事業家・投資家・研究者がプロジェクト単位で長期滞在。
6. 沿岸プロダクトラインナップ/PLシミュレーション
※海域コンセッション交渉期間・仕様・コストは国により変動

Dogen Village|100人〜
CAPEX:約32.55億円
浮体面積:860 m² / 延床面積:1,300 m²
年間売上:約8.01億円
1m²あたり年間売上高:約61.7万円
EBITDA:約4.03–4.34億円
投資回収期間:約4.2年
減価償却30年:約1.1億円/年
ROI:約12.4–13.3%
収益源:レジデンス、オフィス、リテール
工期目安:1年

Dogen Town|〜1,000人
CAPEX:約325.5億円
浮体面積:7,000 m² / 延床面積:10,000 m²
年間売上:約53億円
1m²あたり年間売上高:約61.7万円
EBITDA:約28.7億円
投資回収期間:約8.4–10.5年
減価償却|30年:約11億円/年
ROI:約8.8%
収益源:ウェルネスホテル、レジデンス、ウェルネスサービス、メディカルツーリズム
工期目安:3年

Dogen City|〜10,000人
CAPEX:約3,255億円
浮体面積:70,000 m² / 延床面積:100,000 m²
年間売上:約758億円
1m²あたり年間売上高:約77.5万円
EBITDA:約232.5億円–
投資回収期間:約9.45–11.55年
減価償却|30年:約108.5億円/年
ROI:約7.1–8.3%
収益源:オフィス、リテール、レジデンス、ホテル、F&B、ファクトリー、メディカル、教育施設、エンタメ施設、観光
工期目安:5年
7. Go‑to‑Market
1. Hotel‑City即稼働:大型客船を長期係留し、居住・医療観光・教育の先行需要を素早く創出。
2. Dogen Town投入:Wellness Hotel & Residenceで反復収益(宿泊・検査・会員)を積み上げ、都市OS×現場オペレーションを磨く。
3. Dogen Cityへ拡張:3–6か月ピッチでモジュール増設。需要に合わせて段階投資→段階回収。
代表コメント
構想発表から2年、Dogen City は計画段階を経て事業開発へ進みます。
海洋・沿岸地で、速さとリーズナブルな価格と高機能性を備えたスマートシティモデルを実装し、世界の課題に応えるモデルを提示していきます。
― 田崎 有城(N‑ARK Founder & CEO)
用語解説
浮体式(ふたいし):造船所で作った大型“浮く”構造体を海へ運び、係留・連結して街区を作る方式。 モジュール:LEGO的な街区ブロック。需要に応じて3–6か月で増設。
Sea‑SEZ:海域を特区化して許認可・税制を簡素・迅速にする考え方(各国の制度枠内で設計)。
EEZ:排他的経済水域。海洋資源や洋上発電等の利用権をもつ海域。
ブラウンフィールド:既存市街地の再開発、地権・地下インフラ・環境修復など時間とコストが嵩む。
会社概要
社名:株式会社N-ARK(ナーク)| https://www.n-ark.jp
設立日:2021年8月24日
所在地:東京都渋谷区神南 1-14-3(東京) / 静岡県浜松市中区鍛冶町 100-1(浜松)
代表取締役:田崎 有城
役員・従業員数:10人(外部メンバー含む)
メディア露出数出典
・オンライン記事:30 件以上/18 か国(欧州 12 件)
Designboom(IT)、New Atlas(US)、Interesting Engineering(US)、Tokyo Weekender(JP/EN)、Tomorrow.City(ES) ほか
・学術 / 業界レポート:5本以上|Temple Univ. Law Journal 2025 論文など
・動画視聴数:約320万再生(内DamiLeeArch解説動画 1,125,786 再生)
本件に関するお問い合わせ
株式会社N-ARK|E-mail:info@n-ark.jp
註1: 地域別の“第 1 候補水域20箇所”
水深 50 m 未満・波高が低い・既に SEZ/港湾法制が整備―or 整備予定―の沿岸を GIS と公開計画でスクリーニングしたリストです。

地域ブロック |
国/行政区 |
候補水域・港湾/ラグーン |
中東・湾岸地域 6ユニット |
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● UAE ● UAE ● サウジアラビア ● カタール ● バーレーン ● オマーン |
アブダビ Al Hudayriat Lagoon ドバイ Jebel Ali Palm 外縁 タブーク州 アクバ湾内 ルサイル Qetaifan Lagoon ムハッラク島 Diyar Al Muharraq ドゥクム Dry Dock 背面内湾 |
海上スポーツ島を開発中、最大水深 ≈ 15 m 工業港の外側に静穏水面が残る 法制度を独自 SEZ として整備中 2027 万博後の再開発ゾーン 干潟再生とセットで計画可能 国家特区 (SEZAD) 指定済み |
東南アジア 4 ユニット |
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● シンガポール ● マレーシア ● インドネシア ● タイ |
ジュロン湖 Western Anchorage ジョホール Iskandar Puteri 内湾 バタム島 Nongsa Digital Park 沖 東部経済回廊 Map Ta Phut 工業港背面 |
国土庁の“Sea-Space”実証地域 シンガポール連携の経済特区 デジタル特区として税優遇 EEC 法でインフラ優遇 |
地中海 3 ユニット |
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● スペイン ● イタリア ● ギリシャ |
バレンシア Albufera Lagoon 北岸 タラント Mar Piccolo テッサロニキ Thermaic Gulf |
EUNextGen資金対象環境再生計画 国防省・港湾庁で再開発計画進行 “Smart Port” 公募対象 |
カリブ海・ 中南米 3 ユニット |
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● バハマ ● パナマ ● ドミニカ共和国 |
ニュー・プロビデンス Clifton Bay パナマ湾 Amador Causeway 外周 プンタカナ Cap Cana Marina |
リゾート投資活発、波高 < 1 m コロン自由貿易地域の延長活用 私設 SEZ として許認可柔軟 |
アメリカ合衆国 2 ユニット |
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● フロリダ州 ● カリフォルニア州 |
タンパ湾 Old Tampa Bay ロングビーチ Outer Harbor East |
海上建築実証プログラム開始 州沿岸委員会が耐波条件を公表 |
インド洋 2 ユニット |
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● モルディブ ● モーリシャス |
モルディブ Kani‐Finolhu Lagoon ポートルイス Tombeau Bay |
既に浮体都市パイロットを建設中 ブルーエコノミー特区を国家戦略化 |
免責
本リリースに含まれる計画・数値・予定は検討中であり、今後変更となる場合があります。
技術検証・法規協議・資金調達環境に応じて適宜アップデートします。